2023年6月8日木曜日

【レビュー】 最近観た映画・その1〜「レフト・ビハインド」

僕をよくご存じの方なら、僕が SF 好きであることは
ご承知のことと思います。
僕の友だちには SF は嫌い、という人もいます。
ただの荒唐無稽な作り話と考えるときっとつまらないでしょう。
事実、宇宙人がやって来たり、モンスターが現れて暴れたり
といった映画の殆どはあまりにも類型的でつまらない。
「スターウォーズ」や「スタートレック」のシリーズだって
西部劇の舞台をただ宇宙に置き換えただけでしょ?
と言われてしまえばそれまでです。
そこには「宇宙が舞台」ということ以外に
Scientific 「科学的」なものは何もないかもしれません。

しかし、SF とは元々は「Science Fiction」と呼ばれていましたが、
アーサー・C・クラークのような人が出てきてから
「Speculative Fiction」、つまり「思弁小説」とも呼ばれています。
それは「もしこういう状況に置かれたら自分はどうするだろうか?」
という、哲学的思考実験と言えるものです。

こうして僕が SF 映画を結構観ているからでしょう、
Amazon Prime の「お勧め映画」に「レフト・ビハインド」が
何度も繰り返し上がって来ていました。
しかしそのポスターから取ったと思われるサムネールがねぇ。。。
主演のニコラス・ケイジの情けない顔と
空中で爆発しているらしい飛行機の絵なんですよね。
ああ、またニコラス主演のパニック映画か、ぐらいしにしか
捉えていなくていつもスルーしていたんですよね。

でもある時たまたまカーソルをロールオーバーして
見えたあらすじが、地球上からたくさんの人が消えた、という話。
ムムム! と思ったのです。
人が消えるという話、そして「レフト・ビハインド」、
つまり「取り残される」という意味のタイトル。
もしかして! と思ってみたらやっぱりそうでした。

人類滅亡、という SF 映画は多いのですが、
大体が宇宙人が攻めて来る、自然環境が壊れる、
宇宙から小惑星や彗星が直撃する、といった話が殆どで、
その意味ではこれはとてもレアな映画です。
これは、聖書に描かれている「携挙」をテーマにした作品なのです。

「携挙」という漢字も、「ケイキョ」と音にしても
あまり耳慣れない言葉なのではないでしょうか。
それもそのはず、これは聖書のある一節に書かれていることを
信じている人たちから生まれた終末思想だからで、
キリスト教にあまり馴染みのない日本人の方々には
全く以てピンと来ない話でしょう。
この「携挙」という言葉は英語の「Rapture」、
すなわち「連れて行かれる」という言葉の翻訳語なのです。

具体的には、新約聖書の「テサロニケの信徒への手紙」の
第4章に記載されている内容によります。

「すなわち、合図の号令がかかり、大天使の声が聞こえて、神のラッパが鳴り響くと、主御自身が天から降って来られます。すると、キリストに結ばれて死んだ人たちが、まず最初に復活し、
それから、わたしたち生き残っている者が、空中で主と出会うために、彼らと一緒に雲に包まれて引き上げられます。このようにして、わたしたちはいつまでも主と共にいることになります。」
(新共同訳「テサロニケ信徒への手紙」第4章16・17節)

そうなのです。
この世の終わりに主とイエス=キリストを信じる人々が
この世から天に連れて行かれる、というのです。
キリスト教を信じている人たちにとっては
それはとても幸せなことでしょうが、それが本当に、
現実にこの世界で起こったらどうなるでしょう?
飛行機からはパイロットが消え、空港からは管制官が消え、
電車やバスの運転手、警察官や消防士、病院の医師などが
突然目の前から消えてしまったらどうなるでしょう?
そう、天に召されずに「残された(left behind)」人々は
一体どうなるのでしょう?

ニコラス・ケイジは結構 B 級 SF 映画に出演していて
それも大抵は情けないお父さん役だったりするのですが、
この「レフト・ビハインド」でもそう。
急に宗教に目覚めた奥さんは天に召されますが、
あまり宗教を信じていないニコラス・ケイジとその娘は
空の上と地上とでそれぞれ大変な目に遭いながら
映画の最後では再会します。

危うく飛行機墜落の危機を免れた乗客たちは
「よかったよかった助かった」と喜び合いますが、
ニコラス・ケイジの娘は言うのです。
「これで終わったわけじゃない、これからが大変なのだ」と。
そう。携挙を信じる人たちの間では、
残された人々には7年に渡ってあらゆる災害が降りかかると
そう信じられているのです。

