2021年11月30日火曜日

ヒロシのニューアルバムの曲を聴き比べ〜その3・サンライズ

 
ヒロシの曲の聴き比べの第3弾は、「サンライズ」です。
この曲は、東日本大震災を機に、被災地の方々を何とか支援したいと
自分にできることは歌を作ることぐらいだと
そんな気持ちで作った曲なんですが、震災直後の2011年、
被災地を訪れた僕はとても生半可なメッセージは送れないと
現地の状況にあまりに衝撃を受けて何もできないでいたのでした。

漸く曲がまとまったのが2014年頃だったかと思います。
僕の歌で、ピアノの弾き語りで最初のバージョンを披露したのでした。
その後、2015年に病気で入院した時に、時間はたっぷりありますから、
持ち込んでいた iPad でアレンジしたのが
YouTube に映像として上がっているヒロコバージョンになります。
この頃は、キーボーディストとしての憧れでもある、
どこにいても音楽制作ができる環境、を追求していたので、
どこまで iPad とちゃっこい MIDI キーボードでできるか
試していた時期でもあります。

今回、アルバムに収録するに当たって、
この iPad バージョンから音源をデスクトップの、
つまり Mac の音源に差し替えてみました。
同じような音を追求してはいますが、
さて、皆さんはどちらがお好みでしょうか?
すごく微妙なんですけどね。^^;

■熊木博士「サンライズ」iPad バージョン
 

■熊木博士「サンライズ」アルバムバージョン
 

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2021年11月29日月曜日

ヒロシのニューアルバムの曲を聴き比べ〜その2・大クマクマ音頭

 さて、「ヒロシのニューアルバムの曲を聴き比べ」の第2弾です!
今回はやっぱり、どうも配信サイトで一番聴かれているらしい
ナチュさん作詞、winds 隊長作曲の「大クマクマ音頭」です。^^
正直、この曲はあまりに内輪ウケ過ぎて
一般にはどうだろう? と思いつつアンコールの位置づけで
一番最後に収録したのですが、
何と、僕の知り合いのプロのミュージシャンの方も、
聴いたよ〜、クマックマぁ、おしまい!
って、どうもこの曲が一番印象に残った様子。^^;
こじゃさんがヘビロテしてるということなので、
そのこじゃさんの貢献も大きいかも?
こじゃさん、ありがとぉ〜!m(_ _)m

今回は決定版ということで新たにアレンジ、録音し直したわけですが、
そんな決定版と聴き比べるとしたら。。。
やっぱりお祭り感の強いこのバージョンでしょう!
そう、しんさんの Hot Shot Live でこれまた一番ヘビロテされてる
2013年の Sound Camp の時のもの。
当時まだ「ヒロコ」を投入してなかったので自分で歌ってて
まぁ、歌は超ヘタクソなんですけど、何かノリがいいんですよね。
そのノリを支えてくれているのがダンマスのくろまさんで、
みんなが日本風な踊りをしている姿が印象的です。
約40分の動画ですが、大詰めの29:50くらいからが
この「大クマクマ音頭」になりますので、是非お楽しみ下さい!^^

■熊木博士演奏「大クマクマ音頭」(29:50より)
 

■熊木博士演奏「正調・大クマクマ音頭」
 

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2021年11月28日日曜日

ヒロシのニューアルバムの曲を聴き比べ〜その1・メロディ

 さて、僕がこれまでに作った歌のアルバム
『Songs from a Virtual World』が全世界リリースされてから
大体1月が経ちました。
そこで、契約している会社から営業成績のレポートがあったけど
まぁ、なんとショボイ成績なのでしょう。w
一緒に活動してるこじゃさんとかはヘビロテして下さってるらしく
そういうフレの皆さんには大変申し訳ないと思ってる次第。
そこで少しばかりこのニューアルバムの宣伝をさせて戴きますね。

