2011年9月25日日曜日

【翻訳記事】フェニックスがメッシュに対応するという噂について

ファイアーストームのベータ版が公開された時に、
プロジェクト・リーダーのジェシカ・ライオンさんはブログで、
何れフェニックスをはじめとしたV1系ビューワは使えなくなる、
これはリンデンがV1を閉め出す(禁止する)のではなく、
最新版で追加される機能についていけなくなるからで、
メッシュはその最たるもの、V1では見えるべきものが見えなくなる、
なのでファイアーストームなどを使ってV2への乗り換えを
進めてほしい、という内容のことを書かれておりました。

V1への死の宣告となるメッシュ機能の公開が思ったより早く行われ、
クリエイターさんたちの間でもさかんに
メッシュ製品が作られているようです。
フェニックスなどのV1ビューワ使えるのもそろそろかな、
と思っていたら、Cool VL ビューワのアンリ・ボーシャンさんが
メッシュに対応したパッチを公開したとのこと。
ということは。。。?

どうやらフェニックスでもこのパッチを利用して、
メッシュ対応版が出るようですが、
それに先だって、ジェシカさんからの長い注意書きが公開されました。
フェニックスを使われているみなさんには勿論、
他のV1系ビューワを使われている方にも参考になると思いますので、
ここに訳しておくことにします。
原文はこちら。
http://phoenixviewer.blogspot.com/2011/09/whats-this-rumor-about-phoenix-viewer.html

     *   *   *


フェニックスがメッシュに対応するという噂について

少し前に、これからのフェニックスのリリースはメインテナンスの目的が主なものであり、新しい機能の導入はありません、と申し上げました。同じ文章の中で私は、死が宣告されるその時まで、フェニックスが稼働できるようにメインテナンスし続けると約束もしました。そして、私はみなさんにこうも申し上げたのです。メッシュの登場はフェニックスの終わりを意味すると。何故ならそれは単にV1のビューワがメッシュに対応できないからであり、メッシュが広まっていくにつれて、V1では見ることのできないものが徐々に増えて行き、遂には使えないものとなってしまうだろうと、そうお伝えしたのです。当時は、V1がメッシュの機能を取り込んで稼働可能になるなどということは、とてもあり得ないことのように思えました。と申しますのも、これにはレンダリングのエンジンをV2コードから抜いて、それをV1のコードに差し入れるということが必要で、それには実に何十万行というコードの処理が必要だったのです。

それは、例えるなら、スクールバスからディーゼル・エンジンを抜き取って、サブコンパクト・カーのフォード・ピントに適用するようなものです。。。しかも、ちゃんと動くようにね。これはとんでもなく大変な作業です。。。実際、これはとんでもない作業になるので、私にとっては自分たちのチームには時間を費やしてほしくない作業だったのです。とりわけ、私たちにはファイアーストームのプロジェクトがありますから。これには、100%のエネルギーをつぎこんでも何ヶ月もかかる作業で、しかも、常に本当に完了した、と本当に言えるのかどうか、疑問がつきまとうようなものなのです。

みなさんの中にはアンリ・ボーシャンというSL住民の方についてお聞きになった方も多い事でしょう。彼は Cool VL ビューワの開発者で、とても頭の切れる方です。しかも、彼は V1の開発のみに専念しているのです。そして何と、何ヶ月もかけてV2のレンダリング・エンジンを自分のビューワに取り込み、そのパッチを一般に公開、邸巨うしているのです。その彼が、メッシュを Cool VL ビューワに取り込むことに成功し、この度リリースした、というわけなのです。

アンサリエル・ヒラーは、私たちの開発チームのメンバーですが、彼女は常にアンリの仕事に目を光らせていただけでなく、彼のメッシュ対応パッチを自分のローカルに置いているフェニックスのレポジトリに引き込んだのです。そして今朝、私たちは彼女のレポジトリをチーム全体のレポジトリとマージしてみました。それが今回の噂の発端となったのです。フェニックスにメッシュ対応版がリリースされる、と。

私はここでいくつかのことをはっきりさせておきたいと思います。V1をメッシュ対応にするというこのことは、アンリだけがなし得たことなのです。フェニックスのメッシュ対応版と言っても、それは本質的には、彼の偉業におんぶされている状態というか、彼の苦労を食い物にしているというか、そういうものでしかないのです。実際、彼はこれを可能にしたことで、どれだけ大きな信用と信頼に値すると言えるでしょう。もし彼をインワールドで見かけて、本当に彼が成し遂げたことを素晴らしいと思われるのでしたら、どうか彼に感謝の意を捧げて下さい。

