2009年3月19日木曜日

【レビュー】『仮想世界ロードマップ』

先日参加したメタバースフォーラム第2回勉強会に関連して、
2冊ほど本を読んでみましたのでそのレビューを書いておきます。
まず第1弾はこれ。

野村総合研究所 技術調査部『仮想世界ロードマップ――次世代Webへの対応が企業の明暗を分ける』(東洋経済新報社)
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時々本屋に寄って、SL関係の本をチェックするのですが、
殆どが2007年に出版されたもので、
セカンドライフはスゴいぞ、儲かるぞ!
みたいなものが多くて、
内容的にはもう古い、と感じてしまいます。
それだけ、出版業界もSLには関心を示さなくなった
ということでしょうか。

そんな、SLはダメだ、という日本全体の空気の中、
天下のNRIが堂々と出して来たのがこの本。
さすがというか、どこの本屋に行っても積んでありますね。

先日メタバースフォーラムの勉強会に出席した話は
僕の日記にも書きましたけど、
あのフォーラムでNRIの先生がやはり同じ
「次世代Webへの対応が企業の明暗を分ける」
というテーマで話され、大変おもしろかったのです。
この本にはその講演とほぼ同じ内容が書かれているので、
大変参考になると思います。

何より、「セカンドライフの低迷から
真の発展が始まった」という視点がいいですね。
というのも、僕も同じように感じているからです。

やたらとブームだった2007年後半、
しかし、殆ど物見遊山的な人たちや
とにかく参入すればいいという企業は
年が変わるとあっと言う間に退いてしまい、
その一方でクリエイターたちが盛んに活動し、
企業が社内的なインフラとしてSLを利用し始めた2008年、
そして今年は更なる深化があるだろうと感じているのです。

全体としては本書で分析されている方向に
進んでいくだろうと感じています。
中でも、うんうん、と共感したのが、
SLは仲間との時間と空間を共有しての
同時体験の場として向いているけれども、
逆にSNSやブログのような
非同期コミュニケーションには向いていない。
そこで、同時体験できるメタバースと
非同期のSNSとは互いに補完しあうだろうという分析。

実際、僕もNaviSLのSNSに参加していて、
オフラインでもSNSの方でコンタクトしたり、
いろいろ交流があって、
SLでみんなと直接コミュニケーションできるのは
ほんの1、2時間に過ぎないけれど、
SNSのおかげで、24時間、
みんなとつながってる感じがしています。

これから、仮想世界はもっともっと豊かな環境になっていく
そんな予感を感じさせる1冊です。



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