2022年9月4日日曜日

【イベント】 そもそも Burn2 って何なの?〜メタバースの原点を考える場として

僕のこの日記を何年かずっと見続けてくれている人は
このあまり更新されない日記が毎年9月頃から急に更新が増え、
10月に入ると殆ど毎日のように「Burn2」の見出しの記事が
連続で投稿されていることにお気づきかもしれません。
それほど僕や僕の周りの友人たちの間では毎年盛り上がっている
Burn2 なのですが、そもそも Burn2 って何なの? という方も
特に比較的最近セカンドライフを始められた方にはいらっしゃるかも。
先ほどケルパさんと会話していた時も
日本人のコミュニティでは知らない人多いんだよね〜、
なんて仰ってました。
その発言を聞いて、そうか! と気づいたのです。
毎年 Burn2 の情報を発信して来たつもりでしたが、
そもそも Burn2 とは何か、ということについては
あまりちゃんと説明して来なかったかもです。
そこで、今回はその Burn2 とはそもそも何なのか、
ということについて話してみたいと思います。

     *   *   *

僕が Burn2。。。
というか当時 Burning Life と呼ばれていたものを知ったのは、
三淵先生のデジタルハリウッド大学大学院
セカンドライフ研究室監訳の『セカンドライフ公式ガイド』なんです。
2007年に SL の日本語版がリリースされたタイミングで出版された
この頃から参加している日本の住民のみなさんは
大抵お持ちなのでは? というガイドブックです。
どこかでも書いたと思いますが、僕はこの世界に生まれてきてから
最初のころは一人でフラフラと放浪していましたので、
このガイドブックが頼りで隅から隅までよく読みましたよ。^^

そのガイドブックの 303 ページに
「コミュニティの構築:Burning Life」という短い記事があって、
そのまま転載すると次のように書いてあるのです。

「毎年、労働者の日の週末に開かれる有名な Burning Man フェスティバルになぞらえて、リンデンラボが主催している Burning Life は、SL が最も自由な空間になる瞬間です。期間中、何もない未整備のアイランドは、いわば幻覚を共有する場になります。巨大な手のひらと虫めがねの彫刻が空を飛び、人間大の乗って遊べるパックマンが用意され、エドヴァルド・ムンクの「叫び」を 3D で再現した作品が登場します。最初の Burning Life は 2003 年に開催され、年々その規模を増しています。イベントは巨大な木製の人形を燃やしたところで最高潮に達し(図12.7)、開始時と同じくらいすみやかに撤収します。」

この文章を読んでそれが何かイメージできた方は
ここから先の僕の記事を読む必要はないかもです。
その「図12.7」というのが今見ると燃えている人形の前で
踊り狂ってる人たちが写っている写真なのですが、
文章を読んでも写真を見ても、僕は一体どんなイベントなのか
全く想像がつかなかったのですよ。^^;
当時はそもそもバーニングマンのことも知らなかったですからね。
それより何より、
「巨大な手のひらと虫めがねの彫刻が空を飛」ぶ、って一体???
「人間大の乗って遊べるパックマン」???
頭の中は「?」でいっぱいでした。www

ただ、この文章にある「SL が最も自由な空間になる瞬間」
「幻覚を共有する場」というキーワードに最も興味を惹かれました。
「リンデンラボが主催」という言葉と相俟って、
「これは絶対に参加して経験しないといけないイベントだ」
そう感じられたのです。
そしてこの年の9月の終わりに初めて観に行って
とてもディープな体験をすることになったわけなのです。
そして翌 2008 年には観る側ではなく演る側として参加、
それ以来ほぼ毎年参加してきています。
この時このイベントにやはり関心を寄せていたのがナチュさんで、
その時からずっとナチュさんとは一緒に参加・活動してきたわけです。
(その意味でも今年は彼がいないのが淋しい。。。)

     *   *   *

バーニングマンについては、最近ではニュースにもなるので
ご存じの方も結構いらっしゃると思います。
1986年、失恋だったか何だったか正確なことは忘れましたが、
心を病んでいたラリー・ハーヴィーは、
友だちのジェリー・ジェイムズを誘って
サンフランシスコの海岸で木の人形を作って燃やしました。
人形を燃やすことで、心を痛めたきっかけとなった人との関係を
すっきりとさせたかったんでしょうかね。
ところがこの時海岸には他にも人がいて、二人の周りに集まってきて
自然と歌ったり踊ったりし始め、
中には燃える人形に手を差し伸べたりする人まで現れ、
後のバーニングマンのイベントにつながることが
殆ど自然発生的に起こったわけなんです。

