2018年1月5日金曜日

【RL】正月に書く(2)〜ミュージカルとしてのスターウォーズ

年末に僕も「スターウォーズ/最後のジェダイ」を見て来ましたよ。
「スターウォーズ」は子供の頃無断で一人で観に行った映画だ。
その頃僕の家では映画は必ず親同伴でないといけなかったのだが、
父も母も忙しく、待ってられん、とこっそり観に行ったのだ。w
この時観たのが一作目の所謂エピソード IV で、
冒頭からタイトルロールと大きなスクリーンを埋め尽くす
宇宙戦艦に驚くやら狂喜するやらなのであった。
以来、毎回続編が作られる度に観に行っているのだが、
果たしてどこがおもしろいのかと興味のないファインでもない人に
説明するのはとても難しい。w
恐らくは、ファンの人がおもしろいと思っている点が
そのまま、だからつまんなそう、と思われるフシもあろう。

そんなこともあって、今回「最後のジェダイ」に先立って、
Hulu が過去の7作とアニメのTVシリーズを配信してくれているので、
今更とは思いながらも、何がおもしろいのか、
そのいくつかを改めて見直してみた。
そこで、これまた今更のように気づいたことがあるので
ここに書いておくことにします。

それは、映画の始めから終わりまで、音楽が鳴り続けている、
ということ。
僕はかつて、やたらとBGMが鳴ってる映画に閉口したことがある。
いや、音楽好きとしては音楽は鳴るべき場所で鳴るのがいいので、
コンテキストに関係なく、場違いな音楽が鳴るのが嫌いなのだ。
しかし、スターウォーズに関して言えば、
鳴っているのが気づかないくらいに最初から最後まで
音楽が鳴り続けているのだ。w
そう、鳴り続けているからこそそこに音楽があると気づかない、
寧ろ、ぴたっと音楽が止んだ時に、逆に緊張感が高まるのだ。
実は、常にそこにあり続ける音楽こそこの映画に人がどう感じるかを
うまく演出しているのではないか。

これは、僕にはヴァーグナーの楽劇を思い起こさせる。
ヴァーグナーの楽劇は、要所要所で「歌」が入るオペラとは異なり、
歌らしい歌がないままに、オーケストラがずっと鳴り続ける。
そして、そのオケは登場人物の心情や周囲の状況を
「ライトモチーフ」というそれぞれに応じたメロディなりフレーズで
暗示する形で進んでいくのだ。
だから、僕は初めてヴァーグナーの楽劇をLPで聴いた時、
これは19世紀におけるサウンドトラックだ、と思ったものだ。

そして、である。
ジョン・ウィリアムズによるサウンドトラックは正に、
20世紀、21世紀におけるライトモチーフのように作用する。
そう言えば、ブラスが鳴り響くオーケストレーションは
恰もヴァーグナーのようではないか!
今回「ジェダイの帰還」を改めて観て思ったのは、
最後にダース・ベイダーが荼毘に付されるシーンで
流れている音楽は帝国軍マーチでもおどろおどろしい音楽でもなく、
清らかなジェダイのテーマなのだ。
つまり、この音楽でベイダーはダークサイドとしてでなく、
浄められ、ライトサイドのジェダイに戻ったことを象徴しているのだ。
だからこそ、最後にオビ=ワン、ヨーダと共に、
ジェダイとして活躍したころのアナキンの姿で
ルークの前に現れるのだ。

ストーリーも、メカも、様々な設定も
それぞれおもしろいところはいろいろあると思うけれど、
音楽に注意して見直してみると、新たな発見があるかもしれませんよ。
そう、スターウォーズは、実はミュージカルだったのだ!

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