2025年7月27日日曜日

静かなレズデー

今日7月27日はヒロシのレズデーでした。
今から18年前の今日、暇を持て余して SL にサインインしたのが
全ての始まりなのでした。

当時を懐かしみつつ、もしかして Orientation Island とか
以前はコピーが本番の方にも置いてありましたので
今もあるかな? と思って行き先ガイドで探したら
さすがになくなっていましたね。
とは言え、新人向けの SIM の中に Melting Dots が残っていたのは
大変嬉しかったですねぇ。
今もあるんだなぁ、と。
かつてお世話になった方も多いことと思います。

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そして!
懐かしの場所を探していたら、AM Radio さんの
The Far Away を見つけましたよ。
アメリカの昔懐かしい風景ーーこの場所が好きで
昔よく訪れたものでした。
いろいろともの作りの参考にもさせて戴きましたよ。
よくこんな雰囲気のあるもの作れるなぁ、って。

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さて、昔を懐かしむだけじゃなくて、
本来だったらレズデー・ライブをやるべきところなんですが、
このところいろいろありまして、皆さんには申し訳ないことに
今はライブをやる心のゆとりのようなものがないのです。
きっとまた10月には Burn2 やデビュー18周年記念ライブとかは
やるつもりでいますのでそれまで暫くお待ち下さい。

その代わり、と言ってはなんですが、
随分前に作りかけていてそのままになっていた曲に着手しました。
「スノウ・クラッシュ」という曲で、
勿論、メタヴァースの語源ともなったニール・スティーヴンスンの
SF 小説をテーマにした曲です。

SL をやっている人には SF 好きの方も多いと思いますが、
一時こじゃさんと僕とでそれぞれお気に入りの作品に
作曲するようなことをやっていて、
僕は「スノウ・クラッシュ」を選んで、確か SL6B だか SL7B だか
その曲をやったんですが、歌詞が間に合わなかったし
いろいろ中途半端な状態での発表になりました。
ライブに来て下さった方には「雰囲気あるな」とか
言って頂きましたけれども、本人的には全く満足してなくて
いつかやり直そうと思いつつも、やっぱり詞が書けない。
で、この週末に久しぶりに思い出して書き始めたら
何と、はい、漸く詞がまとまりましたよ。
で、レズデーの今日の日曜日、曲の大体がまとまりました。

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とは言え、ノリで作ると大体後で後悔することになるので、
暫く寝せてから完パケする予定です。
皆さんにお聞かせできるのはいつの機会になるか。。。
今日のところはその詞だけお目にかけることに致します。

     *   *   *

Snow Crash

words by Hiroshi Kumaki

You’ll never know how much you really mean to me
Me, I used to think I was a lone wolf to be free
I used to think I could do anything on my own 
Until I met you, until you found another side of me I’d never known

Ooh, you make me understand what I’m really meant to be
Ooh, you make me understand what I got to do, dear
You’ll never know you’ve changed everything about me 
With you by my side, there’s nothing to fear

Now our world is gonna fall apart
With a sword in my hands, with you in my heart
I’ll stand and fight before the time runs out
Before your sight and mind get caught in a whiteout
By the snow crash, snow crash…

<訳詞>

君の存在が僕にとってどんなに意味のあるものかわかりはしないだろう
僕はと言えば、自由の身でいたくて一匹狼を気取っていたものさ
何でも自分一人でどうにかなる、そんな風に思ってた
君に逢うまでは 君が僕も知らない自分を見つけてくれるまではね

そう 君は僕が何のために生まれて来たのか教えてくれたのさ
そう 君は僕が今何をしなければいけないかを教えてくれたのさ
君に出逢ったことで いろんなことが変わってしまったよ
君が側にいてくれるだけで 僕には怖いものなんて何もないのさ

今 世界がバラバラに崩壊しようとしているこの時に
両手に日本刀を握り締め 心に君を感じながら
僕は起ち上がり 闘う 時間切れになる前に
みんなの目や心が真っ白で空虚なものになってしまう前に
スノウ・クラッシュにやられる前に スノウ・クラッシュに

