2010年12月19日日曜日

「第九」を語る(2)〜交響曲とは?

「第九」というのは交響曲と呼ばれているジャンルの曲です。
交響曲は、器楽の最高の形態と言われていて、
僕自身大好きな音楽であり、オケでもこれを取り上げたいと思ってました。
但し、比較的長い時間音楽だけで進むので、
よほどの音楽ファンでない限り聴く側にとっても演奏する側にとっても
SLでの公演は難しいと考え、これまで一部のみ演奏、
ということしかやってきませんでした。
それが、今回、よりによって「第九」という最も規模の大きなものを
全曲やるというのですから大変です。
そこで、聴きに来られる方は勿論、演奏に携わる皆さんのためにも
ちょっとここにメモしておこうと思います。

そもそも交響曲とは何か?

今、「器楽の最高の形態」と書きましたけれど、
「器楽」というのは楽器だけで演奏する、歌のない音楽のことです。
これにはピアノ・ソナタのようにたった1台の楽器で行うものから、
ヴァイオリン・ソナタのようにソロの楽器+伴奏というもの、
三重奏、五重奏といくつかの楽器で行うもの、
金管合奏、木管合奏、弦楽合奏のように、
同じ種類の楽器が集まって演奏するものなど様々な形態があります。
そして、これらの楽器が全て集まって演奏する、
最も大規模なものが交響曲、というわけです。

そもそも、この「交響曲」という言葉、
英語の「symphony」の翻訳ですが、その元の意味はというと、
「同じ音」とか「調和した響き」という意味です。
何が同じで何が調和してるのかというと、
管楽器と弦楽器、もっと言うと木管楽器と金管楽器と弦楽器の
バランスがよくとれていて、
どれが主ということはなくて、お互いがそれぞれの特徴を生かし、
出しゃばることなく、補い合って、全体で美しい音楽を創る、
というところにあるのです。
そこで、弦楽器は似たような楽器が前の方にたくさんいる、
というイメージがありますが、本来はあの数も
管楽器の数とのバランスで決まっているのです。

そこで、素晴らしい交響曲というのは、
このそれぞれの楽器群のバランスが美しいのです。
楽譜を見ていると、まるで楽器同士が会話しているよう。
よくあるのは木管と弦と金管とがお互いに同じメロディを
渡していくもの。
また、弦の中でもこの渡しは行われていて、
こういう楽譜は見ていても美しいのです。

今回、改めてベートーヴェンの「第九」を打ち込みながら
譜面をじっくり見ることができましたけれど、
この楽器同士の会話がとても素晴らしい曲なのですね。
曲のサイズばかりに目が行きがちですが、
こういうところに注目すると、どうして音楽がそのように展開するのか
よくわかるのです。
出演されるみなさんは、HUDの操作が大変だと思いますが、
自分が担当している他の楽器との「会話」に耳を傾けると
きっとあの巨大な曲の構成もつかめるはずですよ。^^

長い、70分を越える演奏になりますが、
そんなところにも耳を傾けて楽しんで頂けると嬉しいです。
それが交響曲の醍醐味なのですから。

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