日本時間6月29日の早朝に行われた創始者フィリップと
現在の経営者のオバーウルフのインタビュー、
当日リアルタイムで視聴していることは Twitter などで報告しましたが、
具体的にどういう話があったのか知りたい、と思っている方も
きっとたくさんいらっしゃると思います。
僕自身この貴重なインタビューのレポートをしなければと思いつつ、
今日まで全くその時間を見つけられないでいました。
昨日書きましたように、ようやく落ち着いて来ましたので
このインタビューについて僕がおもしろい、これはスゴい、
と思ったことをここに綴って行きますね。
で、まず最初に、このインタビュー、
既に動画として YouTube に上がっていますので、
これを観ながらお読みになるとよいかと思います。
■Second Life's Lab Gab Special Live at SL20B with Philip and Oberwolf Linden
VIDEO
1. オバーウルフがリンデンラボを買収して2年半、
今感じていること、或いは分かって来たことは? (6:50 辺り)
この質問を投げかけられてオバーウルフは、
みんな SL を「所有している」と思っているけれど、
実は誰も「所有」していないんだ。
僕等はリンデン・ラボに投資をして「買った」ことになっていて
リンデンの社員も住民が作ったものも「所有している」と
思いがちだけれども、SL というのは「会社」じゃないんだよ。
これは「ムーブメント」つまり「行動」「運動」なんだよ。
2. オバーウルフがリンデンラボを買収して以来、
CEO というものを置いていないけれど
あなたの現在の立場は? CEO ではないのか?(17:56 辺り)
CEO というのは Chief Executive Officer のことだよね?
つまり、他の取締役達がこの人一人にだけ報告するという体制なんだ。
でも、今僕等がリンデン・ラボでやってることは違うんだ。
僕は Executive Officer ではあるけれど、
他の3の Excecutive Officer たちとお互いに報告し合って
セカンドライフをどう運営するか決めているんだ。
そしてこのやり方でうまくやれていると感じている。
だから報告先や決定権が集中する CEO は要らないんだよ。
3. 世間では AR/VR ヘッドセットが話題ですが、
SL は AR/VR 体験を提供しないのでしょう?(42:42 辺り)
フィリップによれば、ヘッドセットによる体験は
"Non-inclusive"、つまり、多くの人たちと一緒に体験するものでなく
個人に閉じた体験になってしまうとのこと。
よく言われるのは、ヘッドセットを装着している人と
その周りにいる人とは隔絶した世界にいるということですね。
先日米国のアップルが Apple Vison Pro という
AR/VR とは全く異なる概念のヘッドセットを発表したことと
ちょうど符号を合わせているようで面白いと思いました。
かつては SL にも Oculus Rift 対応の SIM などあって
何故やめてしまったのか、復活させてほしいと思っていましたが
今回フィリップの発言を聞いて腹落ちしました。
4. 最近話題の AI について(28:10 辺り)
SL と AI と言うのは AI が SL に入って来る
ということではないと理解している。
AI はツールとして、使い方次第で人間の社会に対して
よい影響も悪い影響も与える。
SL を通じて人と人がコミュニケーションするのを助ける方向なら
それはよいことだと思う。
AI が人と人とをつないでいく動きを注視したいと考えている。
5. ブロックチェーンや分散型のシステムについて(1:14:10)
中央集権型のシステムに限界があるのはその通りだが、
しかし、完全に分散型になってしまってはこれもうまくいかないよね。
話が中央集権か分散型かという極端な議論になってしまうんだけど
実際にはその中間のどこかに最適解があると考えているよ。
6. モバイル版 SL について(33:32 辺り)
モバイル版の SL を開発しているチームがあって
そのニュースでコミュニティが盛り上がっているって?
「やめとけ」と言いたいね。
デスクトップの SL で経験できる製作や美しい風景を
モバイルでやるのは本当に難しいことなんだよ。
それよりは SL 版 TikTok のようなコミュニケーションアプリ、
或いはインベントリの管理ができるとか
そういう方向で進めるのがいいように思うな。
モバイル版 SL については仰る通り、と思いましたね。
というのはその試みは何度もされて、
僕もモニターしたことがありましたが、
結局時間をかけて世界が読み込まれても
何が何だかよくわからない、というのが現実だからです。
僕はモバイルでは MetaChat を使っていますが、
IM をしたり、インワに届いたノートカードを確認するのは
これで十分ですね。
7. マズローの欲求5段階と SL(1:00:48 辺り)
ある人が SL で助け合いの精神や自己実現に向けた動きが活発なのは、
マズローの欲求5段階の底辺にある生理的欲求、
安全に対する欲求が既に問題ではないからだと言っているが、
それはその通りだね。
SL をその視点から見たことはなかったけれど、
これは僕等が生理的欲求から解放されたら
どれだけ素晴らしいことを実現できるか、ということだよね。
マズローの欲求5段階というのは、人は次のように
欲求のピラミッドを上がっていくというものですね。
(1) 生理的欲求
(2) 安全の欲求
(3) 社会的欲求
(4) 承認欲求
(5) 自己実現欲求
僕等は SL を通じて、より高いレベルの欲求を満たせる
そういう体験をしているのかもしれません。
というわけで、僕の関心があるところをざっとまとめてみました。
もっと他にもいろんな話してましたので、
こういう話もあったよね、とお気づきになったことありましたら、
是非コメント頂ければと存じます。