2024年2月12日月曜日

【技術情報】 パイプオルガン・プラグイン「The Leeds Town Hall Organ」のこと

僕の SL ライブにお越しの皆さんならご存じでしょうが、
SL では僕は結構パイプオルガンを弾きます。
勿論本物のパイプオルガンを弾いているわけではなくて、
シンセの音源を鳴らしているわけですが、
実はなかなか「これだ!」という音源には出会っていません。
というのも、パイプオルガンというものはたくさんあるパイプを
自分のイメージする音にするために組み合わせて弾くわけで、
シンセの音源の場合は固定した音しか出せないので
こういう音を出したい時は使えるけど、
こういう音は出ないねぇ、ということがあるわけです。

そういう需要は音楽をやっている人なら気づくはずで、
はい、確かにあるのです。
たくさんの組み合わせをサンプリングしたものから
物理モデルで再現するものまで。
しかし、得てして自由度が高く、品質の良い物は
お値段もそれなりにしますし、PC のストレージも結構使います。
そこで、できるだけ安く手に入って、しかも容量の少ないもの、
と探していった時に見つけたのが、
Samplephonics 社の無料プラグイン
「The Leeds Town Hall Organ」なのです。

これはその名の通り、イギリスのリーズ市の市民会館にある
パイプオルガンをサンプリングした音源で、
Native Instruments の KONTAKT 正規版、
Apple の EXS24、サウンドフォントなどに対応したプラグインです。
お、これは! と思ってダウンロードして、
自分は KONTAKT はフリーのプレーヤーしか持っていないので、
サウンドフォント対応の Sforzando でためしたのですが、
どういうわけかプリセットの1番は音が時々出なくなるし、
2番は何やらエラーメッセージが出る。

240212f

いい音してるのにこれじゃあ使えないなぁ、と思ってましたが、
これは絶対設定に誤りがある! と思っていろいろ試していたら
修正する方法がわかりましたので備忘を兼ねてここに書いておきます。
但し、この修正の仕方は HTML や XML、そして
MIDI ファイルをいじった経験がない方にはお勧めしません。
ファイルを壊してしまうと永久に使えなくなる危険性がありますので、
何をやっているかわかっている方のみ自己責任でお願いします。

ダウンロードしたファイルを解凍すると、
「Sampler Instruments」というフォルダに
「SFZ」というフォルダが入っています。
そこに6つの拡張子「.sfz」のファイルが入っています。
ファイル名がプリセットを表しています。
これらのファイルの実体は、WAV や MID などと違って
ただのテキストファイルです。
そこで、テキストエディタを使ってこれらのファイルを修正しますが、
失敗することも考えて、コピーを取ってそのコピーで作業します。
今回1番と2番のファイルを修正しますが、
僕の場合はそれぞれ「Preset 1a.sfz」、「Preset 2a.sfz」という
コピーファイルを作って作業しました。

まず、1番の方ですが、これをテキストエディタで開くと
こんな感じです。

240212a

11行目以降続く <region> のタグのところにある
「seq_length=0 seq_position=1 」がどうも不要です。
ちゃんと動く3番以降のファイルにこの記述はありません。
そこでこの記述を消すわけですが、この <region> は
全体で170箇所ありますので、一つ一つ消すわけにはいきません。
そこで、図のように「検索と置換」の機能を使って一気に消します。

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但し、全体は2つのグループに分かれていて、
今消したのはグループ1の方、2の方はこんな感じで
少し記述が異なります。

240212c

「seq_position=」の次の数字が違うので、これはこれでまとめて
検索と置換をして一気に消します。

次は2番のファイルです。
これは上に示した通り、2番のファイルを指定すると
エラーメッセージが出るのですが、
このメッセージをよく読むとわかります。
どうも111番以降の region の loopend の値がおかしいらしい。

240212d

確かに、109番までは loopend の値が
その前の行にある end より1つ小さい値なのに
111番以降は何故か end より倍くらい大きい値になってる。
なので、これを修正します。
111番は end が 541190 なので、loopend は 541189 に。
以下同様。

これも、グループ1とグループ2に分かれているので、
グループ2は112番以降を修正。

240212e

こうして修正したファイルを読み込むと、
おーおー、気持ちよく演奏できるようになりました。
実際の音については、 YouTube にデモを上げておきましたので
こちらをご参考にしてみて下さい。