そして、もう一つはっきりさせておきたいこと。これは、私が人気を落とす理由にもなっているものですが。。。私は、フェニックスをメッシュ対応にすることに反対なのです。これにはいくつも理由があります。

まず最初に、みなさんには私たちが開発の中心をフェニックスに戻したと思ってほしくはないからです。事実はそうではありませんので。アンサリエルはアンリの成果をフェニックスに取り込む作業の全てを行い、ロード・グレッググレッグがその手伝いをしたのです。トーニャとテックがいくつかのバグ修正をした以外は。それだけです。今回の件に関しては、実質2人の開発者が関わっただけですし、フェニックスについてはそれ以上の開発を行う予定はありません。とは言え、フェニックスにメッシュを取り込むことは2つのことを実現すると言えるでしょう。それは、セカンドライフ内でメッシュが採用されるのを加速させることになるでしょう。これは正直とても素晴らしいことだと思います。しかし、同時に重要なのが、このことによってフェニックスが可能できなくなるその時までフェニックスを生かし続けるとした私たちの約束を守ることにもなるのです。

次に、間違えないで頂きたいのですが、V1は今も尚死の床に就いているということです。このことをよく考えて下さい。V1ビューワにメッシュを取り込むのに9ヶ月かかっています。一方、ファイアーストームにメッシュをマージするのに作業を開始してからかかったのはほんの2週間です。これが今後リンデンラボが新しいものをリリースして来た時のパターンになると思います。ファイアーストームやV2ベースのビューワで作業する方が、V1で同じことを実現するよりも遥かに早く適用できるのです。V1を長期間にわたって維持し続けるというのは最早現実的ではないのです。ただ、さしあたっては。。。チーム内の品質管理に合格して出荷可能となったところで皆さんはメッシュ対応のフェニックスを手に入れることができるでしょう。予定日はまだ決まっていません。

品質管理について言えば、メッシュ対応になったフェニックスが、前回リリースされたものと同じようなレベルのものであるとは期待しないで下さい。実際、スクールバスのディーゼルエンジンをダクトでつないでフォード・ピントにテープで貼り付けたようなものなのです。従って、現在メッシュが抱えているバグに加えて、ディーゼル・エンジンをフォード・ピントにくっつけたことによるバグもたくさん存在しています。これによって間違いなくクラッシュする確率は高くなります。また、パフォーマンスが低下する人も、向上する人もいるでしょう。つまり、完璧な製品としてはリリースできないのです。そもそもメッシュに対応するようにできていないのですから。

また、このバージョンではファイアーストームや公式のV2、V3ビューワと同様、SSE2に対応しているコンピュータの使用が前提となります。SSE2については、フェニックスをご利用になられているみなさんのコンピュータの多くは古いものなので、実際、SSE2対応ではないのではないでしょうか。その場合は、コンピュータ自体をアップグレードする必要が出て来ます。

そうした方のために、私たちはメッシュに対応しない、最新の機能とバグ修正の対応をしたフェニックスの新しいバージョンもリリースする予定です。みなさんがコンピュータをアップグレードするまでご利用になれる、最後のフェニックスということになります。つまり、私たちはメッシュつきとメッシュなしのフェニックスを同時にリリースする予定にしているということです。

また、RLVaについても、次回のフェニックスのリリースで最新化される予定です。これはキキティ・バーネットが担当としているところです。この件については皆さんは彼女に感謝すべきで、というのも、RLVaへの最新化対応も私が反対しているところだからです。私の仕事はチームの全員が未来に向かう仕事に集中できるようにすることです。フェニックスはその対象ではありません。ファイアーストームの方なのです、未来があるのは。私は、キティがその貴重な時間を、ビューワの未来に対して使うべき時に、今正に終わろうとしているビューワに使ってほしくないのです。

メッシュをアップロードする機能も現在開発中で、ニッキー・ダスミンのおかげで期待の持てる進展があるようです。

というわけで、この対応で、フェニックスが使える期間は少しだけ長くなりそうです。が、永遠に、ではありません。リリースされたら使える間是非楽しんで下さい。そして、アンリ・ボーシャンに感謝することをお忘れなく。

                       2011年9月20日
                       ジェシカ・ライオン

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