2012年3月17日土曜日

ブリタニカ


2、3日前だったと思うけれど、
ブリタニカ百科事典(Encyclopaedia Britannica)が
現在発行されている2010年版を以て、書籍版の発行を中止し、
今後は電子版での提供のみになることが発表されました。
18世紀から続く百科事典で、1990年に最高の12万部を売り上げたが、
その後、Wikipedia などの進出で低迷、
最後の2010年版は8000部しか売れず、
3500セットの在庫があり、これが売り切れ次第
印刷版は終了ということになるらしいです。
残念な気もしますが、時代の流れですものね、
今、iPhoneやiPadで大部な辞書やら楽譜やら持ち出せる時代に
さすがに32冊もの本を置いておくというのはさすがに。。。^^;

僕自身、かつてはものを調べる時によく使っていました。
自分では持っていませんでしたが、
大学の図書館や知人の家にあったりして、
ちょっと詳しく調べたい場合にはブリタニカの記事を読むのが
一番でした。
それぞれの記事がかなり詳しいのと、
例えば以前の版では「禅(Zen)」の項目は
あの鈴木大拙さんが執筆していて、
なるほど、禅の理論のような日本語でも難しいものを
英語でこのように表現するのかと、
なめるように読んだのを覚えています。
この項目に限らず、執筆はその分野の第一人者に
署名入りで書かれているのがこの事典の素晴らしいところです。
それによって記事の内容に対する責任が保証されているわけですね。
ここが基本匿名の Wikipedia とは行き方が違うところです。

実は、ブリタニカがDVDやアプリなどソフト化されたら
ほしいなとは思っていましたが、
実際、iPhone、iPadのアプリになっていますので
これを機会に購入しました。
アプリ自体は無料ですが、全項目を見るためには
月々US$1.99ドルを払う必要があります。
170円なんて安いものなので
(かつては年間50ドルとか結構高かった)、
継続購読することにしました。
そして久しぶりに先の「禅」の項目を見たり、
或いは、「イラン」について調べてみると。。。
iPadでは「イラン」の項目は95ページにわたって書いてあります。w
これは、Wikipediaにも、「現代用語の基礎知識」などにない
詳しさだと言えますね。
電子版になって、更に使い勝手がよくなったところで、
これからも頑張ってほしい事典だと思います。

P.S. アプリとしては日本語版の2012年度版なるものもあり、
確かユーザーレビューでこれなら無料のWikipediaの方がいい、
などという声もありました。
ここで気をつけておきたいのは日本語版は、
「小項目版」という、項目の説明が簡潔にまとめられているもので、
確かに辞書よりは詳しいけど Wikipedia よりはもの足りない、
そんな位置づけになっています。
「ブリタニカ」というと、人が期待するのは、
やっぱり「大項目版」の方だろうなぁ、と思います。
「イラン」について95ページもあるのはこっちの方です。


P.S.2 ところで名前は「Britannica」なので
イギリスで生まれた事典なのですが、
20世紀に入ってからはずっとアメリカで出版されています。
そして、このブリタニカは訪問販売でセールスを伸ばしたことで有名、
その手法がアメリカの営業の基本になったくらいですね。
一方、もう一つ「Americana」なる百科事典もあるのですが、
やっぱり百科事典と言えば「ブリタニカ」の方が
権威があるよねぇ、と思うのです。

No response to “ブリタニカ”

Leave a Reply