     *   *   *

まぁ、こんな感じで18回目のレズデーを迎えたヒロシです。
今後ともどうぞよろしくお願いします。m(_ _)m

2025年7月6日日曜日

【SL22B】 ヒロシの SL22B ライブ訳詩集~その2

SL22B ライブから早1週間が過ぎました。
翌日にご来場頂いた皆さんへのお礼と
ライブで使った詩の紹介をこの日記でさせて戴きましたが、
その時、一つ書くのを忘れていました。
歌ではなく、僕が朗読した韓愈の「獲麟解」のことです。
今日はそれについて書いておきます。

これは唐代の文人韓愈によるものですが、
僕がこの文章に出会ったのはアルゼンチンの作家
ホルヘ・ルイス・ボルヘスのエッセイの中だった、
というのは前回お話しした通りです。
その「カフカの先駆者たち」という文章、折角ですので、
スペイン語から訳したものをここにお目にかけておきましょう。

   ボルヘス「カフカの先駆者たち」より

かつてカフカの先駆者を調べようと計画したことがある。はじめ私は、彼のことを修辞的な賛美の世界に現れた不死鳥のように、他には類のない、1回きりの特異な存在だと考えていた。しかし、何度も彼を訪ねているうちに、やがて私は様々な時代の様々な文学のテキストに、彼の声や習慣を認めることができると思うに至ったのである。そこで、ここにそのいくつかを時系列で記録しておこうと思う。……(中略)……

2番目のテキストは、たまたま出会った本で見つけたものだが、カフカとの類似性はその形式ではなく、その語り口にある。これは 9 世紀の散文作家・韓愈による寓話で、マルグリエの素晴らしい著書『中国文学論集』(1948 年)に掲載されているものだ。自分が印を付けた、神秘的で静謐な一節はこうだ。

「麒麟は超自然的な存在であり、吉兆をもたらすことは広く認められている。これは、頌歌、年代記、偉人の伝記、そして権威が疑う余地のないその他の文献によって明言されていることだ。村の子供や女性ですら麒麟が吉兆であることは知っている。しかし、この動物は家畜として扱われておらず、見つけるのも容易ではなく、分類も容易ではない。つまり、馬や雄牛、狼や鹿とは違うのだ。そのような状況では、自分の目の前に麒麟がいても、それが何なのか確信を以て知る事はできぬであろう。鬣(たてがみ)のある動物は馬、角のある動物は雄牛であるということはわかるのだが、麒麟がどのような姿をしているのか、我々は知らないのだ。」


ライブでは、このかっこの付いた引用部分を
原語のスペイン語で読み上げたわけです。
いかがでしょう?
確かに、カフカの文章が持つ不条理な響きが
ここには感じられるではありませんか。

そして、曲の後半は、韓愈の原典に当たって、
中国語でもよかったのですが、日本人に馴染みの深い
漢文の訓み下し文として全文を読み上げました。
では、その訓み下し文の全文をどうぞ。

   韓愈「獲麟解」

麟の靈たること、昭昭たり。詩に詠じ、春秋に書し、傳記、百家の書に雑出す。婦人小子と雖も、皆、其の祥たることを知るなり。然れども麟の物たる、家に畜はれず、恆(つね)には天下に有らず。其の形たるや類せず、馬牛、犬豕(けんし)、豺狼(さいろう)、麋鹿の若く然るに非ず。然らば則ち、麟有りと雖も、其の麟たるを知るべからざるなり。角ある者は、吾、其の牛たるを知るなり。鬣(たてがみ)有る者は、吾、其の馬たるを知るなり。犬豕、豺狼、麋(び)鹿(ろく)は、吾、其の犬豕、豺狼、麋鹿たるを知るなり。麟たるや知るべからざるなり。知るべからざれば則ち其の之を不祥と謂ふや亦た宜なり。然りと雖も、麟の出ずるや、必ず聖人位に在る有り。麟、聖人の為に出づるなり。聖人は、必ず麟を知る。麟は之れ果たして不祥たらざるなり。又、曰く、麟の麟たる所以は、德を以てし、形を以てせず。若し麟の出づること聖人を待たざれば、則ち之を不祥と謂ふや亦た宜なりと。


いきなり難しい感じになってしまいますね!w
とまぁ、今回のライブはとっても文学的な内容になったなぁ、と
思い返しているところであります。