僕の SL ライブにお越しの皆さんならご存じでしょうが、
SL では僕は結構パイプオルガンを弾きます。
勿論本物のパイプオルガンを弾いているわけではなくて、
シンセの音源を鳴らしているわけですが、
実はなかなか「これだ!」という音源には出会っていません。
というのも、パイプオルガンというものはたくさんあるパイプを
自分のイメージする音にするために組み合わせて弾くわけで、
シンセの音源の場合は固定した音しか出せないので
こういう音を出したい時は使えるけど、
こういう音は出ないねぇ、ということがあるわけです。
そういう需要は音楽をやっている人なら気づくはずで、
はい、確かにあるのです。
たくさんの組み合わせをサンプリングしたものから
物理モデルで再現するものまで。
しかし、得てして自由度が高く、品質の良い物は
お値段もそれなりにしますし、PC のストレージも結構使います。
そこで、できるだけ安く手に入って、しかも容量の少ないもの、
と探していった時に見つけたのが、
Samplephonics 社の無料プラグイン
「The Leeds Town Hall Organ」なのです。
これはその名の通り、イギリスのリーズ市の市民会館にある
パイプオルガンをサンプリングした音源で、
Native Instruments の KONTAKT 正規版、
Apple の EXS24、サウンドフォントなどに対応したプラグインです。
お、これは! と思ってダウンロードして、
自分は KONTAKT はフリーのプレーヤーしか持っていないので、
サウンドフォント対応の Sforzando でためしたのですが、
どういうわけかプリセットの1番は音が時々出なくなるし、
2番は何やらエラーメッセージが出る。
いい音してるのにこれじゃあ使えないなぁ、と思ってましたが、
これは絶対設定に誤りがある! と思っていろいろ試していたら
修正する方法がわかりましたので備忘を兼ねてここに書いておきます。
但し、この修正の仕方は HTML や XML、そして
MIDI ファイルをいじった経験がない方にはお勧めしません。
ファイルを壊してしまうと永久に使えなくなる危険性がありますので、
何をやっているかわかっている方のみ自己責任でお願いします。
ダウンロードしたファイルを解凍すると、
「Sampler Instruments」というフォルダに
「SFZ」というフォルダが入っています。
そこに6つの拡張子「.sfz」のファイルが入っています。
ファイル名がプリセットを表しています。
これらのファイルの実体は、WAV や MID などと違って
ただのテキストファイルです。
そこで、テキストエディタを使ってこれらのファイルを修正しますが、
失敗することも考えて、コピーを取ってそのコピーで作業します。
今回1番と2番のファイルを修正しますが、
僕の場合はそれぞれ「Preset 1a.sfz」、「Preset 2a.sfz」という
コピーファイルを作って作業しました。
まず、1番の方ですが、これをテキストエディタで開くと
こんな感じです。
11行目以降続く <region> のタグのところにある
「seq_length=0 seq_position=1 」がどうも不要です。
ちゃんと動く3番以降のファイルにこの記述はありません。
そこでこの記述を消すわけですが、この <region> は
全体で170箇所ありますので、一つ一つ消すわけにはいきません。
そこで、図のように「検索と置換」の機能を使って一気に消します。
但し、全体は2つのグループに分かれていて、
今消したのはグループ1の方、2の方はこんな感じで
少し記述が異なります。
「seq_position=」の次の数字が違うので、これはこれでまとめて
検索と置換をして一気に消します。
次は2番のファイルです。
これは上に示した通り、2番のファイルを指定すると
エラーメッセージが出るのですが、
このメッセージをよく読むとわかります。
どうも111番以降の region の loopend の値がおかしいらしい。
確かに、109番までは loopend の値が
その前の行にある end より1つ小さい値なのに
111番以降は何故か end より倍くらい大きい値になってる。
なので、これを修正します。
111番は end が 541190 なので、loopend は 541189 に。
以下同様。
これも、グループ1とグループ2に分かれているので、
グループ2は112番以降を修正。
こうして修正したファイルを読み込むと、
おーおー、気持ちよく演奏できるようになりました。
実際の音については、 YouTube にデモを上げておきましたので
こちらをご参考にしてみて下さい。
簡単に説明しておくと、6つのプリセットの内容は次のようです。
PRE6: 8'(基音)
PRE1: 4'(オクターブ上)
PRE2: 4' + 2 2/3'(オクターブ上と12度)
PRE3: 4' + 2 2/3' + 2'(PRE2 + 2オクターブ上)
PRE4: 4' + 2 2/3' + 2' +1 3/5'(PRE3 + 17度)
PRE5: 8' + 4' + 2 2/3 + 2' + 1 3/5'(所謂コルネ)
YouTube でも紹介していますが、これをそのまま使うのでなく、
組み合わせて使うと更に充実した音になりますのでお試し下さい。
ダウンロードは次の Samplephonics 社のサイトからになります。
多分、次のライブでパイプオルガン演る時は
このプラグインを使うだろうな。^^