2021年11月16日火曜日

【翻訳記事】 エノク書〜その3(第百六章〜第百七章)

さて、エノク書の翻訳の続きです。
前回、前々回にかけて、天使たちが人間の女性と交わり
それによって巨人たちが生まれたことや、
その天使たちが人間に天界の者しか知らない秘密や技術を教え
人間を堕落させ、主がそれに対して罰を命ずる件(くだり)を
お伝えしたわけですが、それから時代が下り、
エノクの曾孫であるノアが生まれた時の話を
今回は訳しておきたいと思います。
これはエノク書の最後の方に「ノア書断片」として
記載されているものになります。
これによって私たちは、ノアという人が生まれた時から既に
神によって選ばれた人であることを知るのです。

     *   *   *

エノク書
〜エチオピア語版に基づく英語版からの重訳〜

   第百六章

1. 数日後我が子メトシェラ、息子のレメクに妻を娶(めと)り、妻はレメクによりて孕み、男子を生めり。2. 此子の体雪の如く白く又薔薇の咲けるが如くに赤く、頭髪とその長い巻き毛とは羊毛の如く白く、その瞳美しかりき。目を開けるや日輪の如くに家全体を照らし出す故、家全体が明るくなりぬ。 3. 其後産婆の両掌の上に立ち、口を開きて正義の主と会話せり。 4. 是に其父レメクは此子を恐れて逃げ、父メトシェラの許に往けり。 5. 彼父に向かひて曰く、「我不思議なる子を生めり。人と異なり、人のやうでなく、天なる神の子に似たるなり。其性質たるや我等に似ず、我等に異なれり。其目は日輪の如くにしてその面には栄光が満るなり。 6. 故に我思ふにこは我より生まれひ子に非ずて天使の子に非ずやと。 我又恐る彼長じて此地に驚異の業を為しはせぬかと。 7. 其故父よ、今我此処に有るは汝に冀(こひねがふ)為なり。即ち、我等が祖なるエノクの許に往きて彼より真実を聞き給はんことを願ふなり。何とならば彼の棲家は天使等の中にあるなればなり」と。 8. 斯てメトシェラ息子の言を聞くや地の果てなる我が所に来たれり。彼我が彼処に住むことを聞きし故なり。彼大声で叫び、我彼の声を聞きて彼の所に下りて来し。我彼に言ふ「我が子よ、見よ、我此処にあるなり。汝何故此処に至れるや」と。 9. 是に彼答へて曰く、「大いなる心配の種がある故、父の許に来たるなり。又我が近づきし気がかりな幻の故なり。 10. されば父よ聞き給へ。我が子レメクに男子が生まれしが、此子の如き者他におらず、其性質たるや人の其に似ず。又其体雪より白くして、薔薇の花咲けるよりも赤きなり。其頭髪は白き羊毛より更に白く、其目は日輪の光線の如くなり。故に彼目を開ければ其の光によりて家全体が照らされるなり。 11. 又産婆の両掌の中に立ち上がるや口を開きて天なる主を祝福するなり。 12. 故(かれ)其父レメクは恐れを成し、我が所に逃げ来て言ふやう、彼子は彼より生まれた者にとは信ぜられず、天なる天使の如く有様であると。されば見よ、我父の許に来たりしは、我に真実を聞かせ給ふことを願へばなり」と。 13. 我エノク彼に答へて曰く、「主は此地に新しき事を為さんとしておられる。此事我もまた幻に見き。故に汝にも話して聞かせんと思ふ。即ち、我が父イエレドの時代、主の言を守らざりき天使達あり。 14. 是に於て見よ、此者達罪を犯し、法を破り、人の女子と交わり、彼女等と共に罪を犯し、その中から選びて娶り、彼女等によりて子を設けり。 17. 此者等が此地に生み出せし巨人は霊によらず肉によるものなり。其故此地に大いなる罰が下り、地上の不浄なもの全て浄められることにならん。 15. 然り、全地を覆ふ大いなる破壊が起こり、一歳にわたりて大洪水と大いなる破壊が続くであらう。 16. 是に汝に生まれし此男子は此地に残り、其三人の息子等が共に救はれん。此地の人が全て死に絶える時(彼と彼の息子達は救はれる。) 18. されば汝の子レメクに告げよ、彼に生まれし子は真実彼の子なりと。そして其子にノアと名付けよ。汝に残されし(ヌア)故に。又其の子とその子の息子達は破壊を免れると。此破壊はあらゆる罪とあらゆる不義の故に此地に齎されしもの、此等の罪と不義はかの子の時代に終焉を迎へん。 19. 其後、最初に此地で終焉を迎へたより更なる不義が生まれ出づるであろう。我聖なる者の神秘を知る故なり。主は我に此事を見せ、教へ給ひ、我天の石板にて之を読みし故なり。

   第百七章

1. 我又其の石版に書かれたるを見たり。即ち、何世代にもわたりて矩を越え、やがて正義の世代が現れて矩を越えし者らは滅ぼされ、罪といふ罪は此地上より消え去らん。地上には全て善きものが訪れる。 2. 其故我が子よ、此事偽りに非ず」と。 3. 斯てメトシェラ其父エノクの言を聞き——エノクがメトシェラに秘密の事を全て示した故に——、戻りて此事を息子に伝え。其息子にノアと名付けた。此子が全ての破壊の後に此地の慰め(ナハム)となるが故に。

    *   *   *

何と、ノアは生まれた時から他の普通の人とは違っていたようです。
その父レメクの解釈によると天使の子ではないか、と。
そして現代の「古代宇宙飛行士説」によると宇宙人の子ではないかと。
もしそうだとすると、今生きている私たちは皆ノアの子孫なわけで、
皆天使の子孫か宇宙人の子孫ということになるわけです。^^;

私がノアの方舟と大洪水の物語に思うのは、
もしかすると大洪水の前は、今とは違った科学が存在していて、
より高度な文明が発展していたのではないかということ、
そして、大洪水を生き残った我々が編み出したのは、
地球環境と相反するような程度の低い科学だったのではないか、
そうだとすれば、今は矛盾だらけに見える経済や科学の発展と
地球温暖化とは無縁の文明が存在する可能性があるのではないか、
そういう人間の可能性なのです。

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