店舗用の建築について書いた時に
ちょっと思い出したことがありますので
ここに書いておきます。
実は僕は建築物が好きで、建築という行為には
ある種のあこがれのようなものを感じています。
建築家の人たちって、何て素晴らしいんだろう、って。
それで、この間のメタバースフォーラムでの
渡邉英徳先生のお話は楽しく聞かせて頂いたのでした。
このフォーラムでのお話の中で、
SLでは仮想空間ならではの、仮想空間であることを生かした
新しい建築というものを考えることができるというのがあり、
わが意を得たり、と納得しながら聞いていました。
曰く、SLでは空間そのものを体験することができ、
空間から空間へと直接テレポートもできる。
となれば、自分を包む空間そのものが豊かであればよいわけで、
外壁やそのデザインというものは必要ないのではないか、
というようなお話です。
![090410a.jpg](http://farm3.static.flickr.com/2592/3841942681_92a3f374fe.jpg)
この話を聞いて思い出したのが、ル・コルビュジェの
「ドミノ型住宅」の理論です。
ここでル・コルビュジェは、住宅というものの本質的な要素を
「床(または天井)」、「柱」、「階段」の3つとし、
ここに「壁」は含まれていないのです。
しかも、この図面を見ると、柱が細いことが私の注目を引きます。
これは彼の建築の特徴でもある広い連続窓を予感させるものです。
煉瓦を基調としたヨーロッパの建築では、
建物を支える役割の多くを壁が担っており、
従って、構造上窓は比較的小さくする必要があります。
しかし、ル・コルビュジェは、柱と床とを基調とし、
窓、つまり外の空間とひとつになれるような豊かな居住空間を
確保することを考えたのでした。
この考え方が現代普通に見る鉄筋コンクリートや
2×4のような規格化、ユニット化された建物につながっていきます。
![090410b.jpg](http://farm3.static.flickr.com/2668/3841942731_4e9ac978c7.jpg)
また、その居住空間の設計も、人間の体を基準に行い、
従って、ものすごくコンパクトなのに広く感じる部屋を作っています。
有名なのはマルセイユにあるユニテ・ダビタシオンというアパート、
そして彼が晩年を過ごした作業小屋で、
2007年に六本木でル・コルビュジェ展があった時に
その原寸模型を私も体験しましたが、
いずれも広い、と感じる素敵な空間でした。
小屋の方なんて広さが3.66m×3.66mという狭さなのに、
広い、くつろげる空間なんです!
![090410c.jpg](http://farm3.static.flickr.com/2486/3842734576_ef8862ef2c.jpg)
僕は、SLでは自由な空間設計ができるので、
RLに存在する建築物のレプリカも勿論いいけれども、
もっともっと奇抜で、豊かな空間設計ができるだろうと思っています。
渡邉先生やそのゼミの学生さんたちのビデオは
そんな空間の可能性を感じさせてくれます。
さすが建築ということを本業とされている方々の発想はすごいですね。
SLでRLにあるような建物を作ろうとすると
あっという間にプリムを使ってしまいますし、
また、そのプリムの形の制限もあってリアリティに欠けたりもしますが、
逆に、だからこそ、SLでしかできない建築物、
空間を作るということがおもしろいのではないかと思います。
僕もそんな空間創りができたらいいなぁ、と思ってます。
実は、SLを始めて、入門書2冊の次に買ったのは
安藤忠雄さんが書かれたル・コルビュジェの本だったのです。
僕のSLはそんなところから始まっているのです。
注)写真はいずれもル・コルビュジェ財団のオフィシャルHPより。
http://www.fondationlecorbusier.asso.fr/
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