2024年6月30日日曜日

【SL21B】 昨晩の SL21B ライブありがとうございました!

昨晩 6月29日(土)22:00 から SL21B の会場で行われた
僕のライブにご来場頂いた皆様、ありがとうございました!
殆ど告知できていないにも拘わらず、たくさんの方々にお越し頂き、
嬉しく、またありがたく感じております。
恐らく前のステージからの流れでいらした海外の方々も
初めて僕のライブを見る皆さんにも喜んで頂けたようで何よりです。

今回は「五行組曲」ということで、テーマの "Elements" に基づき
中国の Elements 思想である五行、即ち木・火・土・金・水を
音楽で表現するという試みでした。
「五行」と敢えて言うと難しいように思われますが、
私たち日本人の慣習や行動様式の中に根付いていて、
まずカレンダーの1週間がそうですし、
例えば今年の干支は「きのえたつ」と言いますが、
これは漢字で書くと「木の兄辰」で、
十二支にこの五行の木・火・土・金・水が
「兄(え)」と「弟(と)」の2つずつ組み合わさることで
60年で一つの周期を成すようになっているわけです。
そう、正にこれは周期で、この順番は、
木は火を、火は土を生み出し、最後に水がまた木を生み出すことで
永遠に循環するようになっているのです。

さて、その五行をテーマにした「五行組曲」ですが、
冒頭に宇宙の始まりビッグバンを置きました。
そして今の宇宙の原型は3分46秒で出来たということなので
曲の長さもそれに合わせて3分46秒にしてあります。w
これはスティーヴン・ワインバーグの名著
『宇宙創成はじめの3分間』からのインスピレーションで、
最初は実際に宇宙が出来上がった時間に合わせて曲を作ろうか
とも思ったのですが、ワインバーグさん書かれている通り
「ふつうの映画のように等しい時間間隔で情景を示」すことは
できないのです。
即ち、宇宙創成は次のような6つのフレームで進んだのですが……

第1フレーム:0.01秒後
第2フレーム:0.11秒後
第3フレーム:1.09秒後
第4フレーム:13.82秒後
第5フレーム:3分2秒〜3分46秒:原子核の形成
第6フレーム:30分40秒後から70万年後:宇宙の膨張

この時間に合わせて音楽の作るのはムリです。www
なので自由なイメージで3分46秒の曲に仕上げました。
爆発の音がする直前「ピ・ポ・パ・ポ・ピ・ポ・パ・ポ」と
ヘンなオッサンのような声が聞こえるのは勿論、
僕のシンセサイザー音楽の原点、冨田勲さんへのオマージュです。

その他、木は上へ上へと垂直に伸びていくのと同時に
横へ横へと水平にも広がっていくイメージ、
火は太鼓の連打、土はティンパニ、金はガムランで表現し、
水は結局ピアノで表現することにしました。
そして最後に木が戻って来るところはオルガンで、という構成です。

それにしても昨晩は2回も落ちてホント申し訳なかったです。
1回目は、何とも SL の動きが変でした。
1曲目始まって、楽器に「座った」ところで、
楽器をタッチするとどのスタイルで演奏するか
アニメをコントロールするダイアログが出るのですが、
そこにあるボタンの1つをクリックした瞬間、
何故か前回ログアウトした場所にテレポした上で落ちたのです。
(ヒロコもマイクの操作をしようとして落ちたと言ってました。)
で、リログしたら今度は動けない。
何と、楽器に座っている状態が続いているのです。
最終的にはステージ脇の草地にもう一度テレポすることで
何とか解消しました。
ケルパさんもコマンドが通らないことがあると仰っていたので
1週間イベントをやってきて、
SIM の状態がかなり重くなっていたのではないかと想像します。
Burn2 のようにリスタートする時間も設けてないようですし。

まぁ、そんなこんなありましたが、会場の皆さんや
演出のケルパさん、中継のしんさんに支えられて
無事ライブを終えることができました。
ここで改めて皆さんに御礼申し上げます。
ありがとうございました。

昨晩いらっしゃれなかった皆さんには
しんさんが中継した動画が未編集の状態で暫くの間は
見ることができるようですので、是非ご覧になって下さい。
(私自身は怖くてまだ見てないのですけれど。w)

■Hiroshi Kumaki Live at SL21B「五行組曲」
・日時:2024年6月29日(土)22:00〜23:00
・会場:SL21B Stonehold Stage
・演出:Kerupa Flow
・YouTube中継:Sin Nagy (Hole Shot Live)


<セットリスト>
1. Happy Birthday Second Life (w/Hiroko Sweetwater)
2. Suite: Wuxing (Five Elements)
  a) Big Bang: First Three Minutes
  b) Wood
  c) Fire
  d) Earth
  e) Metal
  f) Water
  g) Wood (Reprise)
3. ONE (w/Hiroko Sweetwater)

2024年6月29日土曜日

【SL21B】 いよいよ今晩22:00〜ヒロシの SL21B ライブです!

