お正月なので日本人らしい話題を一つ。
「和(やわらぎ)を以て貴しと為」すという言葉は
日本で教育を受けた方ならどなたもご存じでしょう。
聖徳太子厩戸皇子が編纂したとされる「十七条の憲法」の冒頭、
第一条に書かれている言葉です。
このことから太子がどのような国の建設を目指していたかが
よくわかるというものです。
ところがこれを表現したのは実は太子が初めてというわけでなく、
太子よりもずっと前の時代にアマテルカミが語ったことが
『ホツマツタヱ』に記されているのです。
『ホツマツタヱ』によると、「ハタレの乱」というものが
日本の各地で起きたというのですが、
これは所謂「倭の大乱」のことかと私は想像しています。
アマテルカミの政権から見れば主に6つの部族が
暴動を起こして民を恐怖に陥れている、というわけで、
何としてもこの乱を鎮めなければならないわけです。
主立った者達が集められた閣議でその対策が話し合われたわけですが、
主戦派のタケミカヅチが、「こんなやつらは力でねじ伏せましょう」
といきり立つのを、アマテルカミは「ハタレというのは悩みがあって
心が拗けてしまった人たちなのだ、その悩みを除いてやれば
彼等も矛を収めるのではないか」と周りに諮ります。
すると知恵者の「カナサキ」が答えるのです。
「タタヤワラキオ テタテナリ(ただ和を手立てなり)」
この答えを聞いてアマテルカミは大変満足されたというのです。
それでそのあとこれら6つのハタレたちを鎮めた方法が面白い。
それぞれの戦に向かうのにアマテルカミは武器を授けるのですが、
その武器というのが。。。
まず、シムミチというハタレと戦うのに、アマテルがカナサキに
渡したのは何と「カダスス」という楽器なのですね。
これは柿の木か何かで出来た板をススキの茎で叩いて音を出す、
そんな楽器みたいなのですが(でんでん太鼓みたいなもの?)、
この楽器の音色で相手を治めてしまったんですね。
この楽器については別の場所で説明があって
「クズノハオ カダカキトウツ
ヰスコトハ ヰクラムワタオ
ネオワケテ ワノアワウタオ
ヲシユレハ コトノネトホル
イスキウチ」
というのですが、「ヰクラ」というのは人間を構成するもので
目に見えないもの、つまり、魂とか精神とか霊とかいった類のもの、
「ムワタ」は内蔵のことですので、つまり人の身体にも精神にも
その楽器の音が響き渡って満たされるというのです。
心の荒んだ人たちを力で捻じ伏せるのではなく、
その心と体を癒すことで鎮めたというのはスゴい話ですね。
この他にも、歌や法螺貝の音を使ったり、
或いは山の神の好む「オコゼ」や、「太曲餅」、
キツネの神の好む「油揚げ」といったどれも武器らしくない武器で
6つのハタレを治めていく話は実に痛快です。
『ホツマツタヱ』は偽書と言われていますし、
あくまえも言い伝えに過ぎない、と言えばそれまでなのですが、
こうした言い伝えには何某かの真実が含まれているものです。
こうした伝説の時代から続く平和主義を現代に生きる私たちも
守り続け、伝え続けていかなければならない。
そんなことをこの正月に思ったヒロシでした。^^
P.S. このハタレの乱の物語は大変おもしろいので
いつか全文を訳してみようと思っていますが、
それはまた何れかの機会に。^^;