前にiPadの音楽アプリが充実してきたことを書いたけれども、
毎日少しずつ、iPolysixだのiMS20だのiMiniだのをいじってると
やっぱりシンセっぽい曲をやってみたいな、と思うのです。
初めてジャン・ミッシェル・ジャールを聴いた頃を思い出すのです。
そしてふと思い出したのが
Orchestral Manoeuvres in the Dark、
オーケストラル・マヌーヴァーズ・イン・ザ・ダーク、
日本語に訳すと「暗闇の中の管弦楽的企み」?
英語でも長すぎるので、略してO.M.D. というバンド。
どちらかと言えばマイナーな方だと思いますが、
日本では彼らの「Enola Gay」という曲が
某局の某番組タイトルに使われていたのでお馴染みの方も多いはず。
というわけでまずはこの「エノラ・ゲイの悲劇」から。
■Enola Gay
VIDEO
エノラ・ゲイは勿論、広島に原爆を落とした爆撃機の名前。
とてもポップでキャッチーな曲なんだけれども、
歌ってる内容は漠然としながらも手厳しい。
こういう、政治的な、或いは社会的な内容を
ポップに表現するのって僕は大事だと思っていて、
これは日本人は苦手なんだよね。
O.M.D. はこの他、後に「Locomotion」なども売れたけれども、
僕が一番衝撃を受けて、きっと今も影響を受け続けているのは、
彼らの最も売れなかったアルバム「Dazzle Ships」の一連の曲。
で、まずは、その最も売れなかったアルバムの
最も売れた曲「Telegraph」をどうぞ。
■Telegraph
VIDEO
これも「Enola Gay」に通じるポップさがありますね。
だけど、その歌詞は「電報を受け取った/何のことかわからない/
電報を受け取りたい人なんていない/アメリカ万歳」みたいな。
このアルバム全体が冷戦とか鉄のカーテンを想定していて
そのことを考えると、この電報ってもしかして、
徴兵の電報か、或いは戦死の通知か、そんな感じがします。
でもね、このアルバムを聴いてぶっとんだのは、
まぁ、これって音楽? というくらいノイズの多いこと。
ラジオのノイズ、潜水艦のソナー、警報器の音など、
どちらかと言えば不快なノイズだらけのサウンドコラージュで、
YMOのピコピコサウンドはあれは一体何だと批判的だった僕も、
それ以前の音にぶっ飛んでしまうと同時に、
取り憑かれてしまったというわけなんです。
そこでまずはその1曲目の「ラジオ・プラハ」をどうぞ。
ライブではオケで演奏してますが、オリジナルは
チープならっぱの音でした。w
■Radio Prague
VIDEO
何じゃあと思ったのは、ラジオのノイズに埋もれながら
単調ならっぱの音が繰り返され。。。
でも、これってベルリンの壁崩壊前のこと。
壁の向こう側に行くことはできなくても
ラジオの音が入ってきたりしたんですよね。
これを聴いた時、北九州で育った僕は、
ラジオをいじってて北朝鮮のラジオの日本語放送が
いきなり聞こえてきた時のことを思い出しましたよ。^^;
そして2曲目が、「Genetic Engineering」。
このサウンド、メチャメチャ影響を受けましたね。
一度聞いたら忘れられないイントロですよ。^^
■Genetic Engineering
VIDEO
CDのクレジットを見ると、使用楽器がずらっと並んでて、
最後に「タイプライター」とあります。w
この曲と「This Is Helena」という曲のリズムがとても好き。
なんだけれども、「This Is Helena」は日本のYouTubeでは
ダウンロード禁止の対象になっているようです。
機会があったら聞いてみて下さい。
あと、タイトル曲の「Dazzle Ships」も紹介しておきましょう。
これもライブからの映像。
タイトルには「パート2・3・7」とありますが、
実はパート1・4・5・6は存在しないという
何とも人を食った曲。w
■Dazzle Ships (Parts II, III & VII)
VIDEO
パート3分あるのに曲の長さはたったの2分!w
最初聴いた時、お〜、いかにも軍艦のような
或いは潜水艦のような雰囲気のあるイントロだ、
と思っていましたが。。。そのまま終わっちゃいます。www
(因みに「dazzle ships」とは第一次世界大戦中に作られた
迷彩を施した軍艦のことらしいです。)
全体に冷戦に対する批判とラジオのノイズで統一されたアルバムで、
最後は「Radio Waves」というこれまたポップなチューンを経て、
もう、こういうエンディングしかあり得ない、という、
「Time Zones」で終わります。
この衝撃は聞かないとわからないと思うので
ネタばらしはやめておきますが、とにかく、僕の場合は、
日本語が飛び出してきた時点でぶっ飛びましたよ。(え?w
マイナーなバンドの一番売れなかったアルバム、
だけど、当時のどんなテクノバンドが出したものより
質の高い作品に仕上がっていると思います。
■Dazzle Ships
O.M.D.: Dazzle Ships
というわけで、このバンド、コピーしてみようかな、
と思ったりしてます。
「エノラ・ゲイ」か「テレグラフ」あたり。。。
ま、これがエイプリルフールのウソになるかどうかは。。。
お楽しみに。w