2024年2月10日土曜日

【RL】 R.I.P. 小澤征爾さんのこと

指揮者の小澤征爾さんが亡くなられた。
ここ数年はあまり体調が優れないようにお見受けしていたが、
もう小澤さんが指揮する姿を見られなくなるのは残念なことだ。
それは、小澤さんは世界的に有名な指揮者の中でも
僕にとってはヒーローだったからだ。
実は、つい最近あることがあって急に思い出し、
武満徹さんの「カトレーン」と「鳥は星の庭に降りる」を
タッシやボストン響を指揮して収めたCD を買って
ここ数日聴いていたばかりなのだ。

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僕が小澤さんのことを知ったのは中学1年生の冬だったと思う。
冬休みに入る前の音楽の授業で、先生は夏休みや冬休みには
クラシックの曲の鑑賞文の宿題を出すのだが、
この時は宿題の曲を指定したのだ。

「皆さんにはこの冬休みに是非聴いてほしい曲があります。
 ベートーヴェンの『第九交響曲』です。
 テレビやラジオでたくさん流れると思うので
 是非聴いてみて下さい。」

その場で先生が紹介したのか、それとも
自分で新聞のテレビ欄をチェックしていて見つけたのか忘れたが、
小澤征爾さんが手勢の新日本フィルを率いて演奏する
『第九』の演奏会と、そのゲネプロの様子を追いかけた
ドキュメンタリーの2部構成の番組があったのだ。

演奏会は、この時初めて第九を聴いてとても感動したのだが、
面白かったのはドキュメンタリーの部分で、
指揮者というと何だかとっても偉い人のような感じなのに、
インタビューを見ているととても気さくな感じの喋りで、
ゲネプロでは全身を震って指揮するその情熱的な姿に魅せられた。
第1楽章の再現部の手前、全ての楽器が力強く雪崩れ込んで来る、
その部分を思い切り棒を振りながら自ら歌うのだ。

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この時の小澤さんの声は今でも僕の耳には聞こえるようだ。

凄い人だと思った。そして面白い人だと思った。
それから小澤さんが出て来るテレビ番組は
必ずチェックするようになったのだ。

今僕の iPhone に入っている小澤さんの指揮になる音楽は、
最初に書いた武満徹さんのものやメシアンのもの、
それからレスピーギのものなどがあるが、
案外面白いと思っているのが小澤さんがナレーションをしている
「ピーターと狼」、「動物の謝肉祭」、
そして「青少年のための管弦楽入門」を収めた CD だ。
小澤さんが指揮している管弦楽曲は普通に聴くけれども、
声が入っているものは貴重だと思う。
それも、あの気さくな語り口で、とても親しみがあっていいのだ。

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これら3つの曲は何れもオーケストラの楽器紹介のためのもので、
ベンジャミン・ブリテンの「青少年のための管弦楽入門」は
LP 時代はマルケヴィッチの指揮、栗原小巻さんのナレーションで
聴いていましたが、小澤さんのは出だしからちょっと面白い。

「オーケストラの演奏を生で聴いたことがあるかな?
 もう何回も聴いたことがある、っていう人もいるだろうし、
 オレはまだ一度も聴いたことがない、なんていう人もいるかもね。
 ラジオやレコードで聴くのも勿論いいんだけども、
 生のコンサートで聴くと、
 オーケストラにはいろんな楽器があるってことがわかって
 なかなか面白いんだよ。

 じゃあこれからオーケストラにはどんな楽器があるのかを
 わかりやすく紹介した曲を聴いて下さい。
 イギリスのベンジャミン・ブリッテンという人が書いた
 『青少年のための管弦楽入門』、難しい名前だけども、
 まぁ、要するに
 君たちのためにオーケストラをご案内しましょう!
 という曲です。」

何だか楽しいことが始まる感じがしませんか?
この CD に入っている曲は何れも入門向けの曲で
管弦楽法とか勉強している自分には今更の内容だけれども、
この小澤さんの喋りが好きで何度も聴き返しています。

そう、きっと小澤さんが指揮した音楽の CD は
きっとこれからもずっと聴き続けていくことでしょう。
素晴らしい音楽の贈り物をありがとうございます。
今はただご冥福をお祈りします。

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