ああぁぁ〜〜っと言う間に当日になりました。
はい、今晩22:00より僕の SL21B ライブです。
今年の SLB のテーマ "Elements" に合わせて、
シンセサイザーの即興演奏による「五行組曲」というのをやります。
まだバックで流すトラックが完全には出来上がってないのですが
時間までには何とかなるでしょう。

今年の SLB は PBR、
つまり新しい物理モデルによるレンダリングを
広くお披露目する場でもあるようで、Firestorm ビューワーも
これに対応したバージョンを出して来ましたが、
まだあまり安定していないような話も聞きますので
自分は今日のところは安全をとって旧バージョンで臨みます。

ステージ演出はいつものようにケルパさんにお願いしています。
そして、今日はしんさんによる YouTube の中継もあります。
いろいろなご事情で会場にいらっしゃれない方は、
是非 YouTube の方でお楽しみ下さい。

本番まであと12時間。
今日この場でしか見ることのできないショーになりますので
是非お友だちとお誘い合わせてお越し下さい。
会場でお待ちしています!

■Hiroshi Kumaki Live at SL21B「五行組曲」
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・日時:2024年6月29日(土)22:00〜23:00
・会場:SL21B Stonehold Stage
    ※ポスターの表記と異なりますが、こちらの方が近いです。
・演出:Kerupa Flow
・YouTube中継:Sin Nagy (Hole Shot Live)

2024年6月26日水曜日

【SL21B】 SL21B 始まりました!〜そしてヒロシのライブは今週末、6/29(土)22:00からです!

いやぁ、出遅れました。
セカンドライフ21歳の誕生日イベント SL21B が
先週末6月21日(金)から始まっていたんですけどね。
この週末はあちこちに移動でメチャメチャ忙しかった!
で、もう皆さん既にあちこち見て回ったり
ライブや DJ パーティーを楽しんでいらっしゃるとは思いますが、
例年のことですので、遅まきながらこの日記に書きます。

まぁ、知り合いのイベントに参加されるのでしたら、
直接会場に行ってもよいようなものですが、
やっぱりこういうお祭りの場合は入場ゲートというか
そういうところから入ってあちこちブラブラ見物したいもの。
というわけで、今年の Welcome Area はこちらになります。

■Welcome Area

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んー、何かイメージ的には昨年と変わらないような気もしますが、
今年はピラミッドみたいなケージになっていますね。
そして、メイン会場へは長〜いアプローチがあるのは前回同様。

んで、イベントが行われるステージは4箇所あります。
そう、西洋の「四大元素」に因んで、土、水、空気、火のイメージの
ステージになっているわけです。

■SL21B Stonehold - Earth Stage

土=大地のイメージのステージは僕が今週末ライブをやるところです。
元々僕が SL で音楽活動を始めた時、最初にやった曲が
「DAICHI」でしたからね、原点回帰的にこのステージでやります。

■SL21B Firestone Keep - Fire Stage

■SL21B Aquatorium - Water Stage

■SL21B Nimbus - Air Stage

そして、このだだっ広い会場、どこから見ていいか分からない、
という方には、何と言ってもポッド・ツアーがお勧めです。
会場内いろんなところに連れていってくれますので、
気に入ったところで途中下車してみるのもよし。

■Pod Tour Station

あと、折角のお祭りなんだからフリーのギフトはないの?
という方には、はい、ギフトエリアもちゃんとありますよ?

■SL21B Gift Area

そして、あまり知られてないんだけど、
僕が毎年楽しみにしているのが、過去の SLB の歴史を見られる
Tapestry of Time なんです。
以前は Time Machine と呼ばれていましたね。
そうそう、あの時こういうのあった! と懐かしい思い出が
蘇って来る場所です。

■SL21B Tapestry of Time

そんな SL 21回目の誕生日ですが、僕のライブは6月29日(土)、
今週の土曜日、日本時間の22:00 からになります。
今年のテーマ "Elements" に合わせて、
東洋人である僕は「四大元素」ではなく、中国由来で
日本人の生活にも深く根ざしている「五行」をテーマに
シンセサイザーの組曲を演奏する予定です。
例によってケルパさん、しんさんに手伝ってもらいますが、
この場限りの、2度とやらない企画になると思いますので、
是非カレンダーに印を付けて、お友だちとお誘い合わせて
遊びに来て下さい。
会場でお待ちしています!

■Hiroshi Kumaki Live at SL21B "Suite: Wuxing"
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・日時:2024年6月29日(土)22:00〜23:00
・会場:SL21B Stonehold Stage
・演出:Kerupa Flow
・撮影:Sin Nagy

2024年6月8日土曜日

【ライブ】 SL21B・ヒロシの出演は6月29日(土)22:00 Earth ステージで決定!

大変ご無沙汰しております。
永い永い冬眠から漸く目を覚ましたクマであります。
流石に6月ともなると暑くて暑くて寝ていられません。
そして、そう! 6月と言えば我等が SL の誕生月でございます。
というわけで、SL 21歳の誕生日イベント SL21B に向けて
このお祭りには参加せねばとムックリ起き上がったクマなのです。

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今年の SLB は6月21日(金)〜7月21日(日)の開催ですが、
公式ステージでの音楽イベントは最初の10日間だけ、
Earth, Air, Fire といういかにも西洋の四代元素を意識した
3つのステージで行われます。(何故4番目の Water がない?w)
このうち Fire は何でもアリの Adult エリアとなっています。

そこで! ヒロシのライブは、
6月29日(土)22:00 Earth ステージと決まりました!
イエ〜〜〜イ!
例年通り今年もケルパさんとしんさんに手伝って頂く予定で、
SL21B のテーマ "Elements" を意識した組曲をと考えています。
果たしてどんな音楽になるのか、
今の時点では自分自身でも全く分かっていませんが、
このイベントでしか聞けない貴重なものになるはずですので、
是非、カレンダーに印を付けて、
当日はお友だちをお誘い合わせてお越し下さい。
会場でお待ちしています!

