2021年1月9日土曜日

【RL】 「鬼滅」に思う日本語と中国語の語順逆転

昨年は——そして今も——街中が「鬼滅の刃」関連一色で、
「鬼滅」とコラボした会社の収益が向上するといった
このアニメが新型コロナで打撃を受けた日本の経済に
貢献した部分も大きいように報じられています。
映画館ではあまりアニメ作品を観ない僕ですらさすがに気になって
結局は観に行きましたからね。w

けれども、「鬼滅」のことが気になったのは、
実はアニメ版のテレビシリーズが2年前に始まった時、
つまり「鬼滅の刃」の存在を初めて知った時のことなのです。
「鬼滅」というこの語順にです。
アニメでは「鬼殺隊」という言葉も出てきますが、
何れも漢語であるにも拘わらず、「鬼ヲ滅スル」「鬼ヲ殺ス」という
目的語+動詞の日本語的な語順になっていることです。
勿論日本で作られた漢語なので、
別に中国語の語順を意識する必要などないわけですが、
日本で新たに漢語を作る場合に、
2つのタイプがあるなぁ、と思い出したのです。

例えば「挙式」や「改札」、それから「立腹」という言葉。
これらは何れも中国語にはありません。
が、「式ヲ挙ゲル」、「札ヲ改メル」、「腹ヲ立テル」など
日本語の表現を漢文風に動詞+目的語で表したものです。
その一方で、「心配」や「酒乱」など
「心ヲ配ル」、「酒ニ乱レル」と、目的語+動詞のものもあります。
更には「備忘録」のように「忘レニ備エル」と動詞+目的語でも
「忘備録」と目的語+動詞の表現も許容するものまであって
特にこれなどはどちらが本来の表現だったかと
辞書で確認することがよくあります。

ここで気になるのは、実は私達がよく使っている漢語で
日本語と中国語で語順が逆、というものが結構あることです。
これは台湾の友人が指摘して僕の意識に上るようになったものです。
例えば、ぱっと思い付くものを挙げると、

(日本語)     (中国語)
 平和        和平
 運命        命運
 先祖        祖先
 貸借        借貸
 売買        買売
 感銘        銘感
 習熟        熟習
 従順        順従
 熱狂        狂熱

「和平」や「命運」、「祖先」などは日本語でも使われますが、
語順が変わると意味も少し変わるところがおもしろいですね。
例えば「我が家の先祖」に対して「人類の祖先」という感じで、
「我が家の祖先」とはあまり言わないですね。

「売買」は日本語の発音が「バイバイ」で、
中国語も「マイマイ」で、日本語を書いていても
中国語を喋っていても、いつもどっちがどっちかわからなくなるので
毎回国語辞典や中国語辞典で確認する始末です。^^;
最後の「狂熱」に関しては、日本語ではあまり使われませんが、
唯一、僕の好きなレッドツェッペリンの映像作品で
「狂熱のライブ」があって、語順が逆なだけに
印象的なタイトルだと思いました。

このように日本語も中国語も同じ漢字を使い、
日本語の中で生まれて来た漢語もたくさんあるので
中国語を勉強していると時に混乱することがあるわけです。

で、話を「鬼滅」に戻すと、この表現、中国や台湾の人たちは
どう捉えたのだろうと思って Wikipedia で確認してみると、

鬼滅之刃(「刃」の字は中国の字体)

と、日本語そのままのタイトルのようです。
「鬼殺隊」もそのまま。
何れも固有名詞的に捉えられているようですね。
一方、説明文中には「踏上斬鬼之旅的和風刀劍奇譚」となっていて
やはり「斬鬼」と動詞+目的語の表現になっています。
中国語だから当たり前か。w

というわけで、「鬼滅」の映画やアニメの内容とは
全然関係のないつぶやきでした。^^;
失礼! 

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