アルバムに収められた11曲それぞれの解説は既に書いた通りですが、
今回殆どの曲をいつも SL で演奏しているものとは異なるアレンジや
ミックスでお届けしているわけなのです。
それはやっぱり皆さんが繰り返し聴いて頂くのは
イベントでやってるのとは変えた方がおもしろいかな、と
そう考えたからなのですが、
そういう意味では、今回のアルバム以前に
既に YouTube や SoundCloud で公表しているものがあるわけで、
今回のアルバムでどう変わったか、お聞き頂くのもよいかなと、
従来のアレンジとアルバムアレンジを聴き比べて頂く企画をしました。
題して「ヒロシのニューアルバムの曲を聴き比べ」!
(まんまやん。www)

その第一弾は、アレンジが全く異なる「メロディ」、
これ、行ってみましょう。
ご存じの通り YMB のあおいちゃんが作詞してくれた曲。
前作「同じ場所」がテンポのよい曲だったので
しっとりした曲に仕上げようと作曲したら
何だか70年代の「ニューミュージック」みたいな曲になったので
そのまんま70年代風なアレンジをしたのが
今回アルバムに収められているバージョンの元になってます。
その後、あおいちゃんから、ギター1本の弾き語りみたいな
そういうアレンジでも聴きたい、という話があって
漸く YouTube の動画として仕上げたのが昨年のこと。
皆さんはどちらのアレンジがお好みでしょうか?

■熊木博士作曲「メロディ」・ヒロコのギター弾き語りバージョン
 

■熊木博士作曲「メロディ」・アルバムバージョン
 

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2021年11月16日火曜日

【翻訳記事】 エノク書〜その3(第百六章〜第百七章)

さて、エノク書の翻訳の続きです。
前回、前々回にかけて、天使たちが人間の女性と交わり
それによって巨人たちが生まれたことや、
その天使たちが人間に天界の者しか知らない秘密や技術を教え
人間を堕落させ、主がそれに対して罰を命ずる件(くだり)を
お伝えしたわけですが、それから時代が下り、
エノクの曾孫であるノアが生まれた時の話を
今回は訳しておきたいと思います。
これはエノク書の最後の方に「ノア書断片」として
記載されているものになります。
これによって私たちは、ノアという人が生まれた時から既に
神によって選ばれた人であることを知るのです。