簡単に説明しておくと、6つのプリセットの内容は次のようです。

PRE6: 8'(基音)
PRE1: 4'(オクターブ上)
PRE2: 4' + 2 2/3'(オクターブ上と12度)
PRE3: 4' + 2 2/3' + 2'(PRE2 + 2オクターブ上)
PRE4: 4' + 2 2/3' + 2' +1 3/5'(PRE3 + 17度)
PRE5: 8' + 4' + 2 2/3 + 2' + 1 3/5'(所謂コルネ)

YouTube でも紹介していますが、これをそのまま使うのでなく、
組み合わせて使うと更に充実した音になりますのでお試し下さい。
ダウンロードは次の Samplephonics 社のサイトからになります。


多分、次のライブでパイプオルガン演る時は
このプラグインを使うだろうな。^^

2024年2月11日日曜日

実はヤバかった昨年末の『第九』コンサート

来年の事を言うと鬼が笑うと言いますが、
昨年の事を言うとやはり笑う人がいるのでしょうか?

前回指揮者の小澤征爾さんのことを書きながら、
小澤さんの演奏を聴いたのが僕がベートーヴェンの『第九』を
初めて聴いた時だったことを思い出しました。
それをきっかけにしていろんな指揮者の第九を聴いて、
大学生になって東京へ出て来てからは生で聴けるからと
今年は NHK ホール、今年は東京文化会館と通ったものです。
一方 CD では結局一番よく聴いているのは
例のフルトヴェングラーのバイロイトライブと
バーンスタインの全集版の録音ですね。

そんな『第九』の演奏をセカンドライフを始めた年の12月に
あれはきっとフォンタナだったと思うのですが、
やっているのを見かけて、いいねぇ! と思ったのですが、
まさか自分がその伝統を受け継ぐことになるとは思わなかった。w
そう、フォンタナは解散しましたが、
その後を受けて YMB で毎年『第九』演奏会を
年末に続けているわけなのです。

昨年の『第九』演奏会は、見事元日の0時0分0秒に
スダダダダン! と最後の1音を決めることができて
大変喜んでいるヒロシでしたが、実は気が気でなかったのです。
演奏会の1週間前から、グループへの告知やら
メンバーへの連絡やらしなけきゃと思ってインしたところが、
3分もしないうちに Firestorm どころか、Mac 本体が落ちるのです。
10月にデビュー15周年ライブをやってから
何も環境変わってないのに、何で〜〜? という感じです。

そうか、Firestorm がダメなんだな、と思って
公式最新版をダウンロードしてインしてみたところ、
お、行けそう! と思った瞬間にやはり強制シャットダウン。><
このままでは年末の『第九』は中止か!? いや、それはできない!
と、思い出したのが、株式投資関連のツールを使うためだけに
2万円という安値で購入した Windows のノート。
そう、Mac では動かないソフトがあるので、
それを動かすためだけに買ったものなので、
スペック的には全く期待できない、グラボも入っていないもの。
これに Firestorm をインストールしてみたら、
おー、おー、ちゃんと動くではないか!
おし、最悪当日はこの Windows マシンで行こう! 

しかし、やっぱり心許ないですよね。
なので、Windows マシンはバックアップの位置付けにして、
もしや、と思い、メインマシンの Mac の OS アップデートを実行。
更に Firestorm のクリーンインストールを実行。
どうせ Windows マシンの方はクリーンインストール状態なのと、
よくよく考えるとそれほどバックアップが必要なものもない。
大抵は環境設定だけで、それはすぐ戻せるからね。
そんな対応をして恐る恐る Firestorm を立ち上げると
何とか動くみたい。
3分経過。。。5分経過。。。10分経過。。。
30分くらいは落ちないで動くので、何とかなりそう。。。

というわけで、2時間保つかどうかわからないけれど、
当日は、まずは Mac で行ってみることに決めました。

んで、当日。
集合時間に YMB のメンバーが揃ったところで、
やー、もしかしたら今日は演奏中に落ちるかも。。。と
自分の心配をみんなに告げると、
「きゃはは、指揮者がいなくても音が鳴ってる」
「SL あるあるだー。」
と、早速ネタにされてしまう始末。。。ぐぬぬ。。。

