2023年11月4日土曜日

【新作】 ニュー・アルバム『Orchestral Manoeuvres in Second Life』全曲解説〜その1・「流れよわが涙、と警官は言った」

僕のニュー・アルバム『Orchestral Manoeuvres in Second Life』が
リリースされ、デビュー1周年記念のコンサートを
YMB のメンバーと共に行ってから約1週間が経過しました。
この辺りで、アルバムの宣伝も兼ねて、毎回恒例の全曲解説、
行ってみたいと思います。
今回はまず1曲目、「流れよわが涙、と警官は言った」です。

この曲は、フィリップ・K・ディックの SF 小節
『流れよわが涙、と警官は言った』が映画化されて、
そのメインテーマの作曲をヒロシが依頼されたら?
という仮定の下に作った曲です。
当時、というのは 2009 年のことなんですが、
この SF を巡って The Black Stripes のこじゃさんと
盛り上がったことがあったのです。
この曲を作った当時の僕のコメントをそのまま引用します。

「同じくセカンドライフで活動されている The Black Stripes という
バンドのリーダー Koja Writer さんも僕もSFが好きで、
フィリップ・K・ディックの『流れよわが涙、と警官は言った』
を巡って二人で盛り上がったことがあり、
実は彼にはこの小説にインスパイアされた「Flow My Tears」
という曲があるのだとか。
但し彼はこの小説のタイトルとなっているジョン・ダウランドの
「Flow My Tears」そのものは聴いたことないとかで、
じゃあ僕がそのオリジナルを演りましょうか、なんて話してたもの。
そんなわけで、もしこの小説が映画化されて
僕が劇伴を担当するとしたら、という想定で
ダウランドの原曲をアレンジしたものです。
因みにダウランドはシェイクスピアと同世代の作曲家で、
原曲はそのメランコリックで美しいメロディーが
ヨーロッパ中で大ヒットしたというものなのですが……。」

映画のメインタイトルということで、当時(そして今も)
話題作の音楽の殆どを担当しているハンス・ツィマーさんを意識して
オーケストレーションを行ったのでした。
ハンス・ツィマーさんの映画音楽って、小刻みなストリングスと
咆吼するブラスが印象的なので、それを真似して
最初から最後までリズムを刻みっ話のチェロにコントラバス、
メロディーはトランペットにという編曲なのですが、
やっぱりやわらかく音色豊かな木管の味付けもほしい、
ということで、発表した時はフルートとクラリネットを入れてました。

が、正直これでは殆どオーケストラにはならないですね。
そこでこの1年間管弦楽法を勉強した成果も入れようと
今回のアルバム制作に当たって、楽器を充実させました。
木管にはオーボエとファゴットのパートを加え、
金管には木管とほぼ同じ和音構成のホルン4本、
そして高音で鳴るトランペットをオクターブ下で支える
トロンボーンといった具合です。
これでこれまで SL で演奏していたバージョンよりも
オケの響きに厚みが出て、よりカッコよくなったのではないでしょうか。

この曲を最初 YMB のメンバーと演奏した時、
恐らく実際にトランペットを吹いていたと思われる本田春菊さんから
「こんな高い音域で吹き続けるのはムリ!」と言われました。
今回音域を確認したら、確かにトランペットの最高音域。
でも、ちゃんと演奏可能音域内に収まってるんですよね。
というわけで、敢えて移調はせずに発表当時のままとしました。
そういう意味では、チェロとコントラバスも
この小刻みなフレーズを全曲通して弾き続けるのは
腕が疲れるだろうとは思いましたが、まぁ、ご容赦ということで。

このあと紹介する曲たちもみんなそうですが、
元々はピアノやシンサセサイザーというどんな音高でも
どんな長さでも弾き続けることのできる楽器をやってる僕が
頭の中で響いた音をそのままシンセで再現したものなので、
現実の管弦楽の楽器の制約とかが無視されていたわけです。
今回のアルバム制作に当たってはその辺りを見直したり
或いはこの曲のようにこのままでいいやと判断したりしています。
なので実際に演奏するとなったら、オケの楽団員にとっては
なかなか大変なことになりそうです。

そんな「流れよわが涙、と警官は言った」が収められた
ニュー・アルバムの試聴と詳細情報は下のリンクからどうぞ。
サブスクで聴くだけでなく、ダウンロード販売をご購入頂けると
大変喜んでまた頑張っちゃいますので、どうぞよろしくお願いします!

■Orchestral Manoeuvres in Second Life
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1. 流れよわが涙、と警官は言った
2. 祝典序曲〜naturalway Flow による Music StarMine のための
3. シルクロード
4. 夏の哀しみ
5. ファウンデーション〜SFドラマのテーマ〜
6. レイ・ブラッドベリのための音楽
7. レクイエム (2023年リマスター)
8. レット・ラブ・リング (feat. Hiroko Sweetwater)
9. 流れよわが涙、と警官は言った (feat. Hiroko Sweetwater) [ボーカルバージョン]

定価:アルバム ¥1,528.-/シングル ¥204.-

旧作の情報はこちら。

・1枚目『Songs from a Virtual World』

・2枚目『Sound Cruise in the Metaverse』

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