2024年11月17日日曜日

【技術情報】 今更ですが、PBR って何?〜その2・Blinn-Phong タブの使い方

SL のビューワーに新しく追加された PBR 材質機能の話の続きです。
前回はそもそも PBR って何? という疑問から
全般的な話をしましたので、今回から具体的に
Firestorm ビューワーを例にその使い方について書いていきますが、
PBR 材質機能が追加になったことで、
これまでの材質の機能はどうなるの?
自分は glTF ファイルなんか作れないし、持ってないし
今までの材質の機能で十分なんだけど?
という方もいらっしゃることと思います。
限に僕自身がそうです。
こうした疑問や不安をお持ちの方のためにも
追加になった PBR 材質機能の説明に入る前に、
従来の材質機能について先に説明することにします。

オブジェクトを編集する「製作ツール」で
従来「材質」だったタブは「テクスチャ」に名前が変わり、
その「テクスチャ」タブを開くと、
従来は「材質」と「メディア」を選択するドロップダウンだったのが「PBR」、「Blinn-Phong」、「メディア」の
3つのタブが並ぶ形に変わっています。
(リンデン公式ではドロップダウンのままのようです。)
デフォルトでは「PBR」のタブが選択されていますが、
真ん中の「Blinn-Phong」が従来型の「材質」になります。

241117a

前回のこの日記で従来型の「材質」は「Blinn-Phong」に
名前が変わった、と書きました。
これはリンデン公式の Wiki の表現をそのまま用いたのですが、
実際に触ってみると単に名前が変わっただけでなく、
こちらはこちらで機能がバージョンアップしていることが
わかりました。

ブリン・フォンというのは、光の反射モデルの名前です。
3D コンピュータ・グラフィックスの世界で、
モデリングされたオブジェクトの面に影や光の反射をつけるのを
コンピュータに計算させて実現するわけですが、
ユタ大学のブイ・トゥオン・フォン博士が開発したのが
フォン反射モデルと呼ばれるもので、
これに同じくユタ大学出身の博士ジム・ブリンが改良を加えたのが
ブリン・フォン反射モデルと呼ばれるもので、
SL がベースにしている OpenGL で採用されている反射モデルが
このブリン・フォン反射モデルというわけです。

つまり、ブリン・フォン反射モデルは計算によって
オブジェクトの光の反射や影の付き具合の
「近似値」を求めることができるのに対して、
PBR では「物理的に正しい」光の反射や影が実現できるわけです。
言い方を変えると、近似値でも十分満足できるのであれば、
ブリン・フォン反射モデルによる従来型の材質による製作でも
十分楽しめるようになっている、それが今回のバージョンアップの
特徴でもあると言えます。

そうなんです。
上の「Blinn-Phong」タブの画面を見て頂ければおわかりのように
テクスチャを設定する正方形の枠が1つから3つに増えています。
これこそ、これまで以上にブリン・フォン反射モデルを利用して
よりリアルな光の反射や影を実現するためのものなのです。

が、いきなり英語で「Diffuse」、「Normal」、「Specular」って
3つもあるうちどこに何を設定すればいいの〜っ?
って感じですよね。。。いや、僕自身そうでした。
で、まずここから説明していきます。

従来のテクスチャを設定するのは一番上の「Diffuse」になります。
これは「拡散反射マップ」を表す英語なのですが、
「拡散反射」とは、オブジェクトに当たった光が
跳ね返されるよりもオブジェクト全体に広がる効果のことです。
言い換えると、光によって反射したテカリや影ができない
そういう状態のことで、つまりは照明や陰影の効果の全くない
テクスチャに描かれているものをそのままというわけです。
これは、オブジェクトに色情報を与えるものになるので
「カラーマップ」とも呼ばれています。

真ん中の「Normal」は「ノーマルマップ」を表していて
これは「Diffuse」で描かれているものに凹凸の情報を与え
影を付けるためのテクスチャを設定するところになります。
凹凸は勿論、ポリゴンとして表現すれば当然リアルになりますが
そのためには当然計算量が増えるわけで、
スピードが要求されるゲームなどの世界では、
このノーマルマップを使用して平面に立体感を与えることで
計算量を減らしてきたわけなんですね。

一番下の「Specular」は「鏡面反射マップ」を表しています。
「鏡面反射」とは、光が当たったところが白くテカるアレです。
分かりやすい例としては黒い瞳に光が当たると、
瞳の中に白く輝く点ができますよね、アレです。
つまり、「Diffuse」で設定されている画像に
「Normal」で凹凸情報が追加されているわけですが、
そこに光を当てた時にその凹凸に応じて反射する具合が
表現されることになるわけです。

これらの説明を書くのに、反射モデルに関する記事を
たくさん読みましたが、その中には STYLY MAGAZINE さんの
「Tips  【Blender】様々なテクスチャマップを理解しよう」
というリンク先の記事もあって、
そこに「拡散」「ノーマル」「鏡面」それぞれの
画像がありましたので、実験で使わせて戴きました。
この場をお借りして御礼申し上げます。