     *   *   *

エノク書
〜エチオピア語版に基づく英語版からの重訳〜

   第百六章

1. 数日後我が子メトシェラ、息子のレメクに妻を娶(めと)り、妻はレメクによりて孕み、男子を生めり。2. 此子の体雪の如く白く又薔薇の咲けるが如くに赤く、頭髪とその長い巻き毛とは羊毛の如く白く、その瞳美しかりき。目を開けるや日輪の如くに家全体を照らし出す故、家全体が明るくなりぬ。 3. 其後産婆の両掌の上に立ち、口を開きて正義の主と会話せり。 4. 是に其父レメクは此子を恐れて逃げ、父メトシェラの許に往けり。 5. 彼父に向かひて曰く、「我不思議なる子を生めり。人と異なり、人のやうでなく、天なる神の子に似たるなり。其性質たるや我等に似ず、我等に異なれり。其目は日輪の如くにしてその面には栄光が満るなり。 6. 故に我思ふにこは我より生まれひ子に非ずて天使の子に非ずやと。 我又恐る彼長じて此地に驚異の業を為しはせぬかと。 7. 其故父よ、今我此処に有るは汝に冀(こひねがふ)為なり。即ち、我等が祖なるエノクの許に往きて彼より真実を聞き給はんことを願ふなり。何とならば彼の棲家は天使等の中にあるなればなり」と。 8. 斯てメトシェラ息子の言を聞くや地の果てなる我が所に来たれり。彼我が彼処に住むことを聞きし故なり。彼大声で叫び、我彼の声を聞きて彼の所に下りて来し。我彼に言ふ「我が子よ、見よ、我此処にあるなり。汝何故此処に至れるや」と。 9. 是に彼答へて曰く、「大いなる心配の種がある故、父の許に来たるなり。又我が近づきし気がかりな幻の故なり。 10. されば父よ聞き給へ。我が子レメクに男子が生まれしが、此子の如き者他におらず、其性質たるや人の其に似ず。又其体雪より白くして、薔薇の花咲けるよりも赤きなり。其頭髪は白き羊毛より更に白く、其目は日輪の光線の如くなり。故に彼目を開ければ其の光によりて家全体が照らされるなり。 11. 又産婆の両掌の中に立ち上がるや口を開きて天なる主を祝福するなり。 12. 故(かれ)其父レメクは恐れを成し、我が所に逃げ来て言ふやう、彼子は彼より生まれた者にとは信ぜられず、天なる天使の如く有様であると。されば見よ、我父の許に来たりしは、我に真実を聞かせ給ふことを願へばなり」と。 13. 我エノク彼に答へて曰く、「主は此地に新しき事を為さんとしておられる。此事我もまた幻に見き。故に汝にも話して聞かせんと思ふ。即ち、我が父イエレドの時代、主の言を守らざりき天使達あり。 14. 是に於て見よ、此者達罪を犯し、法を破り、人の女子と交わり、彼女等と共に罪を犯し、その中から選びて娶り、彼女等によりて子を設けり。 17. 此者等が此地に生み出せし巨人は霊によらず肉によるものなり。其故此地に大いなる罰が下り、地上の不浄なもの全て浄められることにならん。 15. 然り、全地を覆ふ大いなる破壊が起こり、一歳にわたりて大洪水と大いなる破壊が続くであらう。 16. 是に汝に生まれし此男子は此地に残り、其三人の息子等が共に救はれん。此地の人が全て死に絶える時(彼と彼の息子達は救はれる。) 18. されば汝の子レメクに告げよ、彼に生まれし子は真実彼の子なりと。そして其子にノアと名付けよ。汝に残されし(ヌア)故に。又其の子とその子の息子達は破壊を免れると。此破壊はあらゆる罪とあらゆる不義の故に此地に齎されしもの、此等の罪と不義はかの子の時代に終焉を迎へん。 19. 其後、最初に此地で終焉を迎へたより更なる不義が生まれ出づるであろう。我聖なる者の神秘を知る故なり。主は我に此事を見せ、教へ給ひ、我天の石板にて之を読みし故なり。

   第百七章

1. 我又其の石版に書かれたるを見たり。即ち、何世代にもわたりて矩を越え、やがて正義の世代が現れて矩を越えし者らは滅ぼされ、罪といふ罪は此地上より消え去らん。地上には全て善きものが訪れる。 2. 其故我が子よ、此事偽りに非ず」と。 3. 斯てメトシェラ其父エノクの言を聞き——エノクがメトシェラに秘密の事を全て示した故に——、戻りて此事を息子に伝え。其息子にノアと名付けた。此子が全ての破壊の後に此地の慰め(ナハム)となるが故に。

    *   *   *

何と、ノアは生まれた時から他の普通の人とは違っていたようです。
その父レメクの解釈によると天使の子ではないか、と。
そして現代の「古代宇宙飛行士説」によると宇宙人の子ではないかと。
もしそうだとすると、今生きている私たちは皆ノアの子孫なわけで、
皆天使の子孫か宇宙人の子孫ということになるわけです。^^;

私がノアの方舟と大洪水の物語に思うのは、
もしかすると大洪水の前は、今とは違った科学が存在していて、
より高度な文明が発展していたのではないかということ、
そして、大洪水を生き残った我々が編み出したのは、
地球環境と相反するような程度の低い科学だったのではないか、
そうだとすれば、今は矛盾だらけに見える経済や科学の発展と
地球温暖化とは無縁の文明が存在する可能性があるのではないか、
そういう人間の可能性なのです。

2021年11月15日月曜日

【翻訳記事】 エノク書〜その2(第十章〜第十一章)

前回、「エノク書」の天使たちが地上に降りて来て
人間と交流するところを訳出しましたが、いかがでしたでしょうか?
この部分の描写、もうそのまま
SF やファンタジーの映画になりそうでしょ?
実際、前回紹介した2014年の映画「ノア 約束の方舟」は、
こうした表現で聖書と異なる表現がありながらも
世界中で大ヒットしたようですね。