イエス=キリストは預言通り復活しました。
そしてもう一度この世の終わりに現れると言われています。
その時、本当に携挙ということが起こるのでしょうか?
そしてもし本当に起こったら。。。
そういう思考実験をビジュアルで見せてくれる映画です。
最初に書きましたようになかなかレアな設定、
かついかにもつまらなそうなサムネールでスルーしそうな映画なので
敢えてお勧めさせて戴きます。^^


P.S. B級言いながら、情けない言いながら、
結構ニコラス・ケイジ主演の SF 映画観てるんですよね、これが。w

2023年6月7日水曜日

【SL20B】 ヒロシの出演スケジュール決まりました!〜7月1日(土)22:00です!

あっという間に6月になりました。
そして6月と言えばセカンドライフの誕生月、
20周年の今年は SL20B のイベントが開催されます!

例年、SLB はセカンドライフの誕生日6月23日を中心に
前後1週間で開催されてきましたが、今年は日の並びによるのか、
6月22日(木)〜7月11日(火)という変則的な日程になってます。
しかも、ライブや DJ は初日からでなくて
6月25日(日)〜7月2日(日)という微妙な設定。。。

ということは土曜日は7月1日しかないわけで、
ヒロシの出演はほぼ迷わずこの日一択で決定しました!
時間は22:00からで、かつてはナチュさんやこじゃさんと
「ジャパンタイム」と称して3時間連続でやってましたが、
今年は何とアリンさんのチームと組んで2時間のステージです。
そう、僕に続いて23:00からはアリンさんの登場なんです。

このスケジュールを調整するのに、アリンさんに聞いたら、
「メンバーに確認するから待って」と言われました。
「メンバー」ということはチームで出演ということですよね?
ということはきっとあの面々によるあのグループではないか?
とヒロシ勝手に妄想中であります。

あ、いやいや人のグループを妄想してる場合ではありません。
出し物を考えないとですね。
今年のテーマ「Our Fantastic Future」に合わせた組曲に
これから取り組むところであります。
7月ならまだちょっと余裕あるかな〜、
と思っているうちにすぐ来ちゃうんですよね、当日が!

アリンさん共々全力で頑張りますので、
是非7月1日(土)22:00〜24:00 は印を付けて空けておいて下さい。
当日みんなで一緒に楽しい時を過ごせるよう願ってます!

2023年5月27日土曜日

【新商品】緊急リリース! シングル「おお月よ」発売!

気づいている方は気づいていますね!
そうなのです。
今日5月27日に僕の新譜シングル「おお月よ」がリリースされ、
iTunes Store や Amazon でダウンロード販売、
Apple Music, Amazon Music, Sportify などで配信されています。

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この緊急リリースは配信をお願いしている Tune Core Japan の
キャンペーンによるものです。
シングル盤の配信1年間無料というので、
この機会に自分の音楽を広めねばと考えたのですが、
1曲、それもこのあと恐らくアルバムリリースとならないもの、
という条件で考えた結果、いくつかの小さな曲が残ったのですが、
以前ケルパさんに「もう一度聴きたい」と言って頂いた
この曲に決めたというわけなのです。

この曲はスペインの詩人ガルシーア・ロルカの戯曲
『血の婚礼』の第3幕第1場に出て来る森の中のシーン、
そこに老婆が現れて独り言つ場面に作曲したものなのです。
そこにあるト書き「森。夜である。数本の湿気をおびた太い樹幹。
あたりは闇につつまれている。
二台のバイオリンを奏でる音が聞こえる。」に作曲したのが
この曲というわけです。

作曲の構想は大学生の時に初めてこの劇を見た時からあったのですが
具体化したのは2015年の Burnal Equinox のライブでのこと。
この時のテーマが「Balance」だったこともあって
太陽と月を表現しようとして、この曲を作ったのでした。
当時の記録は次のリンクのブログに書いています。


そして次にこの曲を演ったのが2019年、
友だちでいつもライブに来て下さっていた
Roxy Geller さんの企画になる Monn Endowment of Art
の一環としてケルパさんの展示会場で12月14日に行われた
「忠臣蔵〜47 Ronin Under the Moon」のオープニングとして
月がテーマならこの曲でしょ、と演奏したのでした。