次の画像は上のサイトにある3つの種類のマップを
製作ツールに読み込んだところです。
こんな感じになります。

241117b

最終的にはこうなるのですが、それぞれの効果を確認するために
Diffuse から順番に読み込んでいったところを見ていきましょう。
いつものように木箱を作って、その面に色情報のテクスチャを
マップしてみたのがこの状態です。

241117c

ただ写真が木箱に表示されているだけですね。
これに2番目のノーマルマップを適用するとこうなります。

241117d

どうでしょう? より立体的に見えませんか?
わかりづらい?
そうかもしれません。
これ、元の画像に影が入っているので
それだけで元の画像にある種の立体感があるかもしれません。
よりリアルな照明や陰影の効果を実現するためには
元の画像は影のない状態である必要があるようで、
素人には撮影でそんなテクスチャを作るのはムリですね。。。

そこで、立体感を確認するために、
いっそ色情報の Diffuse のマップを削除してみました。
Diffuse は真っ白な平面ですが、ノーマルマップによって
凹凸感が出ているのがわかると思います。

241117e

あれ? この凸凹はどこかで見たことがあるぞ?
という方もいらっしゃるかもしれません。
そうなんです。
以前のプロジェクトで「バンプ」というものが導入され
これまでの「材質」タブにもその項目がありました。
このバンプは平面に凸凹情報を与えるものなのですが、
ノーマルマップとはそのバンプの一種と言えます。

「バンプ」は今も「テクスチャ」のタブでは健在で、
ノーマルマップを適用するとプルダウンのところに
「テクスチャを使用」と表示されていますが、
そのプルダウンをクリックすると、次の画面の通り
これまでもあった選択肢が表示されます。

241117f

では、試しに色情報を戻して、これらのバンプの中から
「Suction(吸着?)」を適用してみましょう。

241117g

ほら、何だか丸い形に凹凸が付いて見えますよね?
この凹凸は表示されている画像とは全く関係なく凸凹してますが、
ノーマルマップとは画像に適切な形で凹凸情報を与えるもの
と僕は理解しました。
あ、因みにこんな風にバンプを適用してしまうと
ノーマルマップは解除されて「×」の状態に戻りますのでご注意。

最後に鏡面反射マップを適用したところです。
画面左下の石の一点が特に強く白く光っているのがわかるでしょうか。

241117h

これ、反対側から見るともっとわかりやすい。
全体に凸凹感もキラキラ反射している感じも
よく出ていると思います。
これ、木箱の1平面なんですけどね。

241117i

こんな感じで、これまでは影も含めたようなテクスチャを1枚
設定するだけでしたが、
ノーマルマップや鏡面反射マップが利用できるようになったことで
PBR でなくても結構な質感を表現することが
できるようになったわけなんですね。
従来型の「材質」はただ名前が変わっただけではない、
と書いたのはこういうことなんです。
まぁ、僕自身はノーマルマップとか鏡面反射マップとか
用意できる人間ではないのでショボいオッブジェクトを
作り続けることになるでしょうが。。。w

次回はいよいよ PBR の使い方について書きます。
お楽しみに。

(2024.12.01 追記)
上の実験をやっていて、ノーマルマップと鏡面反射マップを使うと
"Bumpiness" と "Shininess" に「テクスチャを使用」となっていて
もしかして? と思って気づきました。
これは、PBR 以前のバージョンでは次のような画面でした。

241201p

「凹凸」と「輝き」となっていますが、その後ろにかっこ書きで
「標準」、「反射」とあるのは、今思えば
ノーマルマッピングと鏡面反射マッピングのことですね。
このかっこ書きは僕自身が付けたのか、他の方が訳してくれたのか
今となっては全く覚えていませんが、
僕が訳したのだとすると、全くどういうことか理解せずに
訳していたことになりますね。ごめんなさいです。

で、このラジオボタンを選択すると、
ちゃんとマップを指定できるようになっていました。
そして、マップを指定しなくても、
「凹凸」の方は "Brightness" か "Darkness" を選択すると
明るさまたは暗さを強調してノーマルマップのようなことができ、
「輝き」の方も強度を指定して鏡面反射マップみたいなことが
できるようになっているのでした。
なので、必ずしも自分でノーマルマップや鏡面反射マップを
用意できなくても、擬似的に凹凸や光の反射を
表現できるというわけですね。

そこで、ノーマルマップや鏡面反射マップを使わずに
これらの設定を使ったのが次の写真です。
マップを使った上の写真と比べるとイマイチ感は否めませんが
それなりに凹凸や光の反射の感じは出ていると思いませんか?