さて、前回は大地の訴えに対して
四人の天使たちが主に対してこのままでいいのか!?
と詰め寄るところまででしたが、今回はその続き、
四人の天使に対する主の回答になります。

     *   *   *

エノク書
〜エチオピア語版に基づく英語版からの重訳〜

   第十章

1. 是に於て至高なる者、聖なる偉大なる者声を上げ、ウリエルをレメクの息子の所に遣はして曰く、 2. 「(ノアの所に往(ゆき)て)我が名によりて彼に告げよ、『身を隠せ』と。又近づきつつある終末を彼に見せよ。即ち、地上の物は全て滅ぼされん。全地を大洪水が覆い尽くし、その洪水によりて地上にある物全てが死に絶えんと。 3. 又彼のみはこの大洪水を免れ、彼の子孫がこの世界で永遠に生き続けるべく導け」と。 4. 主又ラファエルに向かひて曰く、「アザゼルの手足を縛り、彼(か)の者を暗黒の淵に投げ込め。即ち、ドゥダエルなる沙漠に開口部を作り、その中に彼の者を投げ込むべし。 5. 彼の者の上に荒く、堅い岩を敷き、闇で覆い、永遠に其処から動くことのできぬやうにせよ。又一切光を見ることなきやうその顔を覆へ。 6. 斯て大いなる審判の日に彼の者は炎の中に投げ込まれん。 7. 又天の子らが汚した大地を浄め、大地が浄められたことを公に告げよ。即ち、疫病は癒され、見張りの者たちが暴き、人の子達に教へし数々の秘密によりて人の子が根絶やしにされることはなからん。 8. 何とならば全地が汚されたのはアザゼルが教へし業によるものなれば、全ての罪は彼の者が負うべき為なり」と。 9. 主又ガブリエルに向ひて曰く、「庶子、堕落した者、姦淫によりて生まれた子等を訴へよ。人の中から姦淫によって生まれた子、見張りの者の子を洗い出して之を滅ぼせ。互ひに戦わせ、戦ひの中でこの者等が自滅するやうにせよ。彼の者等長命を得ること能はず。 10. 即ち、其の父親達が子等の為に願ふ願ひは聞き届けられることなし。即ち、此の父親等は自ら永遠の生を願い、其子なる者何れも五百年は生きることを欲せり」と。11. 主又ミカエルに向かひて曰く、「往てセミアザ及び女と交はりて之によりて身を汚しし輩を縛り上げよ。 12. 即ち、其子等が互ひに殺戮し合ひ、愛する子等が滅びるを見せた所で地の谷の深き淵に七十世代にわたりて此者共をきつく縛り留めよ。 13. 故(かれ)此者共の審判と終焉の日に至る。其は永久(とこしへ)に続く審判の終焉する時なり。其日此者等は他に先んじて炎の淵へと導かれ、永遠に苦痛の中に獄に繋がれん。 14. 又罪と定められし者、滅ぼされし者も皆あらゆる世代の終りの時まで此者等と共に繋がれる。 15. 又堕落した者及び見張りの者の子等の霊を全て滅ぼせ。彼等が人の道を誤らせし故なり。地上の全ての邪(よこしま)なる物を滅ぼし、全ての悪の所業を終わりにせよ。正義と真実の木を生じせしめよ。(その木は祝福とならん。即ち、正義と真実の賜物は)永久に真理と喜びの中に根付く故に。


