2010年12月23日木曜日

「第九」を語る(4)〜第二楽章

第二楽章は、演奏時間としては4つの楽章の中で一番短い。
だからこの楽章の打ち込みは一番早く終わる、と思ったのが
そもそもの間違いだった。

確かに、楽譜上の小節数は559小節だ。
が、この楽章は繰り返しが多い。
最初に打ち込んだ状態では、繰り返しを全部含めると
1,300小節を越えていた。
繰り返しが多い分、当然コピーなどを多用するのだが、
いざ音を鳴らしてみるとあっちの楽器がこっちの楽器が
前に後ろに小節がずれていたりする。
そんなこんなで、実は一番手間がかかってしまった。

ということは、同時に、演奏も大変、ということだ。
1,300小節を越えていて、演奏時間が一番短いということは
それだけテンポが速いということだ。
楽譜を追ってると恐ろしいスピードでページが変わる。
しかも、この楽章通して、「タンタタン」というシンプルな動機が
全体を占めているので、どのページを見ても同じように見える。w
一度見失ったらどこにいるかわからなくなる危うさのある曲なのだ。

しかし、この楽章は、ある意味他の楽章よりも
やりがいがあるのかもしれないとも思う。
というのは、その短い「タンタタン」というフレーズを
全ての楽器が追っかけっこのように演奏していくのだ。
どの楽器もソロの出番がある、そんな曲だ。
なので、必死でHUDを操作しているわがオーケストラのメンバーたちは
全く気の抜けない曲と言えるかもしれませんね。
聴きに来られる方は、この追っかけっこを楽しみにして頂いたら
いいかもしれません。

さて、やや技術的な話になりますが、
今回、楽譜通りにやるとあまりにややこしくなるので、
388小節目にある1番かっこを飛ばして、
大きな繰り返しを一つ省きました。
これで、構成がややシンプルに、わかりやすくなったのではないかと
考えています。
ここで、曲の構成を簡単に紹介しておきます。

まず、前奏。「タンタタン」のリズムが示されます。
続いてこのリズムを元にした第一主題。
第二バイオリンに現れ、そのメロディを
オーボエ、クラリネット、ファゴット、フルートが
彩っていきます。
ホルンがぷわ〜んと聞こえたら全楽器で力強く演奏、
遷移的な動きがあって、そのあと馬に乗って駆けていくような
元気な第二主題が呈示されます。
力強い動きを見せたあと、長い休符があって、繰り返し、
今の流れをもう一度やります。

繰り返したあとは、木管を中心に第一主題の追っかけっこ。
まずファゴットから出て、オーボエ、フルートと受け継がれます。
ここで現れるティンパニがかっこいい。
そのあとは弦も絡んで来ながら全楽器で力強く演奏する展開に。
遷移的な動きのあと、
管楽器が第二主題を、弦楽器が第一主題を同時に演奏します。
このあと遷移的な動きがあって、さっき言った388小節目に来ます。
ここの1番かっこは無視して2番かっこへ進みます。

すると、ぱっぱら〜、ぱっぱら〜というフェルマータ、
長く伸ばすところにきます。
このあと、あの有名な「歓喜に寄す」に似たメロディが
ちょっと滑稽な調子で現れます。
担当するのはオーボエとクラリネットとファゴット。
これを受けてヴィオラとチェロが豊かなメロディを奏でつつ、
先ほどの節はホルンからオーボエへと受け継がれ、
最後には全体で盛り上がります。

と、この流れをもう一度繰り返すのです。
そして繰り返したあとは、遷移的な動きがあって、
一度テンポを落としたあと、いきなり曲の冒頭の「タンタタン」に
戻るというしかけになっています。

すると、今までの流れをまた辿ることになり、
今度は、ぱっぱら〜、ぱっぱら〜のフェルマータのところで、
例の節が聞こえて来るのですが。。。
途中で、や〜めた、という感じでいきなり終わるのです。w

文字で書くと面倒くさいけど、
この構成を覚えてしまえば何とかなるかな。^^;

見かけによらず、何とも大変な曲だ、ということを
改めて思い知らされたヒロシでした。w

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