241201o

最後に、この部分の翻訳に当たっては、「拡散」とか「標準」とか
普通の日本語の感覚からは分かりづらいので、
それぞれ次のように訳すことを考えています。

Diffuse = カラーマップ
Normal = 法線マップ
Specular = 鏡面反射マップ

2024年11月10日日曜日

【技術情報】 今更ですが、PBR って何?〜その1

今年の6月20日、Firestorm ビューワーの
PBR バージョン 7.1.9 がリリースされました。
ちょうど SL21B の時期です。
この時期、メチャメチャ忙しかったこともあり、
また、PBR バージョンを入れたらトラブったという話も
X 辺りでチラチラ目にしていましたので、
SL21B でイベントが予定されている身としては
敢えて危険を冒したくなく、
そのタイミングでのバージョンアップはしませんでした。

そもそも PBR って何? というところから始まり、
Firestorm の開発にも絡んでいる自分としては
この略語は Public Beta Release、つまりベータ版のリリースを
意味する言葉でしかなく、ますますインストールする気には
なれないのでした。
それがその SL21B のライブの模様を
しんさんが録画してくれたのを見て、おお? と思ったのでした。
しんさんの撮影はいつも超高でやって下さっているはずですが、
この時の映像は、全体に色に深みがあり、
よりリアルな感じがしました。
そこで、これ、PBR ビューワーで撮ったの? と訊くと
そうです、と仰るので、それでは自分も PBR 試してみるか、
と思った次第なのです。

それからもう随分時間が経ちましたので、
今更 PBR って何? という人も減ってはいると思いますが、
自分の備忘も含めてここにまとめておこうと思います。
技術的な話は例によって長くなりそうなので、
2回に分けて、今回は PBR の全般的な話、
次回は Firestorm ビューワーでの具体的な操作について
説明していこうと思います。
いや、一つにはこのところビューワーの翻訳サボってて
またまた英語がいっぱい増えて、何の機能か、
触ってもトラブったりしないか、不安に思っていらっしゃる
みなさまへの罪滅ぼしも兼ねて、でございます。

     *   *   *

PBR というのは Physically Based Rendering の略で、
日本語では一応「物理ベースレンダリング」という
中途半端な訳が当てられていますが、どちらかというと
コンピュータグラフィックスの世界では、
もう PBR という英語の略語の方が一般的に通っているようです。
これは、SL の世界で言うと、光の反射(Reflection)と
材質(Materials)に関連した話のようです。
材質と言えば、2013年頃に——もう10年以上前か!——
Project Materials というプロジェクトがあり、
そこでよりリアルな材質の表現が可能になりましたが、
今回の PBR は更にリアルな質感をもたらすものとなります。

材質というのは、金属だったり、木だったり、石やプラスチック、
或いは革だったりしますが、
私たちは遠目からそれを見ただけで、金属だ、プラスチックだ、と
敢えて触ってみたりすることなく見分けることができます。
これは何故かというと、その材質によって反射の性質が異なるから
だそうなんです。
そこで、ある角度から光を当て、それをまたある角度から見た時に
光がどのように反射してその物体が目に入ってくるか、
これを実際の物理の法則に従って計算して描画する、
というのが PBR なんですね。

なんだけれども、PBR でできることというのは
実に範囲が広いようで、昨年の11月にリンデンが導入したのは
まずこの材質の部分で、最初に書きましたように、
PBR は光の反射とも関係しますので、地面だとか空や水とか
SL の環境全体が今後はよりリアルな見え方をするように
変わっていくようです。

一方で、現在の SL 内に僕等住民たちが作ったオブジェクトの殆どは
従来の「材質」を使って作られていますので、
材質に関しては、当面従来の材質と PBR とが共存できるように
ビューワーの変更が為されているわけです。
そして、従来の「材質」ですが、これを PBR の材質と区別するため
呼び方が Blinn-Phong と変わっています。
これは SL が採用している OpenGL のシェーダーモデルの一つ
ブリン=フォン反射モデルによるそうです。
シェーダーのモデルのは他にフォン反射、ランバート反射など
あるようですが、従来の SL はブリン=フォンだ、というわけですね。

で、その従来のブリン=フォンで使われるテクスチャは
JPG, PNG, TGA といった形式だったりしましたが、
PBR で使われるテクスチャは glTF という形式のファイルです。
どんどん新しい言葉が出てきて目が回りそうですが、
実はこれはコンピュータグラフィックスの世界では、
JPG とか MP3 に当たるものだそうで、
つまり、JPG や MP3 が OS やアプリケーションを選ばないように
glTF はどんなグラフィック編集でも扱うことのできる形式、
新しいスタンダードなのだそうです。

ところで面白いのは、この glTF という形式で書き出すと、
".gltf" という拡張子のファイルと共に、PNG だったり
いくつかの種類のファイルが出力されるんですね。
SL にアップロードする時はこれら全部を持ち込む必要がありますが、
もう一つ ".glb" という拡張子もあって、
こちらは全部のファイルをまとめた形式なのだそうです。
そしてSL にアップロードする時にこの ".glb" ファイルを指定すると、
個別のファイルをアップロードするのか、
全部まとめてアップロードするのかを確認するダイアログが
表示されるようになっています。

僕自身は PBR のテクスチャを編集するソフトは持ってませんので
glTF ファイルをアップロードすることはできません。
この辺りは最後に紹介する動画をご参考にされるとよいと思います。

