2019年3月10日日曜日

【iPhone/iPad】KORG Gadget が進化した?〜第2世代としてアップデートされた中身を検証してみた

もう、今年1月に米国で行われた NAMM で発表されて以来、
発売が待たれていた KORG Gadget 2 が
1週間ほど前にとうとう出て来ましたね。
アップデートが無料の iOS 版は勿論、
有料の Mac 版も、コルグ登録ユーザーの僕は
優待クーポンがあるということで、
毎回のごとく騙されてるな〜と思いながらも早速購入しましたよ。
これ、やっぱり iOS 版と Mac 版で連携できるのがいいんですよね。

KORG Gadget はこれまで何度も大きなアップデートがありましたが、
今回は名前が変わって KORG Gadget 2 と「2」が付きました。
そして、2で作った曲については
これまでのバージョンでは扱えないということで、
謂わば別のアプリとなった感があります。
ですので、これからアップデートしようかな、と思われている方は
よく考えてからの方がいいですよ。

更に、広告では「進化」「第2世代」なんと銘打ってるくらいなので、
じゃあどんな機能が追加になったのだろう?
第2世代と言えるくらいの何が追加になっているのだろう?
というので、早速いろいろいじってみましたよ。

190310a.jpg

ポイント1:iMS-20 と iPolysix が利用可能に

まず、コルグユーザーとして嬉しいのは、
コルグの音楽アプリで最も最初期にリリースされた
iMS-20 と iPolysix がガジェットに追加されたことですね。
というか、 Gadget が最初に出た時に、
何でこの2つが入ってないの? というのが寧ろ不思議でした。
Phoenix ってガジェットは Polysix を連想させるけどそうじゃない、
また、モジュラーシンセも Dublin なんて。。。
その後 M1 も Wavestation も Mono/Poly も追加されたのに、
この2つだけがず〜っと置き去りにされてたんですよね。

で、今回、漸くガジェットに取り込まれたわけなんですけど、
iOS 版については、デフォルトのガジェットとしてではなく、
iPad 版の iMS-20 と iPolysix を購入済みの人にだけ
ガジェットの一覧に表示されるという仕様になってます。
なので、僕の場合は、 iPad の方には表示されるけれども、
iPhone の方では使えない、というちょっと残念な結果に。
まぁ、iPhone ではガッツリいじるわけではないので
実際にはそれほど支障はないでしょうが。。。

いいな、と思ったのは、Gadget 2 で MS-20 (Memphis) や
Polysix (Pompei) を開くと、ユーザーパッチのところに
既に iMS-20 や iPolysix で作った音色が表示されていること。
インポートとかしなくても自動的に連携されているのはいいですね。
他のガジェットについても皆そうなってるといいのだけれど。

というのは、欲を言うと、このユーザーパッチの扱いが
ガジェット毎に異なっていて、MS-20、Polysix の他、
Wavestation も自動的に反映されるけれども、
Mono/Poly は自動的に反映されずに、手動で反映する必要があり、
iMono/Poly 側にある「Gadget にエクスポート」というボタンは
プログラムを1個しか転送せず、バンク単位での転送ができないのだ。
あと、M1 に至っては、iM1 のユーザーカードが表示されないという
初期の頃からの仕様が変わっていないのもイマイチ。
必要に応じてライブラリカードにコピーしないといけないんだよね。
あと、Module で購入した Triton のプログラムが
Glasgow に現れないのも何とかしてほしいねぇ。
Ivory は Salzburg に表示されるんだけどね。。。

まぁ、いろいろ文句言ったけど、
何はともあれ、MS-20 と Polysix が追加されたことを喜ぼう。

ポイント2:外部の音楽アプリをコントロール可能に

今回その MS-20 である Memphis、Polysix である Pompei と共に
新たに追加になったのが Taipei というガジェット。
実はこれ、ガジェット内 MIDI コントローラーなのだ。
画面を開くと写真のような感じで、
バックグラウンド・オーディオで立ち上がってる
外部の楽器をコントロールできちゃうわけなのです。

190310b.jpg

なので、これまではガジェットで作ったトラックに
例えばミニモーグや Sample Tank のサンプリング音を足したい時、
これらを Cubasis に持ち込んでミックスダウンしてたわけなんですが、
今回のバージョンでは Gadget 本体で最終的な音のイメージを
まとめることができるわけです。
ここは第2世代と言ってもいい点かな。
但し。。。
あ、この話はまたあとで。。。w

ポイント3:シーン毎にテンポが変えられる

僕が最も評価したいのはここかも。
何と、シーンごとにテンポが変更できるんですね。
ダンスミュージックとかだと一定のテンポでというのが普通かもですが、
クラシックとかの場合だと、
寧ろ曲の途中でテンポが変わるのが普通なので、
殆どの iOS の音楽制作アプリでは対応されていないことに
ずっと不満を感じて来たのです。
PC ベースの、Live やら Cubase、ガレージバンドでも
当たり前の機能なんですけどね。

190310c.jpg

PC ベースの音楽制作ソフトでは、楽曲の時間軸に沿って
「テンポトラック」というものを持っていて、
このトラックに対して変更を行いますが、
時間軸を持たない Gadget 2 では、
テンポが変わった後の方のシーンのテンポ設定のところで
これができるようになりました。
即ち、「シーンテンポ」ボタンを「有効」にして、
このシーンに固有のテンポを設定、
更に「スムース」というボタンを押すと、
前のシーンの最後のところからだんだんテンポが変わってきます。
これを押さないと急に変わる感じかな。

     *   *   *

とまぁ、こんな感じの機能が追加になっているので、
早速お試しに、と思って一発録りで作った曲を
SoundCloud にアップしましたので、
興味のある方は聞いてみて下さい。

・Future Generations: KORG Gadget 2 Test
 https://soundcloud.com/hiroshi-kumaki/future-generations

とりあえず、MS-20 と Polysix の音でベーストラックを作ったものの、
テンポチェンジと外部コントロールのテストを兼ねて、、、と
出だしは Sample Tank のスローなアコースティックギター音、
そしてリードはミニモーグモデル D の音という、
コルグさんにはちょっと意地悪なアレンジになっております。w

更に。。。

実はこの録音、ズルをしています。
最初 SoundCloud に上げようとして、WAV にエクスポートしたところ、
何と、外部音源の音がそっくり抜けているではないですか!!?
よく考えるとそりゃそうで、
あくまでも Taipei がコントロールしている外部音源は、
バックグラウンド・オーディオで個別に鳴っているわけで、
Gadget 2 の中の音ではないのですから。
先に書いたように、これで Gadget 2 でトータルに音が作れる
と思っていたところでしたので、これにはかなりがっかりしました。
そう言えば、Gadget って、Audiobus に対応してるのは
入力の方だけで、他の DAW アプリみたいに出力には
対応してないんですよね。
Zurich 経由でもいいので、他のアプリの音も
取り込めるようになるといいのに、と思った次第です。

そこで、今回のズルの内容です。
そう、勿論この方法が一番手間がかからなかったですね。
つまり、Audiobus を立ち上げて、
Gadget 2, Sample Tank CS, Model D の音を
iRig Recorder Free という単に録音だけできるアプリで受け止めて
そこからファイルに書き出した、という次第です。
今回のような状況では Audiobus 様様でした。

この KORG Gadget 2 のアップデートとほぼ時を同じくして
僕が iOS の初期の頃に使っていた Nanostudio も2 にアップデート。
こちらも曲の途中でのテンポの変更などができるようになり、
シンセもアナログだけでなく FM とか何でもありの内容になってます。
またまた iOS での音楽制作が面白くなりそうな予感です。