■Hiroshi Kumaki SL21B ライブ
・日時:2024年6月29日(土)22:00〜23:00
・会場:SL21B Earth Stage

2024年6月2日日曜日

【RL】 ノストラダムスの予言について

『聖書』に預言書と呼ばれるものがある。
最も有名なものは三大預言書、即ち「イザヤ書」、
「エレミヤ書」、そして「エゼキエル書」であり、
その他に十二小預言書と呼ばれる一群の短いものもある。
特に「エレミヤ書」や「エゼキエル書」は、
超自然的な記述がある点も魅力だが、
結局のところ歴史はこの預言者たちが言った通りに動いて行った、
という点に凄まじいものを覚えないではいられない。

そしてこれら『聖書』の預言者たちよりも日本で有名な予言者は
勿論ノストラダムスである。
これは亡くなられた五島勉さんが1973年に出した
『ノストラダムスの大予言』がブームになったことが大きい。
曰く、1999年7月に人類は滅亡するというのだ。

「一九九九の年、七の月
 空から恐怖の大王が降ってくる
 アンゴルモワの大王を復活させるために
 その前後の期間、マルスは幸福の名のもとに支配に乗りだすだろう」

この頃既に生まれていた僕はこの話に大変興味を持った。
同じ1973年に小松左京さんの SF『日本沈没』も出版され、
同じ年に映画化、翌1974年にテレビドラマ化された。
1975年には NHK で「なぞの転校生」が放送された、
そういう時代である。
当時はスモッグなどの公害問題がテレビのニュースで流れ
ーーそう言えば1971年には公害問題をテーマにしたヒーローものの
「スペクトルマン」もテレビで放映されていたーー、
1973年にはオイルショック、1974年の狂乱物価と、
1970年の大阪万博のテーマは「進歩と調和」であったが、
世の中には何とも言えない不安が取り巻いていた時代であった。
そんな時代に、遠くない将来人類が滅亡する、というメッセージは
多くの人の心に刺さったと言える。

1999年は疾に過ぎたが、そもそも五島さんは正確には
当時どのように書いていたのか、子供の頃読んだ筈だが、
フランス語原典を簡単に読めるようになった今、
改めて読み直してみてわかったことがあるので備忘も兼ねて
ここにまとめておくことにする。

     *   *   *

原典を読んでわかったことは、ノストラダムスは
イザヤ、エレミヤ、エゼキエルといった聖書の預言者とは
タイプが違うということだ。
かれは天文学や西洋占星術の大家であって、
「暦」を発行していた人なのだ。
つまり、ニュートン力学的な天文学の世界では
何年後にどの星がどの位置にあるということを正確に予測できる。
だから暦を発行していたわけだし、その延長で何年も先のことを
予測できたというわけなのだ。

それをまとめたのが『ミシェル・ノストラダムス師の予言集』で、
4行の詩を100篇ずつ集めたものを、10巻に著した書物であるが、
その形式から  "Les Centuries" と呼ばれることがあり、
"century" という英語が今では「世紀」を表すので、
五島さんの本では『諸世紀』と訳されていたが、
この語は元々 "cent" =「100」から来ている言葉で、
ここでは詩が100篇集められているからの命名なので
現在の日本語では『詩百篇』などと言っているようである。
以下、元のタイトルを生かして『予言集』と呼ぶことにする。

さてその『予言集』の冒頭に、息子のセザールに宛てた手紙が
序文として掲載されているが、その冒頭でこの書の内容は
天文学によってもたらされたことが書かれている。
従ってこの書の内容を読み解くには天文学や西洋占星術の知識が、
そして古いフランス語やラテン語の知識が必須となるのであるが、
どうも五島さんはその辺りの検証はせずに、
恐らく誰かの英訳を読んで解釈していたように思われる。
これは天体が絡む詩で顕著である。

第2巻第48篇
La grand copie qui passera les monts.  
Saturne en l'Arq tournant du poisson Mars:  
Venins cachez soubs testes de saumons,  
Leurs chief pendu à fil de polemars.

五島訳では、

「巨大な軍隊は山を越えて引きあげるだろう
 マルスの代わりにサチュルヌが魚たちを裏がえす
 シャケの頭にも毒がかくされるようになる
 だが彼らの大物は極地で輪のなかにくくられるだろう」

となっていて、「サチュルヌ」を「鉛」と解釈し、
鉛の毒で魚が汚染される予言だとしている。
が、天文学や西洋占星術を考慮してそのまま訳すと
次のようになろうかと思う。

「大きな軍隊が山々を越えて行く
 土星が射手座にあり、火星は魚座で逆行する
 毒が鮭の頭の下に隠される
 その頭は荷造り紐で吊される」

4行目の "Leurs chief”ーー「彼らの頭」とは、
「軍隊の頭」=「指導者」のことなのか
複数形になっている「鮭」の頭のことなのか不明であるが、
前者で訳す方が自然であるように思われる。
僕は寧ろ、「鮭」の原語 "saumon" には "psaume",
即ち『聖書』の「詩篇」の含みがあるように思われる。

この公害的な解釈に関連して、次のものを挙げておく。

第1巻第19篇
Lors que serpens viendront circuer l'arc,  
Le sang Troyen vexé par les Espaignes:  
Par eux grand nombre en sera faicte tarc,  
Chef fruict, caché aux marcs dans les saignes. 