さて、この反射モデルが変わったことに加えて、
トーンマッピングというのも導入されています。
世の中音楽でも映像でも何でも高解像度になっていますが、
映像・画像における高解像度 HDR、
即ちハイ・ダイナミック・レンジに対応するものになります。
つまり、コンピュータのディスプレイはより解像度が低いので
HDR の画像や映像をそのまま表現することができません。
そこで、HDR の画像や映像の質感が失われないよう
色の変換が行われるわけですね。
この変換の方式にはいくつか種類があるようですが、
SL が採用しているのは ACES という方式で、
これは Academy Color Encoding System の略で、
その名の通り、映画やテレビで使われている方式です。
これはつまり、SL の世界が映画レベルの深みを持った
よりリアルで没入しやすい環境になっていくことを意味していると
ヒロシは理解しています。

あともう一つ。Reflection Probe というものが導入されました。
これまた日本語の訳がなくてそのまま「リフレクションプローブ」
と言っています。
これはある地点から全方位に向かって見える景色を
キャプチャーする球状のカメラのようなもので、
これを使うことで周りの景色の映り込みが実現できます。
SL ではリフレクションプローブには2種類あって、
各地域に設定されたデフォルトの、修正不可能なプローブと
もう一つは自分で作ることのできる修正可能なプローブになります。

デフォルトのリフレクションプローブは分かりやすいです。
PBR の材質のオブジェクトを作って「モード」を "Blend" にすると
そのオブジェクトに空が映り込みます。
地域全体に設定されているリフレクションプローブの効果ですね。
ただ、部屋の中に置いてあるオブジェクトなのに、
つまり天井があるのに空が映り込むのはおかしいですよね。
そこで、自分用の、部屋より大きいサイズで
リフレクションプローブを作って設置してあげると
ちゃんと天井が映り込むようになる、というわけです。

但し、このリフレクションプローブはリソースを激しく消費するので
次のような行為は禁止されていますのでご注意下さい。

・リフレクションプローブを装着してはいけない
・リフレクションプローブを家具、テーブル、椅子、楽器といった
 小さなオブジェクトにリンクしてはいけない
・リフレクションプローブを自動車や飛行機のような
 物理オブジェクトとリンクしてはいけない
・リフレクションプローブを鏡として使ってはいけない

最後の「鏡」については、PBR とは別に鏡用のプロジェクトで
対応が予定されているようです。

ざっとこんなところでしょうか。
詳しくは英文ですが、次の Wiki の記事を読んで頂くのがよいのと
あと、超ザックリですが、クリエイターの方も含めて
何をしなければならないかがサクッとわかる動画がありますので
これを紹介しておきます。
是非参考にしてみて下さい。

・PBR Wiki

・Second Life University - How to Create PBR Materials
 

2024年11月7日木曜日

【新作】 ニュー・アルバム『セレブレーション・アクロス・ボーダーズ』全曲解説〜その5・「トラベリング - 未知の世界へ -」

ニュー・アルバム『セレブレーション・アクロス・ボーダーズ』の
5曲目には「トラベリング - 未知の世界へ -」という
テンポの速いリズムを刻んだ曲が入っています。
この曲の説明について、配信会社には次のように登録していました。

「『トラベリング』は2017年のバーン2イベント "Radical Ritual" のために書かれたもので、宇宙の遙か彼方、未知の世界への旅を表現している。曲の後半は神聖な儀式として日本の太鼓による演奏となっている。」

僕自身はこの曲、最初にやったのは SLB だと記憶していたんです。
確か夏で、しかも自宅ではなくて京都のホテルかネカフェから
放送したような記憶があったのです。
そして海外の方から「きれいな音!」と言われた記憶が。。。

なんですが、自分のブログでこの曲で検索をかけると
2017年の Burn2 "Radical Ritual" が一番古いようでした。
そこで上のような解説を書いたわけです。
"Radical Ritual" なので、儀式として日本の太鼓を入れたのだ、と。

ところが、この記事を書くに当たって今一度検索をかけたら
2015年4月の R&Y Grand Theatre のこけら落としで
演奏した、という記録が見つかりました。
そこで、ええ? と思ってその時の音源ファイルを確認したところ、
2014年の7月に再生した記録が。。。
ということは?

判明しました。
本当の初演は2014年の SL11B、「ボクラハロボット」と
同じ6月27日のステージで演奏していたのでした。
そのタイミングだと確かに京都にいた可能性が高く、
やっぱり自分の記憶はあながち間違っていなかったのでした。
そして当時のブログの記事も見つかりましたので
ここに転記しておきます。

「早いテンポでリズムを刻んで、
 先へ先へと弛みなく進み続ける様をイメージして作りました。
 リズム主体で考えていたせいか、何故かガムランが飛び出し、
 何故か和太鼓の連打となってしまいました。w
 その和太鼓の前の、シンセソロのところ、
 意外にも海外の方から「きれい〜」と反応がよくて
 嬉しかったです。」

「何故かガムラン」、「何故か和太鼓」ってヒドイ。w
何も考えてなかったのか?www
「儀式」というのは後付けだったのか?www

でも、「先へ先へと緩みなく進み続ける」というのは
その通りで、僕の Burn2 や SLB のステージでは
宇宙の旅をイメージした組曲を何度かやっていますが、
そんなわけでこの「トラベリング」は何度かアレンジを変えながら
演奏してきています。
それはやっぱり、僕の中で、どんどん先へ先へ
遠い未来、遠い世界へ向かって行きたいという夢があるからです。


今回のアルバムに収めたのは、その SL11B 及び Burn2 2017 で
演奏した時のガムランと和太鼓が入ったバージョンになります。
とは言え、後半のガムランと和太鼓の部分は
今回のアルバムのために決定版として録音もマスタリングも
やり直していますので、新曲としてお楽しみ頂ければと思います。

そんな「トラベリング - 未知の世界へ -」が収められた
ニュー・アルバムの試聴と詳細情報は下のリンクからどうぞ。
サブスクで聴くだけでなく、ダウンロード販売をご購入頂けると
大変喜んでまた頑張っちゃいますので、
下に記載の過去リリースも含めてどうぞよろしくお願いします!

