2023年11月15日水曜日

【新作】 ニュー・アルバム『Orchestral Manoeuvres in Second Life』全曲解説〜その7・「レクイエム」

今回のニューアルバムの7曲目に収められている「レクイエム」は、
実は全9曲の中で最も古いものなのです。
まだセカンドライフに参加する前の2006年8月に
RL のミュージシャン・ネームであるタンゴ黒猫名義で
当時運営していたネット音楽雑誌・月刊「DAICHI-大地-」に
発表したものなのです。


その当時に僕がこの曲に寄せたコメントを転載すると、

「今また中東の情勢が不安定になり、多くの罪もない人たちの命が戦争の犠牲になっています。何故罪もない人たちを巻き込まなければならないのか、テレビに映る子供たちが傷ついたり、死んだりしている様子に胸が痛み、深い悲しみと憤りを覚えてしまいます。どんな事情があれ、何を措いても人の命を最優先に考えるというのは、国や民族、宗教や文化を越えて人間だったら共通のことなのではないでしょうか。折しも今日は8月6日、広島に世界で初めて原爆が落とされた日。多くの命が失われたことの悲しみと、平和への祈りをこめたレクイエムを書いてみました。しかし、ただ悲しんでいるわけにはいきません。二度とこうしたことが起らないようにするために、生き、動いていかなければ——そういう意味でも、この曲はまだ途中なのです。」

当初この曲は入れる予定はなかったのです。
今回のアルバム・リリースに向けた僕のメモには
「流れよわが涙、と警官は言った」は歌の有り無しで重複があるので
全7曲と書かれています。
このアルバム全体の説明に全7曲とあるのはそのためです。
が、折しもリリースの作業を行っているタイミングで
ハマスによるイスラエルへのテロ攻撃、
続くイスラエルによるガザ地区に対する攻撃が始まりました。
この出来事に僕はとても心を痛めました。
どちらが良いとか悪いとかそういう問題でないところで
多くの罪のない人たち、子供たちが生命を、生活を奪われる、
これは人としてとても耐えられない状況です。
そこで、一日も早くこの状況が終わることを願って、
この曲を今また改めて発表することにしたのです。

冒頭、ハープが「キリエ」のメロディを奏でます。
「主よ、あわれみ給え」というのがキリエのメッセージです。
続けて、荒々しいホルンの響きと共に
ピアノが「怒りの日」のメロディを力強く、低音で奏でます。
「怒りの日」は「死者のためのミサ」、
つまり「レクイエム」に含まれるセクエンツィアという音楽ですが、
最後の審判の日に神の怒りで世界が灰燼に帰すと歌うのです。
そのあと音楽はピタリと止んで静かになり、
静かなストリングスの響きが延々と続きますが、
これは平和を願う僕の祈りの音楽なのです。

このストリングスは E-mu の UltraProteus に入っていた音で
何とも言えぬその響きに魅力を感じてこの音で何か表現したいと
そう考えているところで「レクイエム」に行き着いたのです。
そこで、今回このアルバムに収めるに当たって、
シンセの即興で弾いたこの曲をオーケストラアレンジしようとして
いや、この雰囲気を再現するのはムリ! と判断した次第。
何と言っても、初めてオケに取り組んだ作品なので
いろいろクォリティは低いかもしれないけれど、
SL でもこの録音で披露してきたということもあって、
今回のアルバムでは全曲レコーディングし直している中で、
この曲だけは敢えて 2006 年当時の録音を採用することにしました。
但し、マスタリングだけは今一度やり直したので、
「2023年リマスター」のバージョン記載があります。

そう、この曲は YMB の演奏会でも何度もやったことのある
思い出深い曲です。
是非いっぱい聴いて頂いて、イイ! と思われたら
是非シングルでもアルバムでもご購入頂けると嬉しいです。
どうぞよろしくお願いします!

■Orchestral Manoeuvres in Second Life
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1. 流れよわが涙、と警官は言った
2. 祝典序曲〜naturalway Flow による Music StarMine のための
3. シルクロード
4. 夏の哀しみ
5. ファウンデーション〜SFドラマのテーマ〜
6. レイ・ブラッドベリのための音楽
7. レクイエム (2023年リマスター)
8. レット・ラブ・リング (feat. Hiroko Sweetwater)
9. 流れよわが涙、と警官は言った (feat. Hiroko Sweetwater) [ボーカルバージョン]

定価:アルバム ¥1,528.-/シングル ¥204.-

旧作の情報はこちら。

・1枚目『Songs from a Virtual World』

・2枚目『Sound Cruise in the Metaverse』

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