五島さんは2行しか訳を載せていないが、

「蛇どもが空をおおってくる
 それによって無数の人びとが死ぬ」

として、

「あきらかに航空機の無法な爆撃を暗示していると見られる一篇」

と述べておられる。が、明らかではないだろう。w
僕には最初占星術的に "serpens" は蛇座に
"l'arc" は射手座に見えたのだが、実際に射手座とへび座は隣にいる。
が、この "l'arc" は "l'are" 即ち「祭壇」の誤植らしく、
従って全体の意味としては、

「蛇の群れが現れ祭壇を囲む時
 トロイアの血を受け継ぐ者たちはスペイン人に悩まされ
 彼らによってその数は激減する
 指導者は逃げ、葦茂る沼地に隠される」

「トロイアの地を受け継ぐ者」とはフランス人のことである。
そしてフランス人とスペイン人の間での戦いとなれば
仏西戦争というのが思い出されるが、
その前にも両者の間には何度か戦いがあり、
フランスが散々な負けを喫しているものがある。
航空機とは何の関係もない詩と言えるだろう。

また、

第2巻第75篇
La voix ouye de l'insolit oyseau,  
Sur le canon du respiral estage:  
Si haut viendra du froment le boisteau  
Que l'homme d'homme sera Antropophage.

「人が望まない奇怪な鳥の音が聞かれる
 もっとも重複した大砲の上に
 小麦の値段ははね上がり
 人間が人間を食う時代が訪れるだろう」

1行目の「奇怪な鳥」を軍用機か SST(超音速機)、
或いはロケット戦争、
2行目の「もっとも重複した大砲」という日本語は
意味がわからないが、これを多弾頭式ミサイルとしているが、
原文を割と普通に訳すと

「見たこともないびっくりするような鳥の鳴き声が聞こえる
 垂直に立つ換気用の煙突の上にそれはいる
 1ブッシェルの小麦の値段が高騰し
 人が人の肉を食べるようになる」

鳥が煙突の上にいるのは不吉な前兆だそうで、
それもただの鳥ではないものが現れ、飢饉が起こるということか。
次のものも、五島さんの訳では意味不明。

第9巻第44篇
Migrés, migrés de Geneue trestous.  
Saturne d'or en fer se changera,  
Le contre FAYPOZ exterminera tous,  
Auant l'aduent le ciel signes fera.

五島さんの訳では、

「逃げよ、逃げよ、すべてのジュネーブから逃げだせ
 黄金のサチュルヌは鉄に変わるだろう
 巨大な光の反対のものがすべてを絶滅する
 その前に大いなる空は前兆を示すだろうけれども」

「すべてのジュネーブ」とは「世界の有名都市」のことであるとし、
「光の反対のもの」とは、
「太陽を完全にさえぎる超光化学スモッグのすさまじい雲」
としてるが、これは読み違え。
「すべての」の原語 "tretous" は「皆さん」と呼びかけの語、
"Le contre RAYPOZ" とは "RAYPOZ" の反対、
即ち "ZOPYAR" を表し、ほぼこれと同じ語 "Zopyra" を
銘にしていたというスペインのフェリペ2世を表す、
というのが現在では一般的な理解かと思われる。
わざわざ大文字にしてますからね。

「逃げよ、ジュネーヴから去れ、全ての人よ
 サトゥルヌスの黄金の治世は鉄の時代へと変わる
 RAYPOZ を逆から読んだものが全てを滅ぼすだろう
 降誕節の前に天はそのしるしを示す」

といったところで、ジュネーヴのカルヴァン派が衰退し、
フェリペ2世がそこに攻め入って駆逐することを表したものらしい。

五島さんの解釈があまりにも現代に引き付け過ぎているので
ちょっと長くなったけれども、
さて、話を天文学、占星術絡みに戻すと、
次のものは五島さんの訳を読んで、原文が浮かんだものだ。

「日がタウルスの第二十番目に来るとき、大地は激しく揺らぐ
 その巨大な劇場は一瞬に廃虚となるだろう
 大気も空も地も暗く濁り
 不信心な者たちは神や聖者の名を必死に唱えるにちがいない」

原文は次の通りで、

第9巻第83篇
Sol vingt de Taurus si fort de terre trembler,  
Le grand theatre remply ruinera:  
L'air, ciel & terre obscurcir & troubler,  
Lors l'infidelle Dieu & saincts voguera.

