2025年6月29日日曜日

【SL22B】 ヒロシの SL22B ライブ訳詩集

さて、今年の僕の SLB ライブは終わったわけですが、
今回のライブの歌ものはシュメール語あり、古ノルド語ありと
まぁ、皆さんには耳慣れない言語に溢れていましたので、
ご参考までに歌っていた内容の日本語訳をお届けします。
どちらかと言うと、僕がこれらの日本語訳に接して
素晴らしい表現の数々だと感銘を受け、
原語に曲を付けたものとなっているわけですが。

それではまず2曲目『リグ・ヴェーダ』から「宇宙開闢の歌」、
全部で7節ある詩から1、2、6、7節に作曲しています。
次の訳は、岩波文庫に入っている辻直四郎さんのものです。

   宇宙開闢の歌

そのとき(太初において)無もなかりき、有もなかりき。
空界もなかりき、その上の天もなかりき。
何ものか発動せし、いずこに、誰かの庇護の下(もと)に。
深くして測るべからざる水は存在せりや。
 
そのとき、死もなかりき、不死もなかりき。
夜と昼との標識(日月・星辰)もなかりき。
かの唯一物(中性の根本原理)は、自力により風なく呼吸せり(生存の徴候)。
これよりほかに何ものも存在せざりき。

誰か正しく知る者ぞ、誰かここに宣言しうる者ぞ。
この創造(現象界の出現)はいずこより生じ、いずこより来たれる。
神々はこの世界の創造より後なり。
しからば誰が創造のいずこより起こりしかを知る者ぞ。
 
この創造はいずこより起こりしや、そは誰によりて実行せられたりや、
あるいはまたしからざりしや——
最高天にありてこの世界を監視する者のみ実にこれを知る。
あるいは彼もまた知らず。


続いては5曲目「人間の創造」。
こちらはちくま学芸文庫に入っている
『シュメール神話集成』からで
杉勇さん、尾崎亨さんの訳になります。

   人間の創造

そなたたちは(さらに)いったい何を変革するのか。
そなたたちはいったい何を創ろうというのか。
偉大な神アヌンナキたちよ、
そなたたちはいったい何を変革しようというのかね。
何を創るのかね。」
そこに居る大神、
運命を定める神々アヌンナキたち、

作曲したのはこの部分ですが、このあと更に

そのうちの二人がエンリルに答えていう
 「『天地の紐」にあるウズムアにおいて
あなた方は二人のラムガ神を殺して、
彼らの血でもって人間を造るのです。
(今まで) 神々が(になってきた)仕事は(今や) 彼ら(人間)の仕事でありますように。 

と続き、アヌンナキと呼ばれた神々を仕事をさせるために
人間を創ったことが描かれています。

続いては6曲目「ユグドラシル」は、
これもちくま文庫の『エッダ・グレティルのサガ』所収の
「巫女の予言」からの抜粋で、松谷健二さんの訳になります。

   巫女の予言

とねりこユグドラシルがそびえるのが、私には見える。かがやく霧につつまれ、天をつく樹が。谷間に降る霧はここに生まれ、常緑の樹はウルドの泉のほとりに立つ。

これはおわかりか、次には何を知りたいか。

初めてこれを読んだ時、
「これはおわかりか、次には何を知りたいか」という
不思議なリフレインがおもしろかったのを覚えています。
今回この不思議な感じを出すのに半音階で表現してみました。
お気づきになった方もいらっしゃると思いますが、
「これはおわかりか」以外の部分は
これもバッハの『平均律』から第24番のフーガを引用しています。

最後に日本代表として『ホツマツタヱ』から「アワの歌」です。
MC でもお伝えしましたが、日本語では「ア」は天を意味し、
「ワ」は大地を意味します。
「ア」に始まり「ワ」で終わるという五十音の一つ一つが
この宇宙、生命のあらゆる現象を表現しており、
「アワの歌」を歌うことで身も心も整うというのが
『ホツマツタヱ』の教えなのです。

   アワの歌

アカハナマ イキヒニミウク
フヌムエケ ヘネメオコホノ

モトロソヨ ヲテレセヱツル
スユンチリ シヰタラサヤワ

アウワ

最後の「アウワ」は『フトマニ』という占いの書に書かれた
「モトアケの図」の中心に書かれた3つの音です。
この3つの音が宇宙の中心を表すわけですが、
これ、何となく「ア・ウ・ム」の3つの音が
同じく宇宙の中心を表す古代インドの思想に通じるものがあると
僕は感じています。

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