2019年6月1日土曜日

【RL】ノートルダム大聖堂をめぐる音楽

前の日記にも書かせて戴きましたが、
私自身はノートルダム大聖堂を直接訪れたことはありません。
そうでありながら、あのニュースに接した時、
とても悲しく感じたのは、僕の音楽遍歴の中で、
この大聖堂に纏わる音楽がとても大きな印象を残しているからです。
今日はそうした音楽を少し紹介させて戴きます。
僕のライブにいらっしゃる方の少しでも参考になればと思い。

■ノートルダム楽派:レオナンとペロタンのオルガヌム

ご存じの方も多いでしょうが、
西洋の音楽史で最初の方に出て来るのがグレゴリオ聖歌です。
このグレゴリオ聖歌はいわゆる斉唱で、単独のメロディで奏でられ、
また、オルガンなどの楽器の伴奏も付けないものでした。
それがやがて、聖歌のメロディの4度、5度、或いはオクターブ上に
和音を伴って並行に動くような唱法が始められます。
これをオルガヌムと言います。

ノートルダムの大聖堂は12世紀、1163年にその建設が始まり、
一通りの完成を見るのが約100年後の1250年なのですが、
ちょうどこの時期、この新しい大聖堂を舞台に活躍した人がいます。
レオナンといういう人と、その弟子でしょうか、
ペロタンという人なのですが、
この二人が、従来のオルガヌムを大きく発展させ、
単純にメロディの上にハーモニーをつけるのではなく、
元のメロディは低音として長く引き延ばし、
その上に細かい音符がリズミックに動く歌い方を始めたのです。
これがその後の西洋の宗教音楽が発展させていくことになる
ポリフォニーの始まりであると言われています。
なので、西洋音楽史では、グレゴリオ聖歌に続いて現れるのが
このレオナンとペロタンの二人、ノートルダム楽派というわけなのです。

ノートルダム大聖堂のようなゴシック期の建築が
上へ上へと伸びていったように
音楽もまた上へ上へと音を重ね、この新しい時代の建築に相応しい
音の響き(sound of music)を目指していったことのようです。
そこで、この時期の音楽については、
デヴィッド・マンロウが入れた次のディスクが定番となっています。

・デイビッド・マンロウ「ゴシック期の音楽」
 

今日はこの中から、ペロタンの「地上のすべての国々は」が
YouTube に上がっていますので紹介します。
この動画は、ノートルダム大聖堂の写真が背景に使われていて
今度の僕のライブに来る人の参考にもなるかと思います。



■アルス・ノヴァ:ギョーム・ド・マショーのミサ曲

それからまた約100年して、ノートルダム楽派よりも
更に細かい音符を使い、シンコペーションなども導入された
新しい音楽、「アルス・ノヴァ」と呼ばれる動きが出て来ます。
その中心人物の一人がギョーム・ド・マショーという人で、
この人は恋愛物語の主人公でもあり、
それだけに圧倒的に世俗的な曲が多いのですが
にも拘わらず、この人の名前が残っているのは、
世界初の通作ミサ、「ノートルダム・ミサ曲」にあります。
「キリエ」や「グロリア」に始まり、
「アニュス・デイ」、「イテ・ミサ・エスト」までのミサ通常文は
普通はバラバラに作曲されることが多かったようですが、
それを一人の人が通しでセットとして作ったのは
これが世界で最初、ということです。
これがきっかけとなって多くの作曲家がミサ曲を書いていくわけで、
やはり音楽の歴史の中で重要な位置を占める曲と考えます。
CDとしては、何ともゴシック! という感じのデラーコンソートと
美しくまとめ上げたヒリアード・アンサンブルのものがお勧めです。
デラーのものは先のペロタンの曲が入っているのと
ヒリアードのものはマショーの
「わが終わりはわが始め、わがは始めはわが終わり」という
メロディが前からと後ろからと同じになっている回分のような曲が
入っているのがそれぞれの魅力でしょうか。

・デラーコンソート「Machaut: Messe a Notre Dame」
 

・ヒリアード・アンサンブル「Messe De Notre Dame」
 

YouTubeでサクッとチェックしたい人には、
やはりデラーコンソートの「キリエ」が上がっていますので
こちらをご紹介しておきましょうか。



     *   *   *

こんな音楽があのRLの大聖堂で響いていたのだなぁ、と
想像しながら今回SLの大聖堂でのライブに臨むわけです。
どんな曲を持っていくか、今いろいろと妄想中のヒロシなのでした。

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■パリ・ノートルダム大聖堂のための音楽の捧げ物
・日時:2019年6月8日(土)24:00(6月9日(日)0:00)
・会場:ノートルダム大聖堂
    http://maps.secondlife.com/secondlife/Paris%201900/40/101/254

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