■熊木博士『セレブレーション・アクロス・ボーダーズ』
 241015a

<収録曲>

1. ハッピー・バースデー・セカンド・ライフ  (SL17B, 2020)
2. クリスタル世界への旅立ち (SL15B, 2018)
3. JMJ -「軌跡」のビートにのせて- (Burnal Equinox 2015)
4. あ・い (Burnal Equinox 2015)
5. トラベリング - 未知の世界へ - (Burn2 2017)
6. タイム・オブ・シェアリング (Burning Life 2008)
7. レオナルド・ダンス (Burn2 2016)
8. ボクラハロボット (SL11B, 2014)
9. ワールド・ニュース (Burning Life 2009)
10. コール・フォー・ピース (Burning Life 2009)
11. シー・ユー・オンライン (Burnal Equinox 2020)
12. レッツ・バーン・ダウン・ザ・シム (Burn2 2015)
13. みんなつながっている (Burnal Equinox 2015)

詳しい情報とご購入はこちらになります。


過去にリリースされた作品もどうぞよろしくお願いします!

・1作目『Songs from a Virtual World』(2021)
・2作目『Sound Cruise in the Metaverse』(2022)
・3作目『Orchestral Maneuvres in Second Life』(2023)

2024年11月6日水曜日

【新作】 ニュー・アルバム『セレブレーション・アクロス・ボーダーズ』全曲解説〜その4・「あ・い」

さて、ヒロシのニュー・アルバム
『セレブレーション・アクロス・ボーダーズ』全曲解説の4回目は
「あ・い」について語ります。
この曲のタイトルは当初「愛」や「哀」を
勿論イメージしていたのですが、配信会社に登録した
楽曲詳細には次のように書いています。

「この曲は元々はナチュラルウェイ・フローの「ミュージック・スターマイン」イベントのために作曲され、彼に捧げられたものであるが、セカンドライフ内では殆ど演奏されることのなかったものである。2015年の Burnal Equinox イベントのテーマは「バランス」であり、熊木博士はこのイベントのためにこの曲を選び、男と女の関係、即ち「愛」を表現しようとした。「あい」という日本語は勿論「愛」を意味するものではあるが、同時にそれは、五十音の最初の2つの音であり、「あ」は宇宙空間を、「い」は生命の息吹を表すと言われている。つまり「あい」とは全ての人間に共通する基盤なのである。」


そうなんですよね、元はナチュさんが MSM で
僕の、2枚目のアルバムにある「霞か雲か」を使ってくれたので
折角なら MSM のイベント全曲分の BGM を作ってあげようと
5曲からなる組曲を考えていたのでした。
その冒頭の1曲目が3枚目のアルバムに収めたオケの曲
「祝典序曲」で、3曲目がこの「あ・い」でした。
2曲目はエレピによる爽やかな曲、
4曲目は激しい太鼓連打のよる曲、
5曲目はエピローグとして静かなストリングスによる曲を
構想はしていたのですが、現実に音になったのは
「祝典序曲」と「あ・い」だけとなります。

上の解説にも書いた通り、「あい」という言葉は特別と感じています。
勿論「愛」は大切なものですが、
英語で "I" は「自分」という意味、
スペイン語で "hay" は「存在する」という意味、
ちょっと違うけどドイツ語の "eins" は「1」という意味、
何れも、直接的な意味は違えど、
人間が今ここに存在している根源的な何かを表している、
そんな感じがしませんか?
そして日本の神道やホツマツタヱが伝える言霊では、
「あ」が宇宙、「い」が生命を表すのです。
(あめ、いき、いのち、といった音を思い出して頂ければ。。。)
五十音図の最初に「あ」と「い」の音があるのは
単なる言語学的分析的配列以上に意味のあることなのです。

そんな「あ・い」が収められた
ニュー・アルバムの試聴と詳細情報は下のリンクからどうぞ。
サブスクで聴くだけでなく、ダウンロード販売をご購入頂けると
大変喜んでまた頑張っちゃいますので、
下に記載の過去リリースも含めてどうぞよろしくお願いします!