占星術的に訳せば次のようになる。

「太陽が牡牛座の20度にある時大地が強く揺れる
 満員の大劇場は崩壊する
 大気と空と大地は黒く濁り
 時にこれまで信じなかった者たちも神と聖人に祈るだろう」

「タウルスの第二十番目とはなんじゃ〜」と思ったのだが、
五島さんはこれを牡牛座の20日目と解釈、
その番号を合わせて1983年5月10日としているが、
その考え方自体は結果的に合っている。
次が1983年5月10日のホロスコープで、太陽は牡牛座の19度にいる。

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ノストラダムスの予言をややこしくしているのは、
この世界が紀元前5200年に始まり、
土星、金星、木星、水星、火星、月、太陽の7つの天体が
それぞれ354年と4ヶ月の周期でこの世界を支配するという
考え方を下敷きにしている点だ。
354年と4ヶ月とは何とも中途半端な数に見えるが、
これは太陰暦の1年をベースに考えられたもので、
太陰暦の1年は354日であるが、そうすると太陽暦の365日と
だんだんズレが生じてくるので、大体3年に一度
閏月というものを設けて1年を13ヶ月とする。
これを考慮すると1年は354.3333...日となり、
その1年と同じ数の年数を重ねると354年4ヶ月となるのだ。

これを踏まえたのが次の詩で、

第1巻第48篇
Vingt ans du regne de la Lune passez,  
Sept mil ans autre tiendra sa monarchie:  
Quand le Soleil prendra ses iours lassez:  
Lors accomplir & mine ma prophetie. 

五島さんはこれを次のように訳していて、

「月の支配の二十年間は過ぎ去った
 七千年には、別のものがその王国をきずくだろう
 太陽はそのとき日々の運行をやめ
 そこでわたしの予言もすべて終わりになるのだ」

月は滅び行くものの象徴で、人間はあと二十数年で滅びる
といったように解釈しているようだが、
この紀元前5200年を起点とする考え方では
3回目の月の支配が始まるのが1535年であり、
ノストラダムスが『予言集』をまとめている1555年は、
正に月の支配の20年が過ぎた年なのである。
従って、僕の訳では、

「月の支配が始まって20年が過ぎた
 7千年を超えるまでその王国は続くだろう
 太陽が残された日々を受け取る時
 私の予言は成就し、終わる」

月の支配が終わり、3回目の太陽の支配が始まるのは
7086年目の8の月からで、西暦1887年に当たる。
そこから2行目が導かれるわけで、
月の支配は7000年を越えるまで続くわけである。
西暦7000年に人類が滅亡したり
人類とは別の生き物が支配することを言っているわけではない。
尚、「別のもの」は原文 "autre" から来ているのだろうが、
この言葉はどちらかというと「7000年」にかかっているように
僕には思われる。

因みに、「太陽が残された日々を受け取る時」とは
太陽の支配が終わる時、と考えると
それは西暦2242年に当たり、これこそ世界の終わりと
考える人たちがいるが、このことはまた最後に触れる。

さて、これは五島さんに限らないが、
次の詩はヒトラーの台頭を予言したものとしてよく引用される。

第2巻第24篇
Bestes farouches de faim fleuues tranner;  
Plus part du champ encontre Hister sera,  
En cage de fer le grand fera treisner,  
Quand rien enfant de Germain obseruera.

2行目の "Hister" が "Hitler" を400年前に予言しているというのだ。
五島さんの訳では、

「飢えた残虐なけものどもが、川のなかでもがく
 多くの兵営はイスターにそむき
 鉄のカゴのなかでその大いなる奴はウロウロするだろう
 ゲルマンの子は何も認めようとはしなくなる」

となっているが、 "Hister" とはラテン語でドナウ川下流のことだ。
更に、"Germain" は勿論「ゲルマン」や「ドイツ」の意味はあるが、
普通にフランス語では「兄弟」を意味する言葉でもある。
どちらかというと、20世紀ではなく、
ドナウ川下流からハンガリーやオーストリアを襲った
スレイマン大帝率いるオスマン帝国のことではなかろうか。
4行目の "rien" は文字通りには英語の "nothing" に当たる語だが、
どうも初版では "rin"、即ち「ライン川」になっていたらしい。
となると、

「野獣どもが空腹に駆られて川を泳いで渡る
 軍隊の大部分はドナウ川に向かって対峙する
 鉄の檻の中に偉大なる者が閉じ込められる
 兄弟の国の子たちがライン川を見守っている時に」

兄弟、即ちドイツがライン川の向こうに見守っているのは
勿論長い間敵対しているフランスのことであろう。

う〜む。
今読み直してみると五島さんの解釈があまりに突飛すぎるので、
ついついあれもこれも伝えたいと長くなってしまった。
最後に皆さんが興味あるであろう
問題の「一九九九の年、七の月」の詩を見てみよう。

第10巻第72篇
L'an mil neuf cens nonante neuf sept mois,  
Du ciel viendra vn grand Roy d'effrayeur:  
Resusciter le grand Roy d'Angolmois,  
Auant apres Mars regner par bon-heur. 

先の、紀元前5200年を天地創造とする世界観を踏まえれば
この詩の謎は解ける。
また、息子セザールに宛てた序文では、
ノストラダムスは自分たちは第7の千年紀にいると書きつつ、
彼の『予言書』は3797年までの予言だとも書いている。
更に僕の見るところ、「年」を表すのに "an" と "annee" の
2つの言葉を使い分けているように思える。
即ち、前者が一般的な「年」で後者が特定の年のように。
そう考えると、1999の年とは西暦1999年ではなく、
次の2千年紀が終わる前の年のことではないか?
次の2千年紀とは即ち第9の千年紀のことで、
もうその次は1万年紀に入ってしまう。
そう、第9の千年紀でこの世は終わり、と
ノストラダムスは考えたのではなかったか。

