2020年7月5日日曜日

【RL】 ジョン・カーペンター監督の「遊星からの物体X」が想像以上によかった件

皆さんご存じの通り、
僕はシンセサイザーを使って音楽を作っているわけだけれども、
元々シンセサイザーの楽しみというのは自分でイメージする音を作る、
これです。
が、当然のことながら、自分のイメージ通りの音を作るには
それなりに時間がかかるわけで、例えばあのミュージシャンの
あの曲のあそこに出て来るあの音が欲しい、といった場合、
一から作ると時間がかかってしまうのを、
プロのプログラマーたちが作って「音色パッチ」として売ってます。
音色のことを「パッチ」というのは、昔のモジュラーシンセが
モジュールとモジュールをケーブルでつないで、
つまりパッチングしていたことによるわけで、冨田勲さんなど、
同じ音を再現していたためにこのパッチの状態を写真に撮ったり
していたそうなんですが、まぁ、そういう理由です。

で、僕もやっぱり「あの音がほしい」と
そんな音色パッチを購入するのですが、その中によく
「Carpenter Sound」という名前の音色があったりするのです。
皆さん、どんな音だと思いますか?
最初の頃、僕は自分の好きな70年代に一斉を風靡した
デュオの名前を思い浮かべて、もしかして「This Masquerade」の
あのフルートの音だろうか? とか、
「Close to You」のイントロのピアノの音だろうかとか
想像しながら音出しをしてみるのですが。。。
必ずといっていい程、低音の不気味な音が出て来るのです。w
これ、同じことを何度もくり返してやっと気づくようになりましたが、
歌の「カーペンターズ」ではなくて、
映画監督の「ジョン・カーペンター」の映画に出て来る
音楽や効果音をイメージさせる音色だったのです。
音色パッチの名前で「カーペンター」と出て来たら、
もう100%その意味だと思って頂いてよいです。www

このジョン・カーペンターという監督、
「ハロウィン」などのホラーや「遊星からの物体X」で有名ですが、
ご自身で音楽を製作されることも多くて、
今言った「ハロウィン」や「ニューヨーク1997」、
「パラダイム」や「ゼイリブ」といった作品でクレジットされてます。
2015年にはご自身のファースト・アルバムまでリリースされてる、
そんな方なんですね。
勿論、僕もこの監督の作品はいくつも見ているのですが。。。

今書いた「遊星からの物体X」は有名なのにも拘わらず
見ていなかったのです。
これは元々1951年に公開されたSF映画「遊星よりの物体X」の
リメイクバージョンで
(今気づいたけど日本語タイトル微妙に違うのね。w)、
大体リメイクはオリジナルより落ちる、という思い込みから
見ていなかったのですよ。
前に自分のSF映画ベスト20の記事を書いた時に、
「宇宙戦争」はスピルバーグ監督のバージョンの方が
SFX とか効果はすごかったものの、
結局映画としては1953年版の方を挙げたりしましたね。

それで話は昨年に戻るのだけれども、
1950年代がテーマだった SL16B でケルパさんが
1951年の SF 映画「地球が静止する日」に出て来る
ロボット「ゴート」をモチーフにしたステージを作ってくれて、
それがきっかけで僕も1950年代の SF 映画を見直した、
というのがあります。
「地球が静止する日」はキアヌ・リーヴスが主演する
2008年版の方は見ていて、これはこれで壮絶なスゴイ作品でしたが、
やっぱり1951年版のあの暗いモノクロの光と影から来る
どうしようもないような不安感や恐怖はそれを上回る雰囲気です。
で、「遊星よりの物体X」や「恐怖の町」も見たいと
古い作品をよくやってる Amazon Prime をチェックしていたのです。

しかし、なかなか上がって来ないので、
ジョン・カーペンター監督のリメイク版でもいいや、
なんて思っていたら、こっちもなかなか上がって来ない。
続編の方は何度も上がって来るんですけどね。
そしたら、先日、遂に Amazon Prime に追加されたではないですか!

・遊星からの物体X(1982年)
 https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00G9TO2BY/ref=atv_dp_share_cu_r

で、早速見てみましたよ。
そしたら、これが思ったよりよかったのですよ!
SF 好きの人は当然見てるでしょうから「今更」という感じでしょうが。
冒頭、南極大陸を飛ぶヘリコプターが映ります、
と、このヘリ、地上を走る犬を執拗に追いかけているのですね。
もうこのシーンから、カラー作品なのにも拘わらず、
白黒映画のような不安を感じさせる絵の作りなんです。
こういう撮り方、うまいなぁ、と思うんですね。

で、そのうち、どうも見たことのない生物が
犬や人に乗り移ったらしいことがわかるのですが、
そもそも皆南極の生活で精神が参ってしまっているらしいところ※に
仲間のうち誰かがその生物なのかもしれない、と疑心暗鬼に。
これ、怖いですねぇ。
エイリアンものの SF って大体宇宙人が出て来て地球を攻撃する、
或いは人間に乗り移った場合は気持ち悪い姿になったりする、
というのが典型的なパターンなんですが、
そのエイリアンらしいものは死体でしか登場せず、
仲間の人間もエイリアンに突然変異したりしないので逆に怖い。
果たして主人公たちはその物(The Thing)を撃退できるのか、
いや、そもそもその主人公たちにこそ、
その物が乗り移っているのではないか。。。

SFX らしいものは殆ど出て来ませんが、
さすがホラーを得意とする監督だけあって、
この絵の作り、終始不安感を漂わせながら、
本当にドキドキハラハラさせられます。
どうなるんだろう、どうなるんだろう、と思いながら、
一気に最後まで見せられます。

これは、1951年版との比較が無意味になるほど
単独で見ておもしろい作品です。
先日のベスト20のリストに加えてもよいかも。。。
いやいや、こうなると1951年版も見てみたいですね。
そっちもリストに入りそうな気がしてきました。^^
Amazon さん、よろしくお願いします!

因みにこの作品、音楽はジョン・カーペンター監督ご自身ではなくて
映画音楽を得意とするエンニオ・モリコーネさんです。
この音楽もまた素晴らしいので、まだご覧になられてない方、
おすすめです。^^

     *   *   *

※南極生活で参ってるらしい、というのは冒頭のシーンで
 各隊員が卓球をしたり雑誌を読んでたりする気晴らしする中で、
 主人公の一人は独り部屋に籠もってウィスキーの J&B を片手に
 明らかに Apple II と思われる「Chess Wizard」を使って
 コンピュータ相手にチェスを楽しんでいるのですが、
 勝つと思っていたのが、コンピュータにチェックメイトされると
 そのコンピュータの中を開けて(本来フロッピードライブの場所)
 飲んでいたウィスキーを基板にぶっかけて壊してしまうのが
 個人的には超ウケました。
 のっけから、こいつヤバイやつだな、と思わせますよね。
 真っ昼間から何杯もウィスキーあおってるし。www

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