■熊木博士『セレブレーション・アクロス・ボーダーズ』
 241015a

<収録曲>

1. ハッピー・バースデー・セカンド・ライフ  (SL17B, 2020)
2. クリスタル世界への旅立ち (SL15B, 2018)
3. JMJ -「軌跡」のビートにのせて- (Burnal Equinox 2015)
4. あ・い (Burnal Equinox 2015)
5. トラベリング - 未知の世界へ - (Burn2 2017)
6. タイム・オブ・シェアリング (Burning Life 2008)
7. レオナルド・ダンス (Burn2 2016)
8. ボクラハロボット (SL11B, 2014)
9. ワールド・ニュース (Burning Life 2009)
10. コール・フォー・ピース (Burning Life 2009)
11. シー・ユー・オンライン (Burnal Equinox 2020)
12. レッツ・バーン・ダウン・ザ・シム (Burn2 2015)
13. みんなつながっている (Burnal Equinox 2015)

詳しい情報とご購入はこちらになります。


過去にリリースされた作品もどうぞよろしくお願いします!

・1作目『Songs from a Virtual World』(2021)
・2作目『Sound Cruise in the Metaverse』(2022)
・3作目『Orchestral Maneuvres in Second Life』(2023)

2024年11月4日月曜日

【新作】 ニュー・アルバム『セレブレーション・アクロス・ボーダーズ』全曲解説〜その3・「JMJ -「軌跡」のビートにのせて-」

新譜『セレブレーション・アクロス・ボーダーズ』全曲解説の
つづきです。
今回は3曲目の「JMJ -「軌跡」のビートにのせて-」です。
まずは配信会社に登録した概要から。。。

「バーン2のメインとなる催しは例年10月に開催されるが、2015年に春の催しとして "Burnal Equinox" が始まった。"Equinox" とは春分の日のことであるが、これは熊木博士が子供の頃大変影響を受けたジャン・ミシェル・ジャールの2枚目のアルバム『軌跡』の原題でもある。その音楽こそ冨田勲の作品群と共に熊木がシンセサイザーの世界へと足を踏み入れることになったきっかけとなっている。ジャン・ミシェル・ジャールに敬意を表して、「バランス」のテーマで行われた2015年の Burnal Equinox のイベントで熊木は、『軌跡』のビートに乗せた即興演奏を行った。本作はその時の曲を新たに録音し直したものである。」


そうなんです。
2015年に Burn2 の春の催しとして Burnal Equinox が始まった時
「おおぉ!」と思ったのですね。
"equinox" というのは1日の昼と夜の時間が同じ、
つまり春分の日または秋分の日のことを言うのですが、
春分の日のことを英語で "vernal equinox" と言うので
"Burnal Equinox" というのはそれの Burn2 流のもじりですね。w

で、昼の時間と夜と時間が同じということには、
全て対立するものがバランスを保った状態、
どちらが勝ちとか負けとか優劣のない状態ということです。
そこでイランでは、イスラームが入って来る前の
ゾロアスター教の伝統で、この日の正午に所謂神と悪魔とが
この世界に入って来たとして、
そのタイミングをお正月として祝います。

そんな全てがバランスのとれた時間を表現したのが
ジャン=ミシェル・ジャールが1978年にリリースした
『軌跡』というアルバムで、原題は "Equinoxe" なのでした。
これは、ちょうどその頃シンセサイザーというものを知って
冨田勲さんの『惑星』に感動した僕が
クラシックのアレンジ以外で知ったシンセサイザー音楽で
FM のラジオ番組でこれを聴いて「カッコイイ!」と思い、
お小遣いを貯めて買って何度も聴いた曲なんです。
そう、冨田勲さんの『惑星』が1976年、
そして喜多郎さんの『シルクロード・絲綢之路』が1980年ですから
そういう時代ですね、シンセサイザーの音が僕を刺激したのは。

そんなこんなで Burnal Equinox にはすぐ参加を決め、
ライブ当日はジャン=ミシェル・ジャールの『幻想惑星』の
不思議なアルペジオの載せて「JMJ」というタイトルで
即興的な演奏を行ったのでしたが、
この時の出来がイマイチだったこともあり、
同じ「JMJ」のタイトルで何度か異なるバージョンで演奏してます。
今回はその2015年の初登場の時のものから始めて
その後のバージョンのものも組み合わせた形の決定版として
新たに録り直したものになります。
ジャン=ミシェル・ジャールに敬意を表しての作品ということですが
ご本人に聴かれるのはちょっと恥ずかしいかも。。。^^;

そんな「JMJ -「軌跡」のビートにのせて-」が収められた
ニュー・アルバムの試聴と詳細情報は下のリンクからどうぞ。
サブスクで聴くだけでなく、ダウンロード販売をご購入頂けると
大変喜んでまた頑張っちゃいますので、
下に記載の過去リリースも含めてどうぞよろしくお願いします!

■熊木博士『セレブレーション・アクロス・ボーダーズ』
 241015a

<収録曲>

1. ハッピー・バースデー・セカンド・ライフ  (SL17B, 2020)
2. クリスタル世界への旅立ち (SL15B, 2018)
3. JMJ -「軌跡」のビートにのせて- (Burnal Equinox 2015)
4. あ・い (Burnal Equinox 2015)
5. トラベリング - 未知の世界へ - (Burn2 2017)
6. タイム・オブ・シェアリング (Burning Life 2008)
7. レオナルド・ダンス (Burn2 2016)
8. ボクラハロボット (SL11B, 2014)
9. ワールド・ニュース (Burning Life 2009)
10. コール・フォー・ピース (Burning Life 2009)
11. シー・ユー・オンライン (Burnal Equinox 2020)
12. レッツ・バーン・ダウン・ザ・シム (Burn2 2015)
13. みんなつながっている (Burnal Equinox 2015)

詳しい情報とご購入はこちらになります。


過去にリリースされた作品もどうぞよろしくお願いします!