この時の模様はしんさんが映像に残してくれていますので
是非こちらもお楽しみ下さい。^^


そして、翌2020年、デビュー13周年記念のライブを
宇宙にしたテーマでお届けしたのですが、その3曲目で
この曲の3度目の演奏をしたのでしたね。
この年は Roland Cloiud で、Jupiter 8, Juno 106
そして Promars という惑星の名前に因んだローランドのシンセを
ソフトシンセとして揃えることができたので
それぞれの惑星をテーマにライブを行ったのでした。
そして月を表したのがこの曲というわけですね。


しかし、元々2015年の時にホントに即興でパッと作ったものなので
まぁ、雑というか、音質も悪いし、というので
この度新たに録音し直しました。
この時、今回のリリースにこれを選んだ理由が
きっと MIDI データが残っているだろう、だったのですが、
何と、オリジナルは本当にイッパツで録音していることが判明、
例によってまたも自分の曲を耳コピーするという事態に。^^;
なのでまぁ、過去にライブでやった時とは雰囲気異なるかもですが
一応これを決定版として、1年間限定でのリリースになりますので、
是非ダウンロード購入頂くなりサブスクでヘビロテして頂くなり
して頂けると幸いです。
どうぞよろしくお願いします。m(_ _)m

■Hiroshi Kumai: Esa Luna〜おお月よ

2023年5月6日土曜日

【イベント】 セカンドライフ20周年記念イベント、参加申込締切まであと1週間!

はい、そうなのです。
今年の6月23日に我等が SL は 20周年を迎えるのです。
これを記念するイベント SL20B への参加申込は
既に4月4日から始まっていて、5月14日(日)が締切となってます。


最近は RL の用事をこなすのにいっぱいいっぱいで
全くと言っていいほど SL から離れているヒロシは
この記念すべきイベントの申込が始まっているのも気づかずに
日々を過ごしておりました。
例年であればナチュさんが「これどーする?」と
声をかけてくれたのですが、そのナチュさんが引退した今、
ぼーっとしているヒロシに声をかけてくれる人はいない。。。
と思いきや、何と、アリンさんから「どーする?」の声が。^^;
おお、ありがたや&早く申し込まねば! と慌てたわけです。w

SL6B でナチュさんから「どーする?」の声をかけられてから
殆ど毎年出演して来ましたからね、20周年という記念すべき年に
参加しないという話はないわけですよ、僕にとっては。
何と言っても、世間でメタバースが取り沙汰されている今、
既に20年も続いているメタバースがあることを伝えたいわけです。
その理由は簡単で、メタバースで対応しなければならない
問題なるものが全て SL では解決済だからです。
リンデンが行っているのはプラットフォームの提供のみであって
そこは住人が自由に物事を展開できる空間だからなのです。

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そんな20周年を祝う SL20B のテーマは「Our Fantastic Future」。
最近の SF 映画やドラマが描く未来はディストピア、
つまり暗い世界が多いのですが、寧ろ環境問題を解決し
次世代が持続的な世界で生きていける素晴らしい未来を
描いていこうというのが今年の趣旨のようです。
ロゴも何となく未来世界っぽいですね。
僕はいつも志向が宇宙に向いているので、
地球から離れていくようなテーマが多かったりするのですが、
今年は地球そのものを表現するような音楽をやろうかな、
なんて妄想中なのであります。

さて、リンデン公式の詳しい募集記事は上のリンクの通りですが、
そう、何年か前から Shop & Hop と言って、
モノを売るマーチャントも参加できるようになってますね。
通常価格より 20% 以上割り引くことや、
グループ以外の人でもゲットできる SL20B 用のギフト提供が
条件になっていますが、こうした記念イベントに出店することは
よい宣伝になるかもしれませんね。

Shop & Hop の他、展示会場、DJ や演奏、ボランティアなども
5月14日が締切となっています。
少しでも面白そう、と思われた方、是非申し込んでみて下さい。
そしてこの20周年記念のイベントを楽しく盛り上げましょう!^^

2023年4月24日月曜日

【RL】 管弦楽法のこと

少し前に坂本龍一さんの音楽について書いたが、
YMO の坂本さんとしてよりも、映画音楽の作曲者としての、
特に管弦楽作曲者としての彼について触れることになったと思う。
それは結局のところ自分が生まれた時から管弦楽というものに
魅了されてきたからであり、そして同時に、
自分でもああいう素晴らしい音楽を作りたいと
いつも心のどこかで思っているからだ。