それでは、第10の千年紀が始まるのはいつか?
それは西暦3800年である。
1999年の7の月とはその4ヶ月前を指し、
序文にある3797年とはその3年前のことではないか?
そうすると辻褄が合ってくる。
僕の解釈では、この詩は、

「1999年の7番目の月に
 失われたものを立て替える偉大な王が空から現れる
 アングレームの偉大な王を蘇らせるために
 その前後に運良く火星が支配する」

そう、西暦3800年は火星が支配する時代に当たる。
「恐怖の大王」と訳されていた "vn grand Roy d'effrayeur" だが、
最後の単語は "deffraieur"、即ち、失われた費用などを
立て替えてくれる人を意味する単語で解釈する方が自然だ。
そして「アンゴルモワ」、もしかして「モンゴリア」か?
と言われていた "Angolmois" はアングームア、
即ち、ヴァロア朝アングレーム家の出身の地のことであろう。

ノストラダムスの時代の王は正にこのアングレーム家であり、
その衰退は既に目に見えていた。
この詩は、西暦3799年の7の月にそのアングレーム王家を
再興してくれる新たな王が現れることを表しているように思える。
しかし、世界は3800年に終わるのだ。
つまり、アングレーム王家の復活はもうあり得ないということを
ノストラダムスは遠回しに表現したのではないだろうか。

ノストラダムスは十六世紀とか二十世紀とか
そういう短い単位ではなく、千年単位で世界を見ていたのだ。
この詩は確かに世界の終わりを表したものではある。
しかしそれはまだ1800年近い未来のことなのだろう。

2024年5月12日日曜日

【イベント】 SL の誕生祭、SL21B は6/21(金)〜7/21(日)開催です!

さて、このところずっと SL から離れていて(裏ではやってましたが)
RL の小澤征爾に関する記事ばかり書いてきましたが、
もう5月になりましたので、そろそろ戻るタイミングですね。
そう、セカンドライフ 21 歳の誕生日、SL21B の開催が
発表になりました!


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セカンドライフの誕生日そのものは 6月23日で、
SL19B まではこの日を中心にした1週間で行われて来ましたが、
20周年となった昨年の SL20B で会期が大幅に拡張され、
今年も 6月21日(金)〜 7月21日(日)までの
何と1ヶ月間に渡って行われることになりました!

テーマは "Elements"。
「要素」とか「元素」とか「成分」とか「基礎」とか
いろんな意味があって、ディズニー・アニメの
「マイ・エレメント」が関係あるのかないのかわかりませんが、
上のリンク先の公式サイトによると次のような説明になっています。

「今年の誕生日のテーマは「要素」になります。 このテーマは、私たちの広大な仮想世界の風景と、その中に暮らす皆さんの多種多様なコミュニティとを形づくっている、基本的な構成要素を探求する旅へと私たちを誘います。 クリエイターやアーティストの燃えるような情熱がそうでしょうし、私たちの社会環境が常に流動的に変化し、適応していることもそうした要素の一つでしょう。また、コミュニティ内に於ける住民の皆さん同士の力強い絆もそうでしょうし、セカンドライフが更に未来に向かって前進することを可能にする、技術革新という新鮮で爽やかな風もまたそうでしょう。今回のこの「要素」というテーマは、私たち一人一人がセカンドライフで築き上げていく経験一つ一つの核となる力を讃えるものなのです。」

う〜ん、「要素」と関わりのないものは何もありませんので、
どんなことでも表現できそうで、却って難しいですね。
僕も、最初は全くイメージが湧きませんでしたが、
そこはやはり一人で考えるものではないですね。
盟友ケルパさんと会話しているうちに自分が何をやればよいか
だんだん見えて来ましたので、お楽しみにしていて下さい。

あ、そうそう!
最後に大事なこと!
私のように Performer(ライブ、DJ)で参加したい人の
応募の締切は 5月31日(金)なのですが、
展示会場、物品販売、ボランティアの応募締切は
今日! 5月12日(日)です!
連絡おせ〜よ、もっと早く言えよ、という声も聞こえて来そうですが、
逆に悩むヒマがなくていいですよね!^^;
ちょっとでも気になった方は、上のリンク先からこのあとすぐ、
申し込んでみて下さい!
(多分 SL 時間を考えると、日本時間の月曜日 16:00 まで大丈夫
 かと思います。。。)
皆さんと共に21歳の誕生日を盛り上げられればと思っていますので
どうぞよろしくお願いします!

2024年5月4日土曜日

【レビュー記事】 小澤征爾さんを聴く〜その10・メシアン『アッシジの聖フランチェスコ』

前回に続いてメシアンである。
小澤征爾さんがメシアンからその作品の演奏を任されていたことは
前にも書いた通りだが、その最後の大仕事とも言えるのが、
メシアン唯一のオペラで、上演に4時間を要する大作
『アッシジの聖フランチェスコ』の初演だったと考えている。
これはパリ・オペラ座の委嘱で制作されたもので、
その初演は1983年11月28日にオペラ座で、
小澤さんがパリ・オペラ座管を指揮して行われた。
その時の録音がリリースされていて、これはとても貴重なものだ。

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僕にとってこの CD が貴重なのは、この曲については、
前にも書いた武満徹さんとの対談集『音楽』の中で語られていて、
この本が出てすぐ読んだ僕にとっては、
1941年作曲の『世の終わりのための四重奏曲』とも
1949年作曲の『トゥランガリーラ交響曲』とも異なり、
リアルタイムの、現在進行形のメシアンの新作だったからだ。
その、1979年頃に行われた対談のなかにこんな会話がある。