・1作目『Songs from a Virtual World』(2021)
・2作目『Sound Cruise in the Metaverse』(2022)
・3作目『Orchestral Maneuvres in Second Life』(2023)

【RL】 行って来ました東京楽器博2024!

連休中日の昨日は東京・北の丸公園の科学技術館で行われた
東京楽器博2024に行って参りました。

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新型コロナの影響でそれまで2年に一度行われていた
楽器フェアが2020年以降開催見合わせとなり、
それまで毎回のように訪れていた僕は淋しい思いをしていましたが、
初めて MIDI に対応したシンセサイザー
シーケンシャル・サーキットの Prophet 600 と
ローランドの JX-3P が登場して40周年の昨年、突如、
日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)が中心となり
東京楽器博が同じ科学技術館で行われたのでした。
それから一年、更にいろんな種類の楽器メーカーも参加、
かつてここで行われていた楽器フェアでは
地下のサイエンスホールでイベントが行われていましたが
そうしたイベントも復活して、より大きな規模で開催されたのです。

僕のお目当ては勿論シンセサイザーの類ではありますが、
ドラム体験ブースでは小さな女の子がドラムを叩いていたり、
ウクレレのステージでは会場のみんながウクレレを手に
レッスンを受けていたり、なかなか微笑ましい風景もありました。
一方で、昨年以降のシンセサイザーの新製品としては、
ローランドの Juno-D とかヤマハの Montage M とか
あんまり新しい感はなくて、唯一注目していたのは
コルグが最近リリースした multi/poly ぐらいで、
これはその名前から想像できるように、コルグの往年の名器
Mono/Poly を最新の技術で復活させたもので(勿論それ以上)、
想像通りの、いやそれ以上の分厚い音はさすがコルグです。

分厚いと言えば、その multi/poly を順番待ちしてる間
触っていた opsix module もよかった!
opsix は DX7 が採用していた6オペレータの FM 音源楽器ですが、
今更 FM……と思っていたところが豈図らんや、
実際触って見ると、勿論 DX7 のあの音は出るのですが、
それ以上に DX7 が苦手とされていたぶっといアナログサウンドも
なかなか迫力のあるもので、膨大なプリセットをざっと見渡すと
最近のコルグのシンセによくあるプリセットの名前が多数あり、
これ1台で大抵のほしい音はカバーできてしまうのでは?
と思わせるほどでした。
FM 音源は、今は Arturia の DX7 がありますので
今更感はあるものの購入を検討したくなりました。w

その他には今年も REON のモジュラーシンセが出ていたのや
ブックラのシンセも展示されているのが興味深かったですが、
何より僕の興味を引いてスタッフと会話したのはこれです。

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マーシャル冷蔵庫!www
どう見てもマーシャルのアンプにしか見えないのはそのはずで、
ロゴ、ツマミ、フレットクロス、コントロールパネル、
全て純正品なんだそうです。www
価格は何と132,000円なのですが、「定期便」を申し込むと
本体は47%オフの69,690円になって、
マーシャル・ビール24缶または12缶が1年間送られて来るという。
冷蔵庫だけでなく、マーシャルのビールもあるのか!? と
これが一番欲しくなった商品でした。w
カタログのキャッチフレーズ
「ロックンロール・ライフスタイルに欠かせない1台」
というのは、うん、よくわかります。www

さて、こうした新製品たちは置いておいて、
今回のお目当ての一つで僕がまず向かったのは
セミナールームで行われた「AMEI MIDI 2.0 セミナー」でした。
これは昨年も参加して、大変刺激を受けるものがあったので
今年はどのような新しい話が聞けるかと思ってのことで、
MIDI 2.0 の内容については昨年と変わるところはなかったものの、
MIDI 2.0 の各社の対応状況は次のような感じでした。

・Apple の Mac は対応完了、DAW としては Logi Pro と
 Cubase がベロシティなどの高解像度に対応
・Windows は MIDI 2.0 用の MIDI サービスのプロとライプを
 開発完了、これから各楽器メーカーやソフトハウスに検証依頼
・ローランドはマスターキーボードの A-88MKII が
 高解像度ベロシティとコントロールチェンジに対応
・ヤマハは Montage M シリーズが高解像度ベロシティと
 コントロールチェンジやピッチベンドに対応
・コルグはマスターキーボードの Keystage や
 opsix, modewave, wavestate といった楽器と
 そのソフトウェア版、また iPhone/iPad アプリの Module が
 こちらは高解像度ベロシティやコントロールチェンジでなく
 プロパティ・エクスチェンジに対応、
 マスターキーボード側に接続している楽器の情報が
 リアルタイムに表示されるので、恰も1つの楽器のように
 キーボードをプレイできる

この高解像度というのがどのくらいのものなのかというのが
セミナーの中で紹介された動画がありますので
皆さんもこれをご覧になることをお勧めします。(1:15〜)