17. 其時正しき者等は全て解き放たれ

数千の子孫を設けるまで生き続けん

若き日にありても年を老ひても

常に安らぎに満たされん


18. 其時全地は正義によって耕され、木々が植ゑられ、其は祝福によりて満たされん。 19. 地にはあらゆる望ましき木々が植ゑられ、人は地に葡萄を植えることにならん。彼等が植ゑし葡萄は豊かな葡萄酒を生み、一尺の地に蒔いた種は千の葡萄酒となり、一尺の地なるオリーブは十缶の油を生み出さん。 20. 斯て汝此地を全ての抑圧、全ての不正、全ての罪、全ての邪を浄めよ。此地に為された不浄の業を此地より一切滅しせしめよ。 21. 斯人の子等全て正しき者となり、礼拝を捧げ、我を讃え、我を崇めん。斯大地は全ての堕落、全ての罪、全ての罰、全ての苦痛から浄められる故に、我汝等を地上に遣わす事、何世代にもわたり、永久になからん。

   第十一章

1. 其時我天なる祝福の蔵の扉を開き、人の子の労働と仕事故に之を地に下さん。斯て真実と平和とが共に手を繋ぎ、世界のあらゆる時代にわたり、人のあらゆる世代にわたって続くやう」と。

     *   *   *

こうして物語は講談社文芸文庫版にある第十二章
「エノクの夢に示された異象」へとつながって行くのです。
第十二章の話が何故そのように展開しているかは、
この第六章〜第十一章を読まないとピンと来ませんよね?

次回はこれに続く話ノアの秘話、
「ノアの書の断片」と記された第百六章〜第百七章を訳出します。
お楽しみに!

2021年11月14日日曜日

【翻訳記事】 エノク書〜その1(第六章〜第九章)

 先日聖書の通読を終えた話を書いたけれども、
これは所謂プロテスタントで「正典」とされているものだけで、
新共同訳の聖書では「続編」として収められている
カトリックでは正典扱いのものは含まれてはいません。

プロテスタントで正典とされているもの以外は
通常外典と呼ばれることが多いのですが、
この外典には魅力的なものが多く、
例えば続編に含まれる「ユディト記」の主人公ユディトの物語は
音楽ではヴィヴァルディやモーツァルトも作曲してますし、
絵画ではボッティチェリやカラバッジョ、ゴヤが取り上げ、
多分皆さんが絶対に見たことあると思われる有名なのは

こうして、正典とは認められていなくてもヨーロッパの歴史を通じて
人の心に深く残り影響を与え続けてきた外典の物語は多数ありますが、
その中でも有名なのが「エノク書」です。
これはエヴァンゲリオンで有名になった死海文書の中に
アラム語によるその断片が含まれ、
元はアラム語かヘブライ語だったらしいのですが、
現在残されている者はエチオピア語による訳ということです。
この「エノク書」には「創世記」にたった6行しか触れられていない、
「エノクは神と共に歩み、神が取られたのでいなくなった」
と書かれたエノクが体験した話が108章にわたって綴られているもの。
その中には、200人の天使が地上に降りて来て
人間の女性と交わり巨人を生んだ話など、
聖書でさらっと触れられているだけの話が事細かく書かれています。
このエノク書に手軽に触れることができるものとして


がありますが、何とここではその面白い部分、
第六章〜第十一章、第九十四章以下が割愛されているのです。
訳者によるとエノクと関係のない、寧ろノアの物語のため、
ということですが、そう言えばアマゾン・プライムで見られる
2014年の映画「ノア 約束の方舟」は、
このエノク書を元にした表現がたくさん取り入れられていて
大変おもしろかったです。

さて、その割愛されているノアに関する物語の部分、
ネット上でエチオピア語を英語に初めて翻訳した方の
テキストを見つけることができましたので、
自分の備忘も含めて日本語(文語)にしたものを掲げておきます。
ちょっと長いので3回くらいに分ける予定です。
尚、元の英語は次のリンク先を参照して下さい。