しかし、ラヴェルやドビュッシーやストラヴィンスキーを
パクリながらもなかなか自分が思うようなカッコイイ音を作るのは
なかなか難しいものだ。
そこで、真面目に管弦楽法を学ぶことにしたのは以前書いた。
漸くのことで伊福部昭先生の教科書を手にに入れて
じっくり取り組み始めたのが昨年の11月くらいだったと思います。
それからちょこちょこと読み進めて
最近漸く「編入楽器」の章にに入りましたよ。^^;

「編入楽器」というのは、英語では "Extra" と言って、
要するにオーケストラで定席を占めていない楽器のことです。
つまり、オーケストラと言えば弦楽器、木管楽器、金管楽器、
そしてティンパニなどの打楽器は必ず組み込まれるわけですが、
そうでない、臨時に組み入れられる楽器を編入楽器と呼んでいて、
その最も代表的なものはピアノ、オルガン、ハープ、サックスですね。

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で、僕は、この分厚い、900ページもある伊福部先生の本で、
弦楽器、木管楽器、金管楽器まで読めば、
オケで大事なことは殆ど学べるだろうと思っていたのですが、
何と、金管楽器が終わった時点で495ページ、
半分をちょっと超えたぐらいだったのです。
ガーン! という感じで続く打楽器を読み終えたら、
何と編入楽器は627ページから始まる、
ということはこれだけであと3分の1あるわけです。><

とは言え、ここからはピアノとかギターとか
自分には寧ろ馴染みの深い楽器が並ぶことも確か。
ピアノに関しては自分が一番よく知っている楽器なので、
(゜ー゜)(。_。)ウンウン、と思いながら読むところもあれば、
(´・∀・`)へぇ〜、そうなんだ、と改めて知る事もあり、
なかなかおもしろいですね。

オーケストラの楽器は、その音色が欲しくて使ってきましたが、
一つ一つ、どうやって音を出しているかということがわかると
そして普通ではない音の出し方を
作曲家たちが工夫していたことを知ると
これまで知っていた曲たちも聞こえ方が変わってきますね。

というわけで引き続き勉強を続けるヒロシなのでした。
これがこれからの音作りにどう影響することになるのか
まぁ、お楽しみにしていて下さい。^^

2023年4月12日水曜日

【RL】 坂本龍一さんのこと〜つづき

前の日記で坂本龍一さんの映画音楽について勝手なことを書いたが、
書くつもりでいながら長くなったので書かなかったことがあります。
今回は補遺としてその書かなかったことについて触れます。

映画音楽の作曲者として坂本さんが注目を浴びたのが
例の「戦場のメリークリスマス(1983)」ですし、
アカデミー賞を受賞したのが次の「ラストエンペラー(1987)」、
そして1991年には「シェルタリング・スカイ」の音楽を担当します。
この「シェルタリング・スカイ」もまたクラシック的な
短い動機が繰り返される形で曲が進行します。
雑誌の「キーボードマガジン」にピアノ譜が載ったので
当時僕も練習しました。w

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実は、僕の中ではこの3つはセットになっているのです。
リアルタイム的に自分でピアノに取り組んだからでしょうか。
しかもよく見ると、この「シェルタリング・スカイ」の動機、
「戦場のメリークリスマス」の1小節目や
「ラストエンペラー」の第一の動機の後半部分に似ています。
比較のためにこれらの譜例をもう一度掲げておきますね。

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僕の記憶に誤りがなければ、「キーボードマガジン」の楽譜には
坂本さんご自身の解説が付いていて、
エンディング直前でマイナーからメジャーに転ずることについて
触れられていたように思います。
「シェルタリング・スカイ」は全体はト短調ですが、
確かにこの部分、短調による同じ動機の繰り返しが
長調に切り替わってあたかも光が差して来るようで素晴らしいのです。

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僕は短調で始まった曲が長調で終わるのが好きなのです。
今書いた通り、どちらかというと哀愁を感じさせるメロディーが
最後には光が差して来て希望を持って終わるようで。
実はバッハの時代はそれが当たり前だったのだそうなのです。
で、この曲も光が一杯差して来て力強く終わるのかと思いきや、
再び短調に転じで静かに消え入るように終わるのは
そこが坂本さんらしいひねりなのでしょうか。
ただ、この静かなエンディングは音数が少ないので
最早短調とも長調ともつかない曖昧な雰囲気になっているのです。
全体としては主人公の揺れ動く心が音楽で表現されている
ということなのでしょうか。