「武満 メシアン先生は目下大作にとりかかっているんだろう?
小澤 二年後にそのオペラを指揮しなきゃいけない。それがなんと楽譜で三千ページあるんだ。この間、ピアノ・スコアを見てきたけれど。今、オーケストレーションしてるらしい。
武満 あの人のは、もう少し短くなるといいけれどね……。『キリストの変容』もちょっと長過ぎるね。あの人は、あそこまでやらないと、どうしても満足できないんだよ。おれなんかは、一生かかっても三千ページは書けっこない(笑)。
小澤 この間もメシアン先生から念を押されて、やることになっている。一九八二年に。
武満 七管編成でしょ。
小澤 七管編成で、オンドマルトノというのが三台。
武満 そんな大編成で、歌って、聞こえるのかな。 
小澤 それが聞こえるんだって。ちゃんと計算できているみたいよ。すごいねェ。」

おお、おお、『トゥランガリーラ』でも使われた大好きな楽器
オンドマルトノが3台も使われるとは!
そして、七管編成なんて聞いたこともないんだけれども。
普通のオケの曲だと三管とか四管ですよ。
この何管というのは、木管楽器のフルートやクラリネットなどの
パートの本数を基準にして呼ばれるけれども、
木管の本数が決まるとそれに応じて金管の本数、弦の台数も決まり、
オケ全体でどのくらいの演奏家が必要になるかが決まるのだが、
実際、編成表を見るとフルートだけで、

・ピッコロ×3
・フルート×3
・アルトフルート×1

となっていて実際7本必要なのだ!
(普通はピッコロやアルトフルートは何人かいるフルートの1人が
 持ち替えで対応するものだが。。。)

そうやって8年をかけて出来上がったのは全3幕8場から成る
上演時間4時間にも及ぶオペラで、それだけに聴き終わった時の
感動はとても言い尽くせぬものがある。

そうそう上演されることのない巨大でレアなオペラなので
ここで簡単にどんな曲か説明をしておくと、
アッシジの聖人フランチェスコ
(日本では伝統的にフランシスコと呼び慣わされている)の生涯を
8つの情景で描くもので、
オペラや楽劇に付き物の序曲や前奏曲といったものはなく、
またアリアらしいものもない。
ただ、ヴァーグナーの楽劇のように登場人物それぞれに
ライトモチーフのような主題があり、
中でもフランチェスコや天使には複数の主題が割り当てられている。

更に、メシアンと言えば鳥の研究と
その鳴き声を音楽で表現することで有名だが、
この作品でも、それぞれの登場人物に特徴的な鳥が割り当てられ、
舞台を見ていなくてもその鳥のさえずりで例えば天使が現れたことが
わかるようになっているという仕掛けである。
これは、聖フランチェスコが鳥に説教をしたという伝説から
当然そのシーンがこのオペラには組み込まれているわけだけれども、
アッシジのあるウンブリア地方によくいる鳥から始まり、
世界中から34種の鳥が選ばれ、その囀りが音で表現される。
34の鳥の中には日本のホオアカ、フクロウ、ウグイス、
そしてホトトギスも選ばれ、登場する。

それぞれの情景の内容は次の通り。

第1景『十字架』
木琴を始めとする鍵盤打楽器によるヒバリの囀りで幕を開ける。
続いて修道士レオーネが『伝道の書』の「道にはおののきがある」
を下敷きに「私は恐ろしい」と歌う。
そこにズグロムシクイ(カピネラ)の囀りに導かれ
フランチェスコが登場、「完全なる歓び」について語る

第2景『賛歌』
フランチェスコと修道士たちが「太陽の讃歌」を歌い、お勤めをする。
最後にフランチェスコは重い皮膚病を患っているものを怖れており
その怖れを克服することを主に誓う。

第3景『重い皮膚病患者への接吻』
フランチェスコは重い皮膚病患者に会い、接吻する。
すると病は癒され、その喜びから踊り出す。
患者はそれまで人生に対して卑屈だったのがよりポジティブに
生きようとする。

第4景『旅する天使』
フランチェスコたちのいる修道院を旅姿の天使が訪れる。
キバラセンニョムシクイ(ジェリゴネ)の囀りが天使の登場を暗示。
天使は修道院にいる修道士たちに「予定説」に関する問いをする。
修道士エリアは問いに答えず天使を追い出し、
再び訪れた天使に修道士ベルナルドは答える。
天使が去ったあと、修道士たちは旅人が実は天使だったことを知る。
(因みに天使は5色の羽根を持っている。
 これはサンマルコ美術館にあるフラ・アンジェリコの
 『受胎告知』の絵にインスピレーションを得ているらしい。
 この絵のリンクはこちら。)

第5景『音楽を奏でる天使』
再び天使が修道院を訪れ、今度はフランチェスコの前に現れる。
天使はヴィオールを奏でるが、このヴィオールは
オンドマルトノの音で表現される。
天使の音楽を聞いているうちにフランチェスコは倒れる。
天使が去ったあと、倒れているフランチェスコを
修道士たちが抱え起こす。