     *   *   *

エノク書
〜エチオピア語版に基づく英語版からの重訳〜

   第六章

1. 人の子等繁衍(ふえ)はじまりて美しく見目佳き女子(おんなのこ)之に生るるに及べる時、2. 天の子なる天使等女子(むすめ)等を見て之を欲し、互いに言ひて曰く、「皆来たれ、人の子らの中より妻を娶り子を成さん」と。3. 此処に指導者なるセミアザ彼等に言ひて曰く、「汝等この事を為すに、誠に裏切りはしまいか、我一人大いなる罪の責めを負はねばなりはしまゐかと恐るるなり」4. 天の子等答へて曰く、「されば皆共に誓ひを立てん。この計画を必ず実行し、放棄することのなきやう、互ひに呪いをかけん。」5. かく天の子等互ひに誓ひて、計画に対する呪ひを互いにかけ合へり。6. その数総勢200に及び、ヘルモン山の頂上なるヤレドの地に降(くだ)りき。この山をヘルモン、即ち「聖なる地」と呼べるは互ひに呪ひをかけ合へるによるなり。7. この者等の指導者等、セミアザを首(はじめ)とし、アラキバ、ロメエル、コカビエル、トミエル、ロミエル、ドネル、エゼケエル、バラキヤル、アザエル、アルモロス、ボトレル、アノネル、ゾキエル、サムソペエル、サタレル、トゥレル、ヨミアエル、サリエルなり。此等は十人隊長なり。

   第七章

1. 斯(かく)て此(この)者等と共にありし他の者等も皆妻を娶り、即ちその好む所の者を取りて女の所に入り、之(これ)によりて身をを汚し、呪いや魔法を教へ、木の根を切りて女に植物を教ふ。 2. かの女子達子を孕み、巨人を生めり。この巨人等は身の丈三千米もある者達なり。 3. 巨人、人が得たもの皆食ひ尽くし、人最早これを養ふこと能はずなりぬれば、 4. 巨人、人に向かひて之を食らふ。5. 更に鳥に対し、獣に対し、爬虫類に対し、魚に対して罪を犯し、遂には互ひの肉を食み、その血を飲めり。 6. 是(ここ)に於(おい)て大地は無法の輩を天に訴ふるなり。

   第八章

1. アザゼル人に剣、小刀、盾、胸当ての作り方を教へ、又地に金属なるものあるを教へ、その鍛へ方や腕輪、装飾品等を教へたり。顔料の使ひ方、瞼を彩る方法を教へ、あらゆる種類の高価な石や染料を教へたり。 2. 地には不道徳が蔓延(はびこ)り、姦淫を犯す者現れ、此者等皆堕落し、自ら破滅せり。 3. セミアザは呪術と木の根を切ることを教へ、アルモロスは呪文の解き方を、バラキヤルは占星術を、コカビエルは星座を、エゼケエルは雲の知識を、(アラキエルは大地の兆を、シャムシエルは日輪の兆を、)サリエルは月の運びを教ふ。人滅ぶに当たりて大いに嘆き、その嘆きは天に達せり……。(以下不明)

   第九章

1. 是(ここ)にミカエル、ウリエル、ラファエル、ガブリエルは天より見下ろして地上に血が流されしこと大いなること、無法が地上に溢れしことを見き。 2. 即ち互ひに言ひけるは、「人の居なくなりし大地が嘆きの声を上げ、彼の嘆きは天の門にまで達するなり。 3. (今、諸君等天に坐(ましま)す聖なる者に対し)人の魂が裁きを求めて曰く、『我らの訴へを至高の者に届け給へ。』と。」 4. 四人は永遠の時の主に対して曰く、「主の中の主、神々の中の神、王の中の王(、永遠の時の神)よ、その栄光の座があらゆる時代の全ての世代にわたりて揺るぎなく、その御名があらゆる時代にわたりて聖にして栄光に満ち、祝福され給はんことを!  5. 主はあらゆる物を創り、それら全ての物に対する力を持つ者なり。主の御目(みめ)にはあらゆる物が晒され、一切が明らかなれば、主はあらゆる事を見給ひ、御目より隠せる物などなきものなり。 6. アザゼルが行ひし事、主も又見給へり。彼者(かのもの)地上にあらゆる類(たぐひ)の不正を教へ、人が求めて病まぬ天なる永遠の秘密を暴きしなり。 7. 又セミアザ、主は彼に其輩(ともがら)を統率する権限を与へ給ひしが、 8. 彼其輩と共に地上なる人の女子(むすめ)の所に往(ゆき)て彼女等と交わり身を汚し、あらゆる類の罪を教ふるなり。 9. 女は巨人を産み、全地は血と不正で溢れしなり。 10. 斯(かく)て、見よ、死に絶へし者の魂が泣き叫び、天の門に訴へを起こし、その嘆きが此処(ここ)に届き止むことなきなり。何となれば、地上に於て無法の所業が今も行われてゐる所以(ゆゑん)なり。 11. 事是に至るまでの事、主も又聞こし召され、此等のことを見、不快に思ふておられるはず。件(くだん)の事、如何(いか)にすべきか我等に命じ給はざるや。」と。

