2011年7月23日土曜日

何と、あのフェアライトが。。。!@@

前回に引き続き、マニアックなネタです。^^;

前回は、SYNTH STATION 25 という、
iPhoneの音楽アプリをコントロールできるキーボードについて書きました。
このキーボードは、既にAKAIのSYNTHSTATIONだけでなく、
iPhoneの音楽アプリをコントロールするものとして
標準になってきてるようなので、
それでは、他にどんなアプリがこのキーボードで操作できるか
ググって調べていたのです。

そしたら。。。何と。。。
Fairlight App なるものを見つけました。
楽器に詳しい方ならすぐにピンと来るはずです。
え、え、え? と思って早速 iTunes Store にアクセス、
調べてみました。

フェアライトというのはオーストラリアの会社の名前で、
音楽関係者には CMI という楽器でよく知られていると思います。
1979年に発売された楽器ですが、サンプリングの機能と
グラフィカルなシーケンサーを有したもので、
サンプリングによってありとあらゆる音を取り込んで
演奏することが可能、
であるにも拘わらず、見た目は、スマートなキーボードと
コンパクトなCPUユニットにCRTディスプレイのみ、という
実にシンプルな構成で、当時のシンセサイザーが
「タンス」と呼ばれていて、
しかも音色の切替が大変だったことを考えると、
とてつもなく新しい時代を感じさせた製品なのでした。

そして、その価格は当時1,200万円ほど。
とても普通の人には買えるような楽器ではありませんでしたが、
ピーター・ガブリエルやケイト・ブッシュ、
スティービー・ワンダーやハービー・ハンコックなど、
当時を代表するミュージシャンがこぞって購入し、
その楽曲で使用しました。
日本では坂本龍一さんや冨田勲さんもお持ちでしたね。

ここまで書いても、まだピンと来ない方も多いかもしれません。
この楽器が日本でも有名になったのは、
トレバー・ホーンがプロデュースしたイエスの「ロンリー・ハート」。
この曲で「Owner of a lonely heart」と歌が流れた後に、
「ジャン!」とオーケストラのヒットが鳴る。
そう、今となってはもう普通にシンセの音色にも入ってる
オーケストラ・ヒット、あれが始めて出たのがこの曲でしたが、
この音こそ正にフェアライトの音だったのです。
あと、同じくトレバー・ホーンのプロデュースになる
アート・オブ・ノイズでの各種サンプリング音、
それからフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの過激なサウンド、
いずれもこの楽器から出たものでした。

オーケストラ・ヒットのサウンドは文字通り衝撃的でしたが、
ただ、これは一発脅かすためだけの音だと思っていたところ、
その後デュラン・デュランが、「007 美しき獲物たち」のテーマで、
何とこの音を使ってリフを弾いていたのには更に驚きましたね。
そう、この音もフェアライトでした。
僕は当時、カシオから出た安いサンプリングキーボードを買って
家にあるベートーヴェンの「交響曲第三番」のレコード冒頭から
「ジャン!」という部分をサンプリングして真似してましたよ。w

今となっては珍しくも何ともないですが、
楽器音は勿論、そうでない音もコンピュータでコントロールし、
楽器の演奏ができない人でも音楽制作を可能にした、というのが
このフェアライト CMI が音楽の歴史を永遠に変えてしまった
と言われる所以です。
1983年にヤマハのデジタルシンセDX7が出てから、
楽器のデジタル化とコストダウン化が進み、
同じ頃、イーミュレーターII やカーツウェル250が300万くらいで、
その後エンソニックから40万円くらいでサンプラーが出て、
そして、サンプラーとデジタルシンセのいいところどりの
M1というワークステーションがコルグから出て、
一気にCMIが持っていたような機能は身近になりました。
今では20万円台でコルグ、ヤマハ、ローランドなど
各社から出ているいろんなワークステーションが選べる時代ですね。
こうした時代の流れと共に、1,200万もする機材は
だんだん話題にも上らなくなってしまいました。

それが、昨年のNAMM(アメリカの楽器フェア)で、
30周年記念モデルをフェアライトが発表したらしいのですが、
それに続いて出て来たのが、今回の iPhone アプリ。
何と、1,200万もした CMI の全機能を移植、
たった850円で iPhone の中に入れて持ち運べるようになった、
というわけなんです。
え、え、え、@@ と僕が驚いた理由がわかります?w
夢のマシンでしたもの、当時。w
それが1,000円もしないでポケットに。。。w

移植は徹底的に行われていて、


最初に起動すると、フロッピーが画面に現れます。
今の人には想像つかないでしょうが、
当時はコンピュータのOS自体がフロッピーに入ってました。
ハードディスクじゃなくてね。
なので、まずはフロッピーを入れてシステムを起動。。。

と、次に電源ボタンが出て来ます。
電源ボタンなんてオンにするだけでいいんでしょ、
と思うとこれが間違い。
どうも、当時のCMIはちゃんとボルテージが合っていないと
煙が出た模様で、画面左にあるボルテージの設定スイッチを
正しいボルテージに合わせないといけません。
僕は何度も失敗して、何度も煙を出してしまいましたが、
何のことはない、フェアライト社のあるオーストラリアの電圧
240Vを選べばよろしい、というわけ。w

これでやっとモニターが画面に現れ、OSの読込が始まり、
楽器として使えるようになります。
尚、所謂音色やシーケンス情報などは
もう1枚のフロッピーから読み込みます。
(つまり、当時のマシンの標準で、
フロッピー・ドライブは2つあります。)
そこで、音色を選ぶと、いちいちカタカタカタカタと
フロッピーを読み込む音がするのですが、これがなかなかよろしい。w
因みに、当時のフロッピーは不安定だったので
時々エラーになるのですが、これまで再現されています。
ヘルプの説明を読むと、当時はエラーが出ると、
ユニットを叩いて直していたんだとか。w
なので、iPhone アプリ版では、これが出るとシェイクして直します。w

もうね、こういうところ含めて、
あと、画面は当時のままなので、GUIに慣れた今の人には
とてもとっつきにくいかもしれませんが、
そういう全てがいいですね。
音も8ビットなので、いかにも80年代な音がしますよ。w
勿論、オーケストラ・ヒットもちゃんと入ってます。w

因みに、850円のスタンダード版はデモ演奏のプレイと
各音色の演奏ができるのみです。
サンプリング機能、オリジナルの作成機能、
MIDIの取り込みや書き出しなどは、
Pro版にアップグレードする必要ありです。
これが3,450円と結構高いんだけど、
それでも僕なんかは買っちゃいそうですね。^^;
当分はスタンダード版で遊んでみるけど。w

フェアライトCMIと今回のアプリの紹介ビデオはこちら。

■Introducing the Fairlight App for iPhone & iPad

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