2011年2月2日水曜日

アルファ版、ベータ版、RC版、そして。。。

昨日は、フェニックス・チームの2系ビューワ
ファイアーストームのプレビュー版をご紹介させて戴きました。
本文中でも触れましたが、これはベータ版どころか
アルファ版ですらない状態であり、
よほどPCにお詳しい方でない限りお勧めはできません。
それもあって、ダウンロードサイトのURLは載せませんでしたし、
そもそもフェニックス・チームも公式サイトなどで公開してません。
インワールドの、プレビュー版を試すグループの中でのみの
公開となっています。

ここで、少し言葉の整理をしておきたいと思います。
そもそもアルファ版とかベータ版とか何なのか、ということです。
これまでこのようなものに接したことない方も、
SLをやっているとベータ版とか、あとRC版という言葉もよく聞きますね。
実は、そこで何が行われているのか、
どのように取り扱ったらいいか、簡単に整理しておきます。

まずは RC版から。
これは「Release Candidate」という英語の略で、
直訳すると「リリース候補」。
「製品候補」という日本語もあるようですね。
候補、と言われるぐらいですから、
開発してきて、もう殆どこの仕様で決定、
もう殆ど出るべきバグは出て、全て解消されて、
このまま製品として出したいんだけど、
もう一度だけ、広く配布して、ユーザーに試してもらい、
多くの人が使ってもバグがないことを確認、
またはこんな条件の人が使うとバグが出た、
というようなレアケースを確認する目的でリリースされます。
なので、RC版はまだ開発途中とは言え、その最終段階であり、
これを試すのはそれほど危険がないと言えます。

かつての公式ビューワは正式リリースの前に
RC版が出る、という形で開発が進められてきたのは
皆さんもご記憶に新しいところでしょう。
ただ、昨年の2系のリリースからRC版という言葉はやめて
ベータ版という言葉に変わりました。
すぐに正式版を出す予定のRC版ではなく
もっと時間をかけて改善したい、という思惑なのでしょう。

一方、サーバ・アプリケーションの方には
RC版の言葉が使われるようになりました。
以前は、サーバ・アプリケーションはバージョンアップされると、
全地域一斉にローリング・リスタートがかかったものです。
が、バージョン・アップによって、
却って不具合が増えたこともありました。
そこで、現在では、一斉に新しいバージョンを適用するのでなく、
BlueSteel、LeTigre、Magnumという3つのRC地域を設けて、
それぞれの地域で別の新機能を試す、という方法がとられています。
そして、1週間運用して問題なければ、
次の週のローリング・リスタートで一般地域に適用されるというわけ。
お試し期間が1週間と短いのは、
文字通りRC=製品候補、だからで、殆ど問題ないはず、
という前提だからですね。
バグが出たり問題が発生した場合には、
次の週に改善版を適用、その週の一般地域への適用は見送られます。

さて、SLにおけるRC版はそんな感じですが、
ではベータ版とはどんなものでしょう?

これは、アルファ版以降、ユーザーの要望などを取り入れ、
仕様としてはほぼ固まった、こんな感じ、というバージョンで
謂わばお試し版、ということになります。
しかし、例えばSLビューワのようなソフトの場合、
人がどんな環境で使用するか、全く予測できません。
OSがWindowsかMacかLinuxか、にはじまり、
WindowsでもVistaかXPか、はたまた32ビットか64ビットか
使用しているCPUは? メモリはどのくらい? グラフィックは?
もう、無限と言っていいほどのバリエーションがあります。
そこで、できるだけいろんな人に使ってもらって、
バグを見つけ、そこを改善する、というのが
ベータ版を出す目的となります。

つまり、ベータ版を試す、ということは、
開発者のバグ出しテストに参加する、ということです。
なので、バグが出て文句言うのはお門違いで、
そのバグをきちんと報告しなければ意味がありません。
それで初めて開発者がそのバグを認識し、改修が行われ、
よりよい製品になっていくのです。

なので、公式であれ、サード・パーティー製であれ、
ベータ版を使用するに当たっては、テストに参加してるという認識と
場合によってはそこで出たバグによってシステムが破壊されるかも
というリスクを認識するようにして下さい。
ですので、基本的には、システムがトラブっても
自分で対処できる、というぐらいの人以外は
あまり試さない方がいいと思います。
新しい機能を試せる、という楽しみはありますが、
リスクもつきものであることをお忘れなく。
僕がよく紹介記事で「自己責任で」と書いているのは
そういうことなのです。

さて、そこでアルファ版。
アルファ版は、どちらかと言えば、
こんな風なものを作ろうとしてる、と関係者に見せるためのものです。
単なる動きを見せるためのお披露目用。
或いは、そうやってお披露目して、
ユーザーからここはこうした方がいい、ああした方がいいと
意見を聞くための叩き台のようなものです。
なので、当然十分にいろんな環境ではテストされておらず、
バグとりも殆どされていません。
というか、バグだらけです。
ある部分がとにかく動く、というレベル。
ということは、ことによっては、
本当にシステムが破壊されるかもしれません。
そこで、アルファ版は普通一般には公開されず、
一部のテスターに選ばれた人にだけ配布して検証してもらいます。
ちょっと前に、Canvas Viewerの話を書きましたが、
昨年の12月6日に配布されたのはアルファ版でした。
従って、例えば僕も先行リリースの登録をしていたのですが、
アルファ版のテスターとしては選ばれなかった、というわけです。
クリス社長はベータ版の時に、登録をした人に案内するようです。

さて、そこで、今回のファイアーストームのプレビュー版。
アルファ版ですらない、プレビュー版なのだそうです。
なので、ホントに、インターフェイスの動きをみるためだけのもの。
勿論、一応は動きますけど、どんなバグがあるかわからない。
なので、昨日も書きましたがある人によると、

「It's not beta.
 It's pre pre pre pre alpha.
(これはベータ版じゃないよ。
 アルファ版より更に前の前の前の前の段階のものなんだ。)」

ということなのだそうです。
そういう状態なので、フェニックス・チームもこれを
一般には公開しなかったわけです。
いくら自己責任と言っても、リスクが高すぎる、というわけですね。

更に、インワールドのグループに参加した人にも
開発チームに問い合わせをするな、という連絡が回っています。
開発チームは一刻も早くより多くの人に使ってもらえるよう
開発、テスト、バグとりに集中して作業しているわけです。
バグがあって当たり前、という条件で試す以上、
開発チームにはその作業に専念させて下さい、
それが一番早い解決策です、というわけですね。
なので、基本的にはテスターはWikiを参照して、
自分でいろいろ試してみる、ということになっています。
実際には、このグループのGIMは活発で、
常にいろんな情報交換が行われていますが。

長くなりましたけれども、アルファ版とかベータ版、RC版には
こんな意味があるのです。
なので、新しいものは勿論早く試してみたいのだけれど、
ここで書いたようなことをよくお考え頂いて、
試してみるか、みないかを判断して頂ければと思います。
繰り返しになりますが、製品でない以上サポートはなく、
何があっても全て自己責任なのですから。

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