第6景『鳥たちへの説教』
フランチェスコが鳥たちに説教をする。
説教は途中様々な鳥たちの鳴き声で中断される。
そして最後に様々な鳥たちの囀りが一斉に起こる
全曲の中でも最も素晴らしい聴き所となる。

第7景『聖痕』
夜中の山でフランチェスコが祈りを捧げている。
イエス=キリストの受けた苦しみを自分にも分けてほしいと願う。
合唱がイエスの声を表現し、その後5回のクラスターで
イエスの受けた5つの傷がフランチェスコにも表れたことを暗示。

第8景『死と新生』
フランチェスコは「太陽の讃歌」を歌いながら
あらゆるものへの別れを告げる。
フランチェスコが死ぬとヒバリが賑やかに歌い、
最後は感動的な合唱で幕を閉じる。

言葉で書くと難しいようだけれども、
実際に音楽を聴くと、『トゥランガリーラ』でもお馴染みの
メシアン独特のフレーズが登場したり、
鳥たちのざわめきやら、重大なことが起きる時のクラスター音など
音楽的には非常にわかりやすいものになっている。
いや、そのわかりやすさを実現しているのは
やはり何と言ってもメシアンの演奏に精通した小澤さんの棒だろう。

もう随分昔のことなので正確なことは覚えていないのだけれど、
この1983年のパリでの初演の時だったのか、
1986年の日本での部分初演の時のことだったのか、
そのリハーサルの模様が NHK のニュースで報道されたことがある。
その中で、メシアンが小澤さんに注文を付けるのだ、
今のところはそうじゃない、こういう風に演奏してほしい、と。
すると、何と小澤さんは作曲者本人に反論するのだ。
多分、いや、あなたのその意図を実現するには
こういう風に演奏した方がよいのだ、
実際の音にするのは自分の仕事だから自分に任せてほしい、
といったようなことだったように記憶している。

この場面を見て、凄い! と思ったものだ。
小澤さんが楽譜を読み込んで作曲者の意図を理解し、
それを具体的な音にする話は村上春樹さんとの対談に
何度も出て来るけれども、
ある意味作曲者本人ですら想像できていない音が
小澤さんには具体的に聞こえているということではないだろうか。
小澤さんは齋藤秀雄先生から教わったのは、
単に指揮法ではなかった、一番大事なのは、と
「私の履歴書」の中で語っている。

「先生が僕らに教え込んだのは音楽をやる気持ちそのものだ。作曲家の意図を一音一音の中からつかみだし、現実の音にする。そのために命だって賭ける。音楽家にとって最後、一番大事なことを生涯かけて教えたのだ。」

小澤さんが指揮をする時のあの熱い感じは実はここから来ているのだ。
そして、作曲者のメシアン本人にあそこまできっぱりと
物申せるというのは確とした信念があるからだ。
『アッシジの聖フランチェスコ』の録音に聞くのは、
メシアンの音楽への理解と共感、
そして自分自身の信念と情熱の結晶と言えないだろうか。
だからこそ4時間に及ぶ音楽が説得力を持ち、
大きな感動をもたらすことができるのである。

     *   *   *

例によって既に十分長い文章になってしまったけれども、
自分の手許にある小澤さんの CD に纏わる話と
その感想について語るのは一旦これで終わりにする。
終わるに当たって、まだまだ聴いていない、
そして聴いて見たい小澤さんの CD もあることなので、
それについて触れておきたいと思う。
その前にまず、これから小澤さんの演奏を聴いてみたいと
思われる方の為に、日本版「ニューズウィーク」誌の
2024年3月5日号の小澤さんの特集記事にあった
「ニューヨークタイムズ」記者の名盤8選なるものを転載しておく。

・メシアン『アッシジの聖フランチェスコ』1983年パリ・オペラ座管
 (初演時のライブ録音)
・ベルリオーズ『幻想交響曲』2014年サイトウ・キネン
 (サイトウ・キネン・フェスティバル松本のライブ録音)
・フォーレ『管弦楽作品集』1986年ボストン響
・マーラー『交響曲第1番』1987年ボストン響
・デュテイユー『時間の影』1998年ボストン響
・ストラヴィンスキー『春の祭典』1968年シカゴ響
・チャイコフスキー『白鳥の湖』1978年ボストン響
・リスト『ピアノ協奏曲第1番・第2番/死の舞踏』
 1987年クリスチャン・ツィメルマン (pf), ボストン響

今回書いた『アッシジの聖フランチェスコ』を除いては
僕が持っているものとは全く被っていないね。w
というわけで、僕が気になっているディスクは次のものになる。
上のリストにも影響を受けているけれど、録音の古い順に、

・ストラヴィンスキー『春の祭典』1968年シカゴ響
・チャイコフスキー『ロメオとジュリエット』1973年サンフランシスコ響
・ベートーヴェン『交響曲第9番』1974年ニュー・フィルハーモニア管
・デ・ファリャ『三角帽子』1976年ボストン響
・デュテイユー『時間の影』1998年ボストン響
・ブラームス『交響曲第1番』2010年サイトウ・キネン
 (カーネギーホールでのライブ。村上春樹さんの激賞で。w)
・ラヴェル『子供と魔法』2013年サイトウ・キネン
 (サイトウ・キネン・フェスティバル松本でのライブ)

小澤さんが亡くなってから小澤さんの CD は、
中古でも手に入りにくくなっているけれども
そのうちどこかで見つけたら聴いてみようと思っている次第。