さて、話を「ラストエンペラー」に戻します。
前回僕はこのテーマ曲を一つの管弦楽曲に見立てて
今から○十年前に行った自分なりの解釈をお伝えしたわけですが、
この稿を書くに当たっていろいろ確認する必要があると思い、
この映画のサントラ盤 CD を買い直しました。
前は「戦場のメリークリスマス」と共に
LP レコードで持っていたはずですが、売ってしまったか
実家に送ったか、今ぱっと参照できないので買ったのです。

そして、ふと気になったことがあったので確認しました。
映画のテーマ曲の場合、オーケストレーションは作曲者とは
別の人が担当していたり、
オーケストラの指揮も作曲者自身でなかったりします。
私が驚いたのはミュージカルの「ウェストサイド物語」で、
作曲が当時ニューヨークフィルの指揮者バーンスタインであることは
有名な話だと思うのですが、サントラ盤のクレジットを見ると
何とオケの指揮はバーンスタインではないのですね。

そんなこともあって、坂本さんが作曲した一連の曲は
誰が演奏しているんだろう? と思ったのですね。
で、今回クレジットを見返してみると、共同作曲者の
デヴィッド・バーンと蘇聡のところには "Perfomed by" として
演奏者の記載があるのですが、坂本さんのところにはない!
え? と思ってよく見ると、最後に Fairlight Programming として
ヒロ・スガワラさんのお名前と共に、
ハンス・ツィマーさんがクレジットされているではないですか!
なるほど、生のオケではなくて Fairlight CMI の音だったのですね!

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で、ハンス・ツィマーと言えば今や押しも押されぬ映画音楽の大家、
ハリウッドの大作でこの人が音楽を担当していないものを探すのが
難しいくらいの存在感のある人ですね。
この方が注目を浴びたのが 1988 年の「レインマン」の音楽だそうで、
その直前、彼は坂本さんの音楽の手伝いをしていたんですね!
そしてはい、このハンス・ツィマーのオーケストレーションも
僕はいろいろと参考にさせて戴いています。
僕を魅了した映画音楽を生み出したこの二人が
こうして繋がっているというのはとても感慨深いものがありました。

いやぁ、映画音楽ってホントにいいもんですね!

2023年4月8日土曜日

【RL】 坂本龍一さんのこと

今週初めの日曜日、床に就いたところで
坂本龍一さんの訃報が飛び込んで来て衝撃を受けました。
最近の活動はフォローしておらず、
かつてかなり刺激を受けた方であり、
高橋幸宏さんの場合と違って闘病されていたことも知らなかったので
え? ととても驚いたのです。
だってまだ71歳だったんですよね。
幸宏さんも同い年なので70歳で亡くなられたわけですが。

さて、刺激を受けたと言っても、僕は SL の他の音楽仲間と違って
リアルタイムでは YMO にはかなり興味をそそられつつも
ある種の反発も感じていたわけなのです。
(NHK の「ニュースセンター9時」みたいな
「Behind the Mask」や「東風」他坂本さんのナンバーは
勿論好きなわけですが。^^;)

が、坂本さんがソロとして映画「戦場のメリークリスマス」の音楽を
担当されてから俄然目が離せなくなったのです。
僕は子供の頃はロックや歌謡曲はあまり聴いてなくて、
音楽は映画音楽とかイージーリスニングから入った人なので、
やはり坂本さんが映画のタイトル曲を担当されたということが
とても興味深いのは勿論、何てキャッチーで
心に沁みるメロディなんだろうと思い、
自分でも楽譜を買ってきてピアノで弾いてましたね。

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フラットが5つもあるので慣れない方は敬遠したくなるでしょうが、
実はこれ、ピアノで弾くと殆ど、C と F 以外の音は黒鍵だけなので
寧ろ弾き易い曲なのです。
当時僕はドビュッシーの音楽に心酔していて
黒鍵だけの5音音階とか、1オクターブに6つしか音のない
全音階とか、そんな曲ばかり作っていたので、
この曲はとても親しみをもって接していました。

この曲も黒鍵メインの5音音階のメロディーが
アジア的な響きを持って私たちの心に訴えてくるのですが、
更にこのテーマというか動機、よく見ると、
5音—7音(休符含めて)—5音、つまり五七五という
俳句のリズムになっているではないですか。
そう、これは音楽による俳句なのだ!
(とは言い過ぎか。w)

