2013年4月30日火曜日

【レビュー】冨田勲/イーハトーヴ交響曲


やはり、この人の作品は通り過ぎるわけにはいかないのだ。
僕にシンセサイザーという楽器と
それが生み出す世界のおもしろさを教えてくれた
この人の作品は、どうしても。

いや、正直、通り過ぎていたのだ。
最近は出すごとに僕らを驚かした
あの一連のシンセサイザーの作品より、
どちらかと言えば生のオケによるものが多かったのではないか。
なので、あまり聞き込む、という感じではなかったのだ。

で、これもオーケストラ作品なのだが、
これまでと違うのは初音ミクが生で共演、というところにある。
冨田さんがミク? と最初は驚きもしたが、
よくよく考えれば、「月の光」の時から、
シンセで人の声を生み出して来た人ではないか。
その冨田さんがミクをどのように料理するだろう?
いかにも電気の塊のシンセから、
自然な響きを生み出してきた冨田さんである。
僕はドキドキしてミクの声が聞こえるのを待った。

と、期待は見事に裏切られた。
誰も彼もこぞってミクを調教して、
人間ぽく歌わせることに血道を上げている中、
冨田さんは敢えてその道はとらずに、
異質な世界のもの、としてミクを使ったのだ。
なるほど、人間ぽいミクなら、ミクを使う理由はない。
僕は落胆からやがて、さすが冨田さん!
と感じ方が変わっていった。
混声合唱や少年少女の合唱に
異星人のミクが絡んでこそこの作品なのだ!

そして!

ミクのことばかり書いてしまったが、
結局のところ、最初から最後まで
どこまでもトミタ・サウンドが空間を満たす。
僕にとっては、心の底にあるなつかしい響き。
それでいて、どこまでも新しい音の実験をする冨田さん。
この人は本当にすごい、いつまでもこうして新しいものに挑戦し続ける
そんな人間でありたいと思うヒロシなのでした。


イーハトーヴ交響曲
ihatov.jpg


2013年4月9日火曜日

オブジェクトリターン


今日、オブジェクトリターンがありました。
これって、僕の場合は、あちこちの会場でライブをやったりするので、
時々小物を置き忘れたりして戻されるケースが多いかな。
で、今日リターンしてきたのはSLBのパフォーマー・グループ、
モノがあったロケーションはSLBの会場。。。

ということは!

昨年のSL9Bのメインステージでライブやった時に
忘れてきたものと思われ、
SL9Bが終わった時点では気づかれなくて、
今、SL10Bの準備をしててスタッフが気づいた、
って話だよね。。。

何とまぁ、1年がかりの忘れ物。。。

これって、やっぱり、SLBの会場に思いを残してきた、ってことかな。
だとすると、やっぱり今年も参加しないわけにはいかないね。w
置き忘れた思いを拾いに。。。

2013年4月7日日曜日

【イベント】SL10Bまもなく受付開始!


海外のフレからSL10Bの案内が届きました。
Second Life 10th Birthday—そう、SL10歳の誕生日を
世界中の住民で祝う式典です。

僕が初めて参加したのは6歳の時のSL6Bで、
この時はナチュさんとおもしろそうだと思って参加したのだけれど、
今一緒にやってるYMBのみんなやケルパさんと出会ったのも
この時でした。

その後毎年参加する中でいろんな人との出会いもありましたが、
ここ2年くらいは震災のこともあって少し大人しかったかな。
今年は、windsさんも僕自身もますますRLが忙しくなっているので
YMBとして以前のように毎日イベントをやるのは難しいだろうけれど
10年の節目ということなので、何かできる形で参加してみようと
そのように考えています。

そうそう、10年目の節目ということで、今年のテーマは
「Looking Forward, Looking Back」。
公式ブログから訳してみると、

     *   *   *

セカンドライフは10歳を迎えます!
今一度自分の原点を見つめてみませんか?

あなたがセカンドライフを始めてどのくらいになりますか?
そして、これまでどんなことをしてきましたか?

セカンドライフには、それぞれのビジョンを生き生きと表現している個人、グループ、クラブや団体がたくさんあふれています。みなさんが、みなさんのグループが、そしてフレンドたちが、これまでやってきたことを是非この場で表現してみませんか?

もしかすると、あなたは2003年からこの世界にいて、SLのことは何でも知ってるベテランかもしれませんね。或いは、まだここに来たばかりで、この世界にあるあらゆる見ることすることを発見しては驚く、そんな体験をしているかもしれません。

私たちに見せてほしいのです。そして語ってほしいのです。あなたが経験しているセカンドライフを、是非SL10Bというコミュニティの祭典の場に持ち込んで、あなたにとってセカンドライフとはどんな世界なのか、是非みんなに見せてほしいのです。

セカンドライフは10歳を迎えます!
これからどこへ向かうのか、未来を見据えてみませんか?

2003年にセカンドライフがその扉を開いた時、一体、誰がその10年後を予想することができたでしょうか? 今、2013年という年に当たって、私たちはこれからの更なる10年先の仮想世界がどのようなものになっているか思い描くことができるでしょうか?

このSL10Bというコミュニティの祭典の場に、あなたが思い描く未来のセカンドライフを持ち込んで下さい。そして、みんなでこれからどんな世界に私たちが向かおうとしているのか、共に考えようではありませんか。

     *   *   *

このテーマの下に、20のSIMにたくさんの展示が並び、
毎日たくさんのライブやパーティーが行われます。
おもしろそうと思った方、是非チェックしてみてはいかがでしょう。
公式サイトは次の通りです。

http://slcommunitycelebration.com/

尚、主なスケジュールは次の通りです。

4月15日(月)アーチスト、出展、ボランティア申し込み開始
5月20日(月)アーチスト、出展、ボランティア申し込み締切
5月27日(月)出展者の展示場建設開始
6月16日(日)開会式
6月23日(日)誕生日のセレモニー
6月29日(土)会場閉鎖
7月1日(月)SIM停止

2013年4月1日月曜日

O.M.D.