このくらいゆっくり変化させていくと違いがはっきりしますね。
MIDI 1.0 だとカクカクと階段状に上がっていくのが感じられます。
今までは実はこうだったんだ! という感じですね。
これは、実は僕も、特にサンプリング音源でベンダーをかけると
同じようにカクカクするのを経験したことがあり、
それが僕がサンプリング音源を嫌いな理由の一つにもなっています。
こういうのがこれから変わって行く、よりアナログに近くなる
そう考えると楽しみですね。

この MIDI 2.0 については技術的なところを整理して
昨年書くつもりだったのですが、バタバタと日常を過ごしているうち
とうとう1年経っちゃったわけですね。
はい、今度こそ書きますのでお楽しみに!

セミナーに出たあとはほぼシンセフェスタステージで過ごしました。
会場に戻って来てすぐは何と Arturia の Astro Lab のデモ。
Arturia のマスターキーボードはジョイスティックタイプでないので
これまであまり感心がなかったのですが、
これはすごいですね。
何と Arturia のソフトシンセで作った音を読み込めるので、
これ自体が一つのシンセになる感じです。
デモが面白かったのでそのあと触ってみたら、
タッチも独特ではありますが、意外といいですね。
自分の好きなようにカスタマイズできるキーボードのようです。

そのあとは生方則孝さんによる新製品 Theresyn のデモ。
その名前からわかるようにテルミンの仕組みで動かすシンセです。
フランス人のシンシアさんのキーボードとのコラボで
何ともアートな空間が広がっていました。

デモ演奏と言えば、氏家克典さんによる
PWM というイギリスのメーカーによるシンセサイザー
Mantis と Malevolent のデモもよかった。
昨年もそうですが、氏家さんがデモするものは大抵ハンパない。
実はデモの前に Malevolent は見かけたのだが
この英語、「邪悪な」という意味なので、
クスっと笑って通り過ぎたのでしたが、それは誤りでした。
その名に違わず、これぞアナログ! という感じの
過激な音を出します。
写真はこのステージで唯一 SNS アップ OK の出た
氏家さんによるデモの様子です。

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氏家さんが興にに乗って、ツマミをグイグイ回しながら
過激な音を出している感じが伝わるかと思います。

この写真の左側にあるのが Mantis の方で、
こちらは「カマキリ」という意味の英語。
緑色のボディーのトップパネル左側にカマキリの絵があります。w
どちらもヤバイ雰囲気のするネーミングですね。w

こちらはデュオフォニックということで
分厚い音がすると思ったら、何と、イギリスと言えば昔懐かしい
Oxford Synthesizer Company の OSCar の遺伝子を受け継ぐ
製品なのだそうです。
発売当時は、MIDI 付の、ミニモーグに替わるシンセとして
一世を風靡したものでした。
その遺伝子を受け継いだ Mantis、これもなかなかよいシンセです。

そのあとは「JSPA 理事たちが作る!
東京楽器博“非”公式テーマソング?!」や
ヤマハ、コルグ、ローランド3社のシンセサイザーによる
「シンセサイザーバトルロイヤル2024」を観て楽しみました。
テーマソングの方は、7人の理事がそれぞれ
楽器博のテーマを作って氏家さんに捧げるというもので、
更にその中から1位を決めようというもの。
個人的にはテーマ曲としては CM ということを考えると
野見山美貴さんのが雰囲気あって、
浅田祐介さんのはズルイと感じるほどに感動的でしたが、
最終的には鶴田美音さんの曲が1位になりました。
鶴田さんは DAW でなく、コルグの M3 1台で仕上げたとのこと、
M3 がメインキーボードの僕はおぉっ! と盛り上がりました。
いやぁ、やっぱり M3 いいなぁ。
これらJSPA 理事たちの曲は SoundCloud で聴けますので
僕が感じたことを追体験してみて下さい。w


バトルロワイヤルは、最初に3人全員でセッション、
続いて各メーカーのシンセの紹介、
最後に再び3人でセッション、という流れでしたが、
ヤマハの Montage M の紹介で大楠さんが
「友だちがいない時でもこんなことできます」と言ったのを受けて
コルグの tatsuya さんもローランドの宇都さんもそれぞれ
「このシンセでも友だちがいなくてもこんなことできます」と
それぞれアピールするところがおかしかった。w
コルグは Nautilus ではなくて Pa5X でしたが、
いやぁ、各社それぞれすごくて甲乙付けがたいですよ。
コルグの tatsuya さんはガチのピアニストと見ましたが、
ピアノは "Italian Piano" の音色を披露しておられました。
これは同じコルグの Grandstage にも入っている音ですが、
最近のクラシックのコンクールでも人気のあのメーカーの
華やかな感じの響きがするわけで、
その音色で会場のみんなを魅了していましたね。

約6時間くらい会場にいたわけですが、
なかなか刺激を受ける1日となりました。
やりかけていたあれ、またやってみようかなぁ、とかね。
そうしたものをまたどこかで皆さんにお聴かせすることが
できる日が来るかもしれません。
今日はまずこんなところで。