そして五七五と言えば、日本人に馴染みのある数字としては
七五三があるわけですが、その「3」については、

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そう、有名な五七五のテーマに入る前にかなり長い
3つずつ音符が集まったメロディによる序奏があります。
そしてこのメロディは4の倍数である12音ごとにまとまっているので、
自然と4拍子のテーマに雪崩れ込んでいけるわけなんです。
何かよくできてる曲だなぁ、と感じながら、
当時はバッハやドビュッシーの曲と一緒に弾いていましたね。
(最近は全然楽譜のある曲を弾くことをやってないけど。w)

で、「戦場のメリークリスマス」はこの短い音の集まりが
何度も繰り返されながら曲が展開していくのだけれど、
これはどちらかというとクラシックの手法ですね。
有名なのはべートーヴェンの交響曲第五番、
例の「ンタタタ」という短い音の塊だけで
500小節も展開するというのは驚異的ですが、
坂本さんの曲もそういうところがあります。
往年の映画のテーマ曲を担当されていた作曲家の皆さんは
ジャズ出身の方が多くて、従ってメロディのある曲が多いのですが、
坂本さんの場合は次の「ラストエンペラー」のテーマになると
よりこのクラシック的要素が強くなり、
小さな1つの動機がいろいろに展開された形で
映画を彩る曲たちに発展しているように感じられます。

いや、今回この稿を書くに当たって、これらの曲に纏わる
インタビュー記事その他は一切読んでいないのです。
なので、実際には、他の曲が先に出来て
テーマはそれを組み合わせて作っただけかもしれない。
が、ここは敢えて作品として出来上がったものを
恰も管弦楽組曲のように読み解いていこうと思うのです。

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短い序奏のあと、すぐにこの動機がハ短調で現れます。
この動機を何度か繰り返してその後変ホ短調に転じたあと
メロディの片鱗のようなものが現れては消え現れては消えして
最後にホ短調に転調したところで
漸く完全がメロディが現れますが、これはまた動機の短さとは反対に
えらく息の長いメロディなのです。

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そしてこの息の長いメロディを繰り返したあと、
第二の動機が姿を現します。

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この第二の動機の片鱗のようなものが
第一の動機によるメロディの5小節目辺りに出てきますが、
この短い3音+長い1音というパターンは
この映画音楽のあちこちで見られるように感じられます。
そもそも、第一の動機はハチロクの拍子なので、
基本が3つの音の集まりで出来ているのですが、
このハチロクというのは実にトリッキーな拍子で、
3音の塊が2つとも2音の塊が3つとも解釈でき、
この音楽では実に絶妙にハチロクの第一動機からなるメロディが
2分の2の第二動機につながっていくのです。

話がやや長くなりましたが、この第二動機を裏返したパターンが
「Open the Door」という緊張感の溢れる曲に出てきます。

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実際、この曲はこの緊張感溢れるパターンを繰り返したあと
第二の動機そのものにつながっていきます。

緊張感溢れると言えば「I wanna divorce!」というシーンで出て来る
「Rain」という曲も第二の動機の裏返しパターンの
更に展開形と言えるかもしれません。

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この符割は私独自のもので、恐らくピアノ譜などでは
1拍目3拍目とそれ以外の音は声部を分けて
1拍目3拍目は4分音符か2分音符、
下の声部は1拍目3泊目も同じ音が続く形で書いてあるでしょう。
が、耳に入って来る音はここに示したような感じで
このように書くと「Rain」=「雨」の連想で
ショパンの「雨だれ前奏曲」のようにも見えて来ませんか?w

こうして、「ラストエンペラー」の映画に出て来る
楽曲たちはそれぞれが密接につながりを持っていて、
それらが全てテーマにちりばめられた動機に依っているのです。
だから、というわけかどうか、サントラ盤では逆に
「First Coronation」、「Open the Door」といった
片鱗から展開した形が次々に紹介され、
最後にテーマに統一されるという実に感動的な構成になっています。

もう随分前のことですが、「ラストエンペラー」のテーマ曲の
楽譜を買ってきて弾こうとしたら調や拍子がバンバン変わるし
登場するモチーフも多いように感じて
練習するに先立って今回書いたような分析を行って取り組んだのです。
今回坂本さんの訃報に接して、追悼の意も込めて
僕が彼の音楽にどのように接していたかを披露させて戴きました。
天国で坂本さんは、勝手なこと書いてると怒っておられるか
或いは苦笑しておられるでしょうか。

いろいろと理屈を付けていますが、こうした一連の
坂本さんの音楽が好きなことに変わりはありません。
素晴らしい音楽をたくさんありがとうございます。
ご冥福をお祈り致します。