前にiPadの音楽アプリが充実してきたことを書いたけれども、
毎日少しずつ、iPolysixだのiMS20だのiMiniだのをいじってると
やっぱりシンセっぽい曲をやってみたいな、と思うのです。
初めてジャン・ミッシェル・ジャールを聴いた頃を思い出すのです。
そしてふと思い出したのが
Orchestral Manoeuvres in the Dark、
オーケストラル・マヌーヴァーズ・イン・ザ・ダーク、
日本語に訳すと「暗闇の中の管弦楽的企み」?
英語でも長すぎるので、略してO.M.D. というバンド。

どちらかと言えばマイナーな方だと思いますが、
日本では彼らの「Enola Gay」という曲が
某局の某番組タイトルに使われていたのでお馴染みの方も多いはず。
というわけでまずはこの「エノラ・ゲイの悲劇」から。

■Enola Gay
 

エノラ・ゲイは勿論、広島に原爆を落とした爆撃機の名前。
とてもポップでキャッチーな曲なんだけれども、
歌ってる内容は漠然としながらも手厳しい。
こういう、政治的な、或いは社会的な内容を
ポップに表現するのって僕は大事だと思っていて、
これは日本人は苦手なんだよね。

O.M.D. はこの他、後に「Locomotion」なども売れたけれども、
僕が一番衝撃を受けて、きっと今も影響を受け続けているのは、
彼らの最も売れなかったアルバム「Dazzle Ships」の一連の曲。
で、まずは、その最も売れなかったアルバムの
最も売れた曲「Telegraph」をどうぞ。

■Telegraph
 

これも「Enola Gay」に通じるポップさがありますね。
だけど、その歌詞は「電報を受け取った/何のことかわからない/
電報を受け取りたい人なんていない/アメリカ万歳」みたいな。
このアルバム全体が冷戦とか鉄のカーテンを想定していて
そのことを考えると、この電報ってもしかして、
徴兵の電報か、或いは戦死の通知か、そんな感じがします。

でもね、このアルバムを聴いてぶっとんだのは、
まぁ、これって音楽? というくらいノイズの多いこと。
ラジオのノイズ、潜水艦のソナー、警報器の音など、
どちらかと言えば不快なノイズだらけのサウンドコラージュで、
YMOのピコピコサウンドはあれは一体何だと批判的だった僕も、
それ以前の音にぶっ飛んでしまうと同時に、
取り憑かれてしまったというわけなんです。

そこでまずはその1曲目の「ラジオ・プラハ」をどうぞ。
ライブではオケで演奏してますが、オリジナルは
チープならっぱの音でした。w

■Radio Prague
 

何じゃあと思ったのは、ラジオのノイズに埋もれながら
単調ならっぱの音が繰り返され。。。

でも、これってベルリンの壁崩壊前のこと。
壁の向こう側に行くことはできなくても
ラジオの音が入ってきたりしたんですよね。
これを聴いた時、北九州で育った僕は、
ラジオをいじってて北朝鮮のラジオの日本語放送が
いきなり聞こえてきた時のことを思い出しましたよ。^^;

そして2曲目が、「Genetic Engineering」。
このサウンド、メチャメチャ影響を受けましたね。
一度聞いたら忘れられないイントロですよ。^^

■Genetic Engineering
 

CDのクレジットを見ると、使用楽器がずらっと並んでて、
最後に「タイプライター」とあります。w

この曲と「This Is Helena」という曲のリズムがとても好き。
なんだけれども、「This Is Helena」は日本のYouTubeでは
ダウンロード禁止の対象になっているようです。
機会があったら聞いてみて下さい。

あと、タイトル曲の「Dazzle Ships」も紹介しておきましょう。
これもライブからの映像。
タイトルには「パート2・3・7」とありますが、
実はパート1・4・5・6は存在しないという
何とも人を食った曲。w

■Dazzle Ships (Parts II, III & VII)
 

パート3分あるのに曲の長さはたったの2分!w
最初聴いた時、お〜、いかにも軍艦のような
或いは潜水艦のような雰囲気のあるイントロだ、
と思っていましたが。。。そのまま終わっちゃいます。www
(因みに「dazzle ships」とは第一次世界大戦中に作られた
 迷彩を施した軍艦のことらしいです。)

全体に冷戦に対する批判とラジオのノイズで統一されたアルバムで、
最後は「Radio Waves」というこれまたポップなチューンを経て、
もう、こういうエンディングしかあり得ない、という、
「Time Zones」で終わります。
この衝撃は聞かないとわからないと思うので
ネタばらしはやめておきますが、とにかく、僕の場合は、
日本語が飛び出してきた時点でぶっ飛びましたよ。(え?w

マイナーなバンドの一番売れなかったアルバム、
だけど、当時のどんなテクノバンドが出したものより
質の高い作品に仕上がっていると思います。

■Dazzle Ships
 O.M.D.: Dazzle Ships

というわけで、このバンド、コピーしてみようかな、
と思ったりしてます。
「エノラ・ゲイ」か「テレグラフ」あたり。。。
ま、これがエイプリルフールのウソになるかどうかは。。。
お楽しみに。w