そこでラリーとジェリーは翌年以降もこの人形を燃やす行事を
行うようになるのですが、
1989年には当初2.5メートル程度だった人形も12メートルほどに、
イベントに集まる人も300人と増えましたので、
とうとう警察が出動する事態に。
もうサンフランシスコの海岸ではこのイベントを行うことが
できなくなると思われたその時、このイベントをネバダ州の
ブラックロック沙漠で行うことを引き受けてくれた人たちがいて
1990年以降はこのプラヤと呼ばれる干上がった湖の底で
開催されることになったわけです。

ブラックロック沙漠なんて地名はは普通の日本人は知りませんよね。
でも、サンフランシスコのような人口の多いところではなくて、
12メートルの巨大な人形を燃やすなんて危険なイベントをやっても
住民への影響もなさそうな人里離れた僻地だろうということは
大体想像できますよね?

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写真はリンデンの本社があるサンフランシスコからのルートですが、
距離にして約 510 km と言いますから、
東京駅から大阪か神戸辺りまで行く感じでしょうか。
ルート 80 に沿ってサクラメントを抜けて更にその先レノも抜けて
ワズワースの手前あたりでルート 477 に入って、
そこから何にもない谷間を 125 キロくらい進むと
漸くブラックロック沙漠の入口、ガーラックという町に着きます。
グーグルマップで調べると車で約6時間半くらいと出ます。
そんな僻地に8万人近い人が世界から集まって来るというのは
本当にすごいことだと思います。

     *   *   *

1999年に、あるサンフランシスコに住む若者が
このイベントを初めて訪れることになります。
彼がそこで目にしたのは、たくさんの人たちが集まって、
自主的に統制のとれた街を築き、商業主義とは無縁のところで
真に自分たちの創造性を表現し合い、互いに協力し合う姿でした。
この若者はここで目にしたことに強い衝撃を受け、
当時取り組んでいたプロジェクトの方向性を
大きく変えることを決心しました。
この若者こそセカンドライフの創始者フィリップ・ローズデールであり、
彼が取り組んでいたプロジェクトというのが
セカンドライフのアルファ版と呼ばれる
「リンデン・ワールド」だったのです。
こうした経緯から、リンデン・ワールドがスタートした頃は
社員は皆 RL のバーニングマンに参加することになっていたそうです。

しかし、2003年にセカンドライフがスタートすると
リンデンのスタッフも皆忙しくなり、
なかなか1週間もそんな僻地のイベントに参加することが難しくなり、
バーニングマンの主催者に仮想空間でバーニングマンのイベントを
開催してもよいか相談したところ、快諾を得て始まったのが
僕も経験した Burning Life というわけなのです。
つまり Burning Life とは、バーニングマンのイベントを
ただ形だけでなく、その精神を含めて SL 内で実現するもの
ということができます。

こうして Burning Life はリンデン主催のイベントとして
始まったわけなのですが、その間いろいろな事情もあって、
本家バーニングマンがコミュニティ主体で行われているように
SL 版もコミュニティ主体のイベントとして、
また、本件バーニングマンの正式な地域イベントとして
位置づけが変わり、名前も Burn2 と変わったわけなのです。

     *   *   *

名前は変わりましたが、バーニングマンの持つ創造性や自由、自主性、
コミュニティの連帯・連携、商業主義の廃止といった
精神そのものは受け継がれ続けています。
なので、Burn2 に参加する方は、バーニングマンの理念である
「10か条の根本理念」をよく理解することが大事です。
そして、実はこうした理念や精神こそ
創始者のフィリップがセカンドライフという
仮想空間=メタバースをこの世に届けるに当たって
重要視したことなのだと僕は理解しています。
なので、昨今は「メタバース」でお金を儲けることが
やたらと経済ニュースに出てきますけれど、
何故セカンドライフが「失敗した」とか言われながらも
20年も続いていて、今も新しい人たちが参加しているのか、
その最も大きな理由はこの精神にあるのではないかと考えています。
メタバースというものをお金を稼ぐ場と考えるか、
精神を豊かにする場と考えるかの違いと言っていいでしょうか。

その意味で、Burn2 はセカンドライフというものをよりよく知り、
そして自分の創造性をコミュニティの中で磨き、
より豊かな自由と平和と互助の精神に触れる場なのです。
これまでご存じなかった方も、今年は是非参加してみて下さい。
会場でお会いして、共に豊かな経験ができることを願います。^^

※Burn2 の詳しい情報は次の公式ホームページをどうぞ。

今年 2022年のイベントに関する情報はこちらから。

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