まぁ、実際には最後までちゃんと落ちないで指揮できましたけどね。
中の人としてはホントヒヤヒヤの、実にヤバかった演奏会なのでした。

2024年2月10日土曜日

【RL】 R.I.P. 小澤征爾さんのこと

指揮者の小澤征爾さんが亡くなられた。
ここ数年はあまり体調が優れないようにお見受けしていたが、
もう小澤さんが指揮する姿を見られなくなるのは残念なことだ。
それは、小澤さんは世界的に有名な指揮者の中でも
僕にとってはヒーローだったからだ。
実は、つい最近あることがあって急に思い出し、
武満徹さんの「カトレーン」と「鳥は星の庭に降りる」を
タッシやボストン響を指揮して収めたCD を買って
ここ数日聴いていたばかりなのだ。

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僕が小澤さんのことを知ったのは中学1年生の冬だったと思う。
冬休みに入る前の音楽の授業で、先生は夏休みや冬休みには
クラシックの曲の鑑賞文の宿題を出すのだが、
この時は宿題の曲を指定したのだ。

「皆さんにはこの冬休みに是非聴いてほしい曲があります。
 ベートーヴェンの『第九交響曲』です。
 テレビやラジオでたくさん流れると思うので
 是非聴いてみて下さい。」

その場で先生が紹介したのか、それとも
自分で新聞のテレビ欄をチェックしていて見つけたのか忘れたが、
小澤征爾さんが手勢の新日本フィルを率いて演奏する
『第九』の演奏会と、そのゲネプロの様子を追いかけた
ドキュメンタリーの2部構成の番組があったのだ。

演奏会は、この時初めて第九を聴いてとても感動したのだが、
面白かったのはドキュメンタリーの部分で、
指揮者というと何だかとっても偉い人のような感じなのに、
インタビューを見ているととても気さくな感じの喋りで、
ゲネプロでは全身を震って指揮するその情熱的な姿に魅せられた。
第1楽章の再現部の手前、全ての楽器が力強く雪崩れ込んで来る、
その部分を思い切り棒を振りながら自ら歌うのだ。

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この時の小澤さんの声は今でも僕の耳には聞こえるようだ。

凄い人だと思った。そして面白い人だと思った。
それから小澤さんが出て来るテレビ番組は
必ずチェックするようになったのだ。

今僕の iPhone に入っている小澤さんの指揮になる音楽は、
最初に書いた武満徹さんのものやメシアンのもの、
それからレスピーギのものなどがあるが、
案外面白いと思っているのが小澤さんがナレーションをしている
「ピーターと狼」、「動物の謝肉祭」、
そして「青少年のための管弦楽入門」を収めた CD だ。
小澤さんが指揮している管弦楽曲は普通に聴くけれども、
声が入っているものは貴重だと思う。
それも、あの気さくな語り口で、とても親しみがあっていいのだ。

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これら3つの曲は何れもオーケストラの楽器紹介のためのもので、
ベンジャミン・ブリテンの「青少年のための管弦楽入門」は
LP 時代はマルケヴィッチの指揮、栗原小巻さんのナレーションで
聴いていましたが、小澤さんのは出だしからちょっと面白い。

「オーケストラの演奏を生で聴いたことがあるかな?
 もう何回も聴いたことがある、っていう人もいるだろうし、
 オレはまだ一度も聴いたことがない、なんていう人もいるかもね。
 ラジオやレコードで聴くのも勿論いいんだけども、
 生のコンサートで聴くと、
 オーケストラにはいろんな楽器があるってことがわかって
 なかなか面白いんだよ。

 じゃあこれからオーケストラにはどんな楽器があるのかを
 わかりやすく紹介した曲を聴いて下さい。
 イギリスのベンジャミン・ブリッテンという人が書いた
 『青少年のための管弦楽入門』、難しい名前だけども、
 まぁ、要するに
 君たちのためにオーケストラをご案内しましょう!
 という曲です。」

何だか楽しいことが始まる感じがしませんか?
この CD に入っている曲は何れも入門向けの曲で
管弦楽法とか勉強している自分には今更の内容だけれども、
この小澤さんの喋りが好きで何度も聴き返しています。

そう、きっと小澤さんが指揮した音楽の CD は
きっとこれからもずっと聴き続けていくことでしょう。
素晴らしい音楽の贈り物をありがとうございます。
今はただご冥福をお祈りします。