     *   *   *

長くなりましたので今日はここまで。
次回に続きます。

2021年11月6日土曜日

聖書読了

別途ツイートしたりしましたが、先日聖書を読み切りました。
旧約の所謂「続編」を除く39巻と新約の27巻、
2015年の11月から通読を始めて、途中何度も中断しながらも
ちょうど6年かかって読み切りました。

私自身はキリスト教徒というわけではありませんが、
子供の頃カトリック系の幼稚園に通っていたこともあって
聖書に描かれたいろいろな物語や主の祈りには馴染みがあって
それが僕の西洋の文化の受容と大きく関わっていて、
僕の曲に「キリエ」とか「レクイエム」というのがあるのも
こうしたことと関係しています。

とは言え、誰もが知っている天地創造の物語とか
ノアの方舟やモーセの出エジプトの話、イエス=キリストの奇跡など
その辺りはよく知っていても、そのあと民族が世界に散らばり
やがて王国が分裂したり、バビロン捕囚だったり
数多くの預言者たちの話だったりというのは、何となくは知ってても
よくわからない。
その一方で、ヨーロッパの音楽にはこの辺りを元にした作品が
たくさん作られているので、ちゃんと知っておきたい、
というのが前からあったのです。

そこで iPhone にインストールしている Olive Tree の聖書で、
1年間で読むプランに挑戦、毎日ちょこっとずつ読めばよいのですが、
日々の仕事で忙しかったり疲れたりして、サボる日が続き、
かと思うと急に思い出して継続したりという繰り返し。
ところが今年になって全体の67%を越えたところで、
お、もうちょっと頑張れば年内に読み切れるじゃん? となり、
そこからは毎日欠かさずに読んで読了、となったわけです。

因みに僕が選んだプランは旧約と新約を平行して
歴史的な順番で読んで行くというもの。
ということは、必ずしも旧約聖書が並んでる順番じゃなくて、
例えば「ヨブ記」は18番目に置いているけれど、このプランでは
「創世記」のバベルの塔の話の後ヨブの物語に飛ぶ。
そこで「ヨブ記」はバベルの塔の頃の話だったのだと
今更のようにわかるわけです。
同じように新約聖書では、最初に4人の使徒がイエスのことを書いた
福音書が4つ並んでいるわけですが、これを歴史的に読むと
同じ話の4人の表現で読み比べることになり、とても面白い。
今回このように読み進めて、漸く聖書のいろいろな物語を
実際の世界史の文脈の中で捉えることができるようになりました。
昔、高校の世界史の時間に BC 586「バビロン捕囚」とか習っても
それが何を意味するのか、全く分からずに覚えましたからね。^^;

通読することで全体が見渡せるようになりましたので、
このあとは自由にいろんな角度で読んでみようと思っています。
「有名な聖句に触れるプラン」とか
西洋音楽でよく取り上げられる「詩編や箴言を読むプラン」とか、
今回新たに「聖書の女性達に触れるプラン」というのもあって
これに挑戦してみることにしました。
一番最初に現れる女性であるエバはあまり積極的に描かれていませんが、
聖書の中には民族の危機に際して、その知恵で危機を乗り越えた
賢い女性たちもたくさん登場しますのでね、
どんな人のどんなエピソードが取り上げられるのか
楽しみにしているヒロシです。