バーンスタインの「答えのない質問」の講演を思い出したのも、
やはり小澤征爾さんと関係がある。
小澤さんの CD について書いている時に、
僕は吉田秀和さんの『LP 300選』を元に聴いていることに触れ、
その本の中で吉田さんが薦めている小澤さんのディスクを
書き並べたのだが、その時1つ書き漏らしたものがあることに
あとで気づいたのです。
それは、吉田さんが「追記」として、
アメリカの音楽家で挙げておかなければならなかったと書いている
チャールズ・アイヴスのディスクなのです。
これに気づいてこの本で挙げられている
ティルソン・トーマスが『イングランドの3つの物語』を
小澤さんが『交響曲第4番』を指揮しているディスクを買って
それを聴きながら、何か忘れている感じがずっとあったのです。
アイヴス、、、アイヴス、、、何かもっと有名な、
気になる曲があったような。。。
そして思い出したのがアイヴス1908年の作品
「答えのない質問」だったのです。
実は、この曲は僕にはずっと謎の曲でした。
というのは、この曲に初めて出会ったのはオーケストラでなく、
冨田勲さんのアルバム『宇宙幻想』にシンセアレンジで
入っているのを聴いたのが初めてだったのです。
このアルバムには「ツァラトゥストラかく語りき」やら
「アランフエス協奏曲」やら、はたまた「パシフィック231」やら
僕好みの曲がいろいろ入っているのですが、
その中でこのアイヴスの曲だけが聞いたことがなかった。
正直、印象は薄いんだけれど、何とも不思議な響きの曲、
そんな風に思っていたのです。
この曲を突然思い出し、そしてバーンスタインの講演のタイトルを
思い出して、バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルの CD と
この曲の楽譜を手に入れたわけなんですが、
その楽譜にアイヴス自身はこんな解説を書いているではないですか。
「常に弱音器を付けて演奏される弦の響きは
『何も知らず、何も見ず、何も聞こえない』ドルイドを表現」
「トランペットは存在についての長年の質問を繰り返す」
何と哲学的なモチーフなのでしょう!
「何も知らず、何も見ず、何も聞こえない」って
ガリアのドルイド僧よりは、日本の三猿を思い出させますよね。
前にも書いた通り、バーンスタインがこのアイヴスの曲のタイトルで
講演を行ったことは知っていたので、
そうであれば、どんな講演を行ったのか、
無性に知りたくなったわけなのです。
同時に、この曲に僕自身で取り組んでみたくなったのです。
* * *
はい、というわけで、アイヴスの「答えのない質問」は、
今度の Burn2 で演奏する予定にしています。
今